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 3. ステンレスの添加元素の及ぼす効果

 ステンレスのバリアーは、疵が付いたり、塩素の攻撃により破られても普通は瞬時に修復されます。いわばこの自己修復機能によって、ピカピカの状態がいつまでも保たれていることをこれまで述べてきました。


 通常はクロムがその力を発揮しますが、より錆の危険度が上がるようなケースでは、クロムを手助けするために加えられるのが、ニッケルとモリブデンです。クロムの両脇にいてステンレスの腐食を守るクロムに加勢する重要な機能の持っています。そこで、ステンレスの用途に合わせて、ステンレスの機能強化を高める添加元素の効果についてまとめてみました。



  主添加元素 1
クロム(CR)
鋼の表面に薄い酸化皮膜をつくり錆びを防止する、ステンレス鋼には欠かせません。耐熱性,機械的性質も向上させます。機械的性質とは外力が金属材料に働いた場合の金属の抵抗する強さや硬さの度合を言い、金属材料を使用して加工を行なう場合に最も重要視される性質です。


その性質には、強さ(引張強さ,圧縮強さ,せん断強さ)、展延性、脆性(もろさ)、靭性(粘り強さ)、加工硬化、時効硬化等が挙げられます。




 ■ クロムとは

 ステンレスに欠かせないクロムという物質についてここで、触れておきます。クロムは、クロム族元素と言われる金属の中の一つです。同じクロム族元素にはモリブデンやタングステンがあります。



 クロムは銀白色の金属で、硬くて表面が酸化皮膜にすぐに覆われてしまうので非常にさびにくいという性質があります。クロムは、クロム鉄鉱と呼ばれる鉱石の中に多く含まれていますが、日本ではほとんど採取できません。


 金属としてのクロムは、光沢があること、硬いこと、耐食性がある(さびにくい)ことから、メッキとしても使われます。算出は全世界で南アフリカ、カザフスタン、インド三国だけで、85%の生産高を占めています。

クロム鉱から精製したクロムの結晶

中でも南アフリカは、世界生産の5割近くを占めています。

クロムの画像出典:結晶美術館によりました。




  主要元素 2
ニッケル (Ni )
さびの発生そのものを抑える効果はあまり有りませんが、さびの進行を遅らせる働きが有ります。


機械的性質を向上させる。多量に添加すると耐熱性も向上させます。合金性が良く、クロムと共に用ることで耐食性も高まるオーステナイト化を促進します。




 ■ ニッケルとは

 ニッケルは自然界では主に酸化物、硫化物、珪酸塩として存在しています。ニッケル鉱石は23を超える国が採掘しており、25の国が製錬または精錬を行っています。地球上で5番目に豊富な元素です。最も我々の身近なものでは、50円100円玉に25%(残りは銅)使われています。


 その中で主要な鉱石生産国はロシア、カナダ、ニューカレドニア、オーストラリア、インドネシア、キューバ、中国などです。重要なニッケル精錬所はノルウェー、フィンランド、フランス、日本、イギリスなどにあります。またニッケルは多くの用途でリサイクルが容易で新たに採掘する鉱石を補っています。

 毎年炭鉱より生産されるニッケルは全世界で140万トンほどです。毎年採掘されるニッケル全体の2/3がステンレス鋼の製造に用いられています。

天然のニッケルの結晶

 日本のニッケル生産では住友金属鉱山が最大手です。鉄、ニッケル、クロムの合金で、この合金によるステンレス鋼(ニッケルは一般に8〜12%)が最も大量に生産されています。

クロムの画像出典:結晶美術館によりました。




  その他の添加元素の及ぼす効果
モリブデン (Mo)耐孔食性の向上。とくに海水などの塩化物イオンを含むものへの耐食性を向上させる。高温での機械的性質を向上させ、耐酸性も向上させる。クロムのバリア(いわば自己修復機能)の強化を助ける機能がある。
炭素 (C)炭素量を減らすと耐粒界腐食性が向上し、加熱部にも使用できるようになる。

炭素量を増やすと機械的性質を向上させるが、耐食性がやや落ち、脆くなるため、加熱部には適さない。オーステナイト化を促進する。
銅 (Cu) 大気中、海水中での耐食性を向上させる。
耐酸性も向上させる。ニッケルと共に添加すると効果が倍増する。オーステナイト化の促進。
チタン (Ti) 耐粒界腐食性を向上させる。溶接したまま使用することを可能にする。
450〜850 ℃で使用することも可能。フェライト化の促進。
ニオブ (Nb )耐粒界腐食性を向上させる。溶接したまま使用することを可能にする。450〜850 ℃で使用することも可能。
イオウ (S)
リン (P )
切削性を向上させるが、多量に添加すると脆くなる。







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