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 4. ステンレスが錆びるとき

 ステンレスは錆びにくいというだけであって、錆びることは、「はじめに」でも書きました。ではステンレスが錆びるときとは一体どんな時でしょうか。また、ステンレスもほかの鉄系の材料と同様、使用箇所により、その機能が著しく落ちることがあります。そうした原因と対策も次にまとめてみました。



  応力腐食割れ
 原因

塩化物イオン等の腐食要因と引張応力とが同時に働く環
境下で割れが発生、進展する現象です。外観上は腐食や
割れが起こっているように見えない場合がありますので、
特に構造部材では注意が必要です。

応力としては、直接外部からの力による応力の他、溶接
部近傍に残留している内部応力も原因となる場合があり
ます。


 対策

腐食要因の低減、応力の除去、鋼種の選定(フェライト系ステンレスでは起こりません)などが対策となります。





  粒界腐食(りゅうかいふしょく)
 原因

結晶粒界に沿って腐食が進展する現象で、主とし
て、溶接熱影響や特定の熱履歴を受けた部位で発
生しやすくなります。直接的な原因は、どの場合もク
ロム(Cr)が炭素(C)や窒素(N)と結合し、粒界近傍
にクロム濃度の低い領域ができてしまうこと(鋭敏
化)です。


 対策

鋼種選定、溶接条件変更、溶接材料の選定、熱履歴の変更などで回避が可能ですが、使用する鋼種によって対策の手法が異なる場合があります。





  時期割れ
 原因

主として、一般のオーステナイト系ステンレスで、強く加工した後に磁石に着くようになるSUS 304等で、プレス成形(特に絞り成形)した時点では全く問題が無いのに、しばらく時間経過した後に脆性的な縦割れが発生する場合があります。

これは絞り加工によって発生・残留したある一定以上の引張残留応力の存在下で、やはり加工によって生成したマルテンサイトが水素によって脆化するために起こる一種の遅れ破壊です。

 対策

一般的な対策としては、マルテンサイトの発生を抑制するために、加工温度を上げたり、Ni含有量を増やした材料を使用することが挙げられます。





  もらいさび
 原因

ステンレスの表面に主として鉄粉が付着し
てそれがさびるために、ステンレスがさびた
ように見える現象です。またさびが付着した
場合にも同じような現象になります。 

鉄粉の付着原因としては、鉄鋼材料との擦
れだけでなく、鉄製設備・工具や金型との
直接接触でも容易に鉄粉が噛み込んでし
まいますので、加工や取り扱いの際にもご
注意が必要です。水道水などに含まれる鉄
錆が定着することが要因となって、錆が進
行しているのは、身近にみるところです。

 対策

もらいさびとなるような上記を出来るだけ避
けるよう注意するしかありません。





  異種金属との接触腐食
 原因

一般に、耐食性の異なる金属同士を接触させて使用した場合、耐食性の良い方の金属は防食され、耐食性の劣る金属は腐食が加速されるという現象が起こり易くなります。ただし、異種金属接触腐食が実際に問題になるか否かは、使用環境、異種金属の種類、面積比など様々な要因が関与します。特にステンレスの部材を固定する際、留め具の素材によっては著しく腐食が促進されることがありますので注意して下さい。

 対策

普通鋼とステンレスとを接触させますと、普通鋼の腐食が促進する場合があります。やがてもらいさびの原因となったりしますので、一般には絶縁処理や塗装などの防食処理が必要です。





  溶接部の腐食
 原因

溶接熱影響による鋭敏化や、異なる材料同士が一旦溶融し凝固することによって起こる成分変化、溶接部の高温酸化などのために、溶接部では耐食性が低下する場合があります。

 対策

適切な溶接方法や溶接材料の選定、溶接条件の調整の他、事前の溶接部の汚れの除去や溶接後の処理などにもご留意が必要です。溶接部の酸化スケールは、耐食性の観点から基本的に除去することを推奨します。





  異種金属との溶接材料
 原因

代表的なステンレスであるSUS 304同士の溶接では308系が、またSUS 304と普通鋼とのいわゆる異材溶接では309系が溶接材料として使われることが一般的です。

 対策

ステンレス同士の溶接でもフェライト系を使う場合や、高耐食ステンレスの溶接の場合には、溶接部の耐食性や希釈(混ざり合うことによる成分変化)による材料特性変化を考慮して、必要に応じた適正な溶接材料と溶接条件を選定する必要があります。





  時効脆化(じこうぜいか)
 原因
概ね550℃を超える高温でステンレスを使用する場合に、時間の経過とともに金属組織が変化し、硬くて脆い化合物が生成するなどして、次第に材料が脆化する現象があります。こうした高温時効脆化は、実際には高温使用中よりも設備点検などで常温に戻した場合に問題となることが一般的です。なお、脆化とはステンレスの本来の機能が落ち、もろくなることです。
 対策
高温脆化の温度範囲は鋼種によって異なりますが、熱処理により回復できる場合もあります。



ステンレスに関する画像、記事とも出典:応力腐食割れと粒界腐食画像は新日鉄住金ステンレス鰍ノよりました。







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