| | 従来、日本の木造建築には結露が生じないと言われていました。鎌倉時代の末期に、兼好法師こと吉田兼好(左の図)が「徒然草」の中で、「住まいは夏を旨とすべし」と言ったように 冬の寒さには、火を焚いたり、火鉢を入れたりして凌げるが、夏の暑さには、良い方法が有りませんでした。
今日のようにクーラーもなければ扇風器もない時代の事です。このように、日本人が住む家は、夏で言えば風通しのよい、冬で言えば隙間風の吹く実に換気の良い造りで有った事が知れます。 | つまり、本来の日本の住宅は自然に換気がされる結露のない建物でした。いわば建物の内外では温度差が殆ど変わらない状態でした。夏は暑く、冬は寒かったのです。
ところが、近年、住まいの快適性を重視されるようになり、冬は暖かく、夏は涼しいエアコンや暖房器具などの使用を念頭に。気密性の向上のにより、木造住宅であっても結露を生じることとなっています。 |
結露が柱や土台なとに生じると腐敗菌が発生します。勿論、結露がすぐに蒸発して柱や土台が乾燥するのであれば、何ら問題はありません。そのような壁であれば、そもそも結露は発生しません。
イドタケ、スイガラタケ、オオチリメンタケ、オオウズラタケなど腐敗菌は14種類程度はあります。これらの生育温度は以外にも低く4℃でも可能なものもあります。
| | 写真上:オオチリメンタケ(出典:徒然花鳥風月)
写真左:イドタケ(出典:中標津で見つけた植物)
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大体10℃から生育します。温度が、冬から次第に夏に向かうころには、壁内の温度が上昇し、空気中の湿気も次第に多く含まれる事が出来るようになり、腐敗菌の生育に格好の状況を提供する事になります。
一度結露をした木材も乾燥するまでには数十時間はかかると言われており、北側など日のあたらない場所は、木材の乾燥のないまま、梅雨時期に入る可能性があります。
高気密の窓サッシと断熱材を使 用した外壁は、結露とは関係がなさ そうな印象を与えます。しかし最も 大事なのは断熱材を使う場合の必 要なこととは何でしょうか。
@断熱材を建物の内部側によせ、 A断熱材の外側の空気を循環させ て通風をとる。
単に断熱材だけを一部分に利用 するだけでは、右の図のように結露 に腐敗が発生し、建物の耐力を低 下させます。 | | 右上の図では、開口部の右側の部分の少し白くなっている部分が断熱材ですが、他の部分には見当たりません。ごく一部に入れられているのに過ぎません。もし、入れるとしたら壁全面に入れる必要があります。勿論、木造の建物の特に重要な筋交いの部分もです。
土台と梁そして筋交いが腐敗すると、建物が少しの地震でも倒壊する可能性は、非常に高くなります。
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画像出典:吉田兼好、狩野探幽筆、google画像 画像出典: 潟\ーケンアービック
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