| 寒い冬の日に起きる結露については、これまでのページで解説してきました。しかし、結露は冬に起きるものとは限りません。
実は、夏にも結露は発生します。近年高気密の住宅とエアコンの普及により、夏においても結露が発生しています。これを夏型結露(なつがたけつろ)と呼んでいます。 一般的に夏型結露は、家の中で起きる結露ではなく、住宅の基礎部分や壁の中で結露を起こして木材を濡らします。木造建築では結露することにより木材が腐り、構造上の耐力をなくする他、これによる害虫の発生など問題が生じさせます。
| 夏型結露が認識されにくのは、何といっても窓ガラスに結露が発生しない、あるいは滅多に発生しないからです。
夏型結露の特長は、壁の中や基礎上の木造の床組みの中で発生します。夏の冷房時に、高温多湿の外気が壁の室内側で冷やされて結露することで、木造の壁の軸組や床下の床組みに結露が発生するのです。 |
結露対策で最も重要なのは、部屋の換気です。2003年7月1日の建築基準法の改正で、1時間当たり0.5回の室内換気を実現する24時間換気システムが義務付けられています。
これは、この時から新たに建設される建物に関してであり、遡及義務を負うものではありません。24時間換気システムは、シックハウス対策面からも設置が義務付けられたものです。
空気の汚れには、ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物の他に、湿気や、湿気から発生しやすいダニ、カビなども含まれているからです。このシステムが人の健康と建物の健康に役に立っているわけです。
「内部結露」は室内の暖かい空気が壁(断熱材)の内部に侵入し、水蒸気を含むことができる限界の温度を下回った場所で発生します。この状態が長引くと、柱や土台を腐らせる原因となります。次の図と記事は旭化成のものです。この中で「夏」の記述は意外かも知れませんが、結露は冬だけでなく、夏にも起こりえます。これは、これまでさんざん書いてきたとおりです。
旭化成の記事を見ていきましょう。夏型と冬型の結露について、この下の図を見ながら下段の『』書きをご覧ください。
『水蒸気を蓄えた暖かい空気は壁(断熱材)の内部に侵入します。水蒸気圧の関係から冬は屋内から屋外に、夏は屋外から屋内へと移動します。この時、温度低下によって飽和水蒸気量を超えるポイントがあり、そこに水蒸気が侵入すると内部結露が発生します。
内部結露を防ぐ手段は壁の中に低温部分をつくらないこと。そして低温部分に水蒸気を入れないことです。水蒸気の分子は水滴の250万分の1という細かさで、多くの建材をとおり抜けてしまいます。水蒸気をとおしやすい繊維系の断熱材ではしっかりとした防湿材の施工が必要になります。』
と指摘しています。その通りですね。
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