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 W-Wallet 日影規制


1. 日影規制とは

2. 日影による規制の
  内容

3. 日影規制の解説1

4. 日影規制の解説2

5 日影規制の特殊な
  ケースの取扱い

6. 日影と日照権、北
  側斜線の関係

7.日影規制と近隣と
  の問題解決

8. 近隣住民との合意
  まで(体験談)その1

9. 近隣住民との合意
  まで(体験談)その2




 8. 近隣住民との合意まで (体験談)その1
 
 この特集の冒頭でも書いたとおり、日影規制は正しくは、建築基準法第56条の2に記載されているように日影による中高層の建築物の高さの制限”と呼びますが、当ページでは日影規制と簡略的に表現します。

 私は、過去に日影規制にかかる建物の近隣の説明会に建築主側の立場の人間として、幾度となく立ち会うことがありました。そういう経験を元に、建築の計画から近隣説明会の終了、建設工事開始までの簡単な顛末の一例を簡単に書まとめてみたいと思います。その例として、私が関わったある大きな市に計画された、「特別養護老人ホーム」を例にして話を進めて行きます。
 まず建物を建設する場合、日影規制にかかるような規模であれば、近隣への工事の説明会は紛糾することが多く建築主側も苦慮するとことです。そこで、建築主、設計者、施工者が一体となって臨まなければ、解決は容易ではなくその上、時間とお金がかかります。そこで、建築主と建物の設計を行う建築設計事務所は、工事施工者にも加わらせて近隣対策に望むのが一般的です。この三者、建築主・建築設計事務所・工事施工者にそれぞれの思惑があります。


 ■建築設計事務所の思惑

 建築設計事務所は、設計の仕事を受注すると、それが日影規制にかかるような規模になると分かると、すぐに建築主に工事施工者を誰にする予定なのかを確認します。建築設計事務所が、施工者の選定を気にするのは、工事施工者の協力を得ないと、工事の説明を乗り越えられないと考えているからです。建築設計事務所は、お金らしいものがかからない仕事ですが、その分儲けもあまりありません。「設計の事務をしている会社」なので、人が最大の財産といった会社です。その他にはパソコンや設計する器具や機械があるだけです。テレビドラマで、かっこいい仕事のように見えていますが、人を雇っていると資金繰りは大抵ギリギリなのです。ですから、工事施工者が株式市場に上場しているような、大きな会社であれば、安心できるわけです。


 ■建築主側の思惑

  建築主は、基本的に工事費が安く上がれば良いわけです。同時に施工者は出来るだけ大手であることを望みます。この点で、建築設計事務所の思惑と同じです。建築主にとっては、大手の建設会社は、工事竣工後も文句を言えばいろんな場面で体面を考えて、多少の理不尽でも折れて対応してくれることが多いからです。建築設計事務所は、15年経ったらもう存在しなかった、と言うようなことも少なくありませんから、あまり頼りになりません。そうでなくても、いざという時には、建築設計事務所は殆ど資力がないために、建築施工者に丸投げになるのが落ちです。そのためにも上場しているような大手の建設会社が良いのです。そのためには、日ごろから、その建設会社にもメリットがあるように、小さい仕事や近隣にたいして説明会を開かなければならないような建物ではないものも仕事の受注をさせたりします。平たく言えば、飴玉をなめさせておくということになります。


