| 鏡はその使われ方(使う場所)によって鏡の種類を決めます。ではどんな種類のものがあり、どんなところで使われているのでしょうか。
フロート板ガラスに鏡の加工(前頁)の工程を経て造られる最も一般的な鏡です。この鏡は、ごく一般的な常日頃から私たちの身近にある鏡です。手鏡や洗面台あるいは姿見などです。
安価で加工し易い反面、薄物は割れやすい。鏡の厚みは5oが標準です。3o.でも小さい手鏡のようなものは製作は可能ですが、大きくなると歪みが大きくなり適しません。このガラスの断面は右の図のように緑がかっています。 |
フロートガラス
| この鏡の前では実際より全体が青白く見えてしまします。照明が暗いところにある場合では鏡を覗き込むと、色白に見えたり青白い病弱な顔に見えたりします。もっとも普段の使用には何ら支障はありません。
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洗面所や脱衣所に設ける鏡は、防湿鏡です。直接水掛かりとなることは、殆どありませんが、風呂の戸を開けたときの湿度の高い気流や暖房の掛かった部屋続きにある場合、それらの部屋から、暖気が流れ込み湿度が高くなります。 | | このため右図のように、一般塗装部分の端部を、防湿性に優れた特殊塗装を塗装します。
これは、鏡の全周に塗られています。鏡の腐食は端部からが始まることがもっとも多いからです。 洗面所では、暖気の流入で、鏡が曇ります。その対策として、必要な時には、化粧洗面台の鏡の裏にヒーターが入っていて鏡の曇を無くしてくれるものあります。
これの原理は、車の最後部座席の後ろにある窓ガラス(後部窓ガラス)の曇り取りと同じです。車の場合、茶色の細い線が何本もあります。あの線で後部ガラスを温めているのです。これにより、曇りが取れるという仕組みです。ただし、曇りが取れるまで時間がかかるのが難点です。ほか対策としては、曇り止めのスプレーやフィルムを貼るなどの手があります。これらは市販されています。
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曇り止め鏡と混同しやすいのが、防湿鏡です。防湿鏡とは言い換えれば、「湿気に強く、錆びにくい」という特色を持つ耐食鏡を指します。従って曇らない鏡ではありません。
湿気の多いところでは、一般の鏡は1年を経過するとガラスの切り口である縁から変色しはじめ、徐々に腐食し始めます。 | | したがって、湿気の多い場所や、風呂場の鏡は防湿鏡を使います。
右の図のように風呂場の鏡は、裏面の一般塗装の上に、端部から鏡の裏面全面に防湿性・耐薬品性の高い特殊塗装を行っています。10年以上の耐食性があります。
| | | なお、「曇り止め鏡」はこの鏡に表面を特殊加工したものです。風呂場などに用いる鏡の一番の難点は、曇る事です。その対策としての鏡が「曇り止め鏡」です。
鏡の表面に特殊膜加工が施してあり、鏡の表面が結露して曇ると、この膜が結露水を吸水し、鏡の表面に水の水の膜を形成することで曇りません。
風呂を使用しない時は、表面の水分は蒸発して、元に戻ります。曇り止め鏡は高価な上、鏡の表面に汚れが出た場合、清掃中にその皮膜を壊す恐れがあります。
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そこで、「曇り止め鏡」の加工のない風呂場については、曇り止めを塗ることで、防ぐことが出来ます。これは市販の曇り止め剤を塗布するものです。これについては 15.ページの『風呂の鏡の曇り止めの方法』 をご覧ください。ただし、これの利用は、風呂場のように鏡に水がかかったり、特に湿度が高くて、水利用を行うことが可能な場所に限ります。
画像出典:フロートガラスは有限会社M&Gキタデによりました。
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