 ■施工者側の思惑

 施工者はその仕事で儲かるのかが一番の関心事です。当然ではあります。しかし、建築主との付き合いが深ければ、匿名で色々な仕事をくれます。しかし今日のような仕事が少ない社会では、建築主の方が立場がずっと有利で、匿名と言っても、それほど儲かりません。建築主はどんな深い付き合いであっても、仕事がないことの足元を見て、匿名だといいながら合い見積もり取って、工事費を極力押さえ込もうとします。
 そこで、建物の設計図を見て、見積もりを出し合うのですが、設計図が詳細に書かれていない図面ほど、どうしても丼勘定(どんぶりかんじょう)になり、入札した業者間で大きな金額の隔たりが出てきます。その時、建築主と深い付き合いの業者が出した、入札金額がもっとも高かったり、そこまではいかないものも高い方だったりしますと、仕事が取れないことは多々あります。「どうして、あんなに安く見積もれるのだろう」と首をかしげるのですが、良さそうな建築主であるなら「ここは赤字でも、認めてもらうために、〇〇建設さんの後釜(あとがま)に入ろう」などと赤字覚悟で来ることもあります。今後、景気が回復した時には、その反動が来るきがします。

 こういう訳で、多少の利益が出るなら、職人や会社の工事監督員、機材を遊ばせて置くわけには行かないので、どこかが請け負うことに決定します。しかし、日影規制の影響で、近隣との話し合いや、解決金などの「近隣対策費」は別途とします。いくら掛かるかわからないからです。下手をすると、着工まで幾月或いは何年もかかることもあるからです。


 ■まずは近隣対策から

 日影規制にかかる建物を建てる場合、その建物の規模が相当大きく、影響を与える範囲が広い場合には、日影の看板を出す前に近隣対策にかかります。看板をいきなり立てた場合、問い合わせや反対意見が殺到することもあるからです。
「いきなりこんな看板を立てやがって!」
と、最初から強い逆風を受けてしまうことがあるからです。そこで、まずは、町内会長を訪れ、
「老人ホームの建物を建てる計画をしています。まだ、(日影の)看板は敷地に建てていません。ご挨拶してからと思いまして。今日は、ご説明と挨拶に伺いました」
などといいます。しかし、この時はあくまで、「建設工事の工事説明会」を開くとういことが主体です。日影になる近隣だけでなく、建設工事による影響を近隣住民へ説明したり、協力を得なければならないからです。建築工事説明会を開くといっても、日影規制や他の法令に反した建物を建てる訳ではないですから、どのように工事を進めるのかを説明するだけです。。この工事説明会を通して、建物の計画や工事の手順、工事車両の通行や安全確保など近隣説明を行います。それに、加えて建設する建物により日影規制範囲に入る近隣にも理解を求めます。日影も法的に定められた範囲においては、それを逸脱しない設計であれば合法的ではあります。

 工事説明会で、近隣住民に集まって貰うためのアプローチは、町内会長以外にはないからでもあります。その時の町内会長の反応で、建てようとする土地の人々の反応が大体わかるわけです。また、町内会長がどんなふうな人なのか?気難しい人か、話のわかる人かなどもわかります。その町の大体の雰囲気が解ります。

 説明会を開くべき町内にどんな人が住んでいるのかは、また、その名簿を得るにはそうしたサービスをする会社があり、そこに依頼します。そこで町内住民の名簿を得る訳です。施主側が自ら歩き回って集めることはありません。


 ■日影が複数の町にまたがる場合もある

 町内会長といっても、計画している老人ホームの日影が複数の町内に渡る場合にはその総ての町内会長も対象になります。(これまで、私はそうしたケースに遭ったことはありませんが)訪問しても会えなかったり、都合が悪かったりしてなかなか会えないこともあります。しかし、早急に合わないと、説明会の段取りが組めません。その分、着工が遅れることにもなりかねません。日を詰めてアポイントを取るようにします。これらの訪問には、建築主の近隣対策、設計事務所そして、施工者が同行します。
 その後、町内会長がどういう判断をしてくれるかが鍵になります。
「まずは、個別に訪問して、資料を提示して説明してくれ」
と言われることがありますが、説明範囲が広い場合には、各戸を歩いて説明会を開く旨のチラシを、簡単な建物の計画書などを添えて配布します。そこで、住人に説明を求められれば、説明します。配布を終えた頃に、日影の看板を老人ホームの敷地の見やすい場所に建てます。
「チラシが入っていたのはこれのことか」
となるようにです。









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