16.　壁タイルの特殊下地への対応（2-1）　押出成形セメント板地　1

　押出成形セメント板の壁へのタイルを貼る場合の対応の方法です。押出成形とは、文字通り金型に液状のセメント、珪酸、繊維などを流し込み、オートクレーブ養生をして、押出して取り出します。詳しくは㈱ノザワのホームページを参考にしてください。

　■　押出成形セメント板アスロックへのタイル貼り

　㈱ノザワの押出成形セメント板には、タイル貼り専用のアスロック（タイルロック）とアスロック規格品（表面平滑品）があり、外装タイル貼りを行う場合には、表面が蟻足形状となった「タイルロック」を使用します。ここではタイルロックを使用したタイル貼りについて説明していきます。

タイルロック下地の問題点と施工のポイント
①	タイルロックのジョイントにまたがってタイルを貼ると、タイルのクラック、浮きの原因になります。タイルロックは、一間の中にタイルを割り込めるような工法のものを選定します
②	タイルの貼り付けモルタルはポリマーセメントモルタルとし、改良圧着貼り、密着貼り、マスク工法などで直貼りします。しかし、アスロックの建て込み精度が仕上がり精度そのままに仕上がり、精度に影響しますので、必要に応じて不陸調整を行います

　　　タイルロック単板６２㎜幅

　■　押出成形セメント板アスロックへの現場タイル貼り工法

　アスロックに蟻溝を設け、ポリマーセメントモルタルでタイルを貼り込む工法で、現場貼りの工法です。工場でタイル張りをした製品もあります。（アスロックタイルパネル）

　タイル貼りに使用するアスロックはアスロックの表面に、タイル貼り付け用蟻溝形状を施したタイル仕上げ用の専用パネルです（下の画像右側）。商品名は㈱ノザワの「タイルロック」です。タイルロックはパネルの表面に蟻溝加工をすることで、ポリマーセメントモルタルを介してタイルと一体化するよう配慮がしてあります。

　■　鉄骨構造でのタイル仕上げは、下地材の重量制限などにより採用が難しい場合がありましたが、タイルロックが採用を容易になりました。

　■　タイルのモジュールに合わせ、タイルロックは各種が揃っています。


タイルロックの形状。上部が表面	タイルロックのパネルの表面の「蟻足」形状

施工部位と施工方法
部位	タイル		アスロック	貼りけ材料	タイル施工方法
外壁内壁	モザイクタイル	50㎜角 50㎜2丁 50㎜3丁	タイルロック62㎜厚以上	ポリマーセメントモルタル	マスク貼り工法
					モザイクタイル貼り工法
	外装壁タイル	小口平二丁掛平二丁掛山型 100㎜角ボーダー	タイルロック62㎜厚以上	ポリマーセメントモルタル	改良圧着貼り
					密着貼り工法
	接着剤貼り工法用外装壁タイル	二丁掛タイプ100㎜角ボーダー	アスロック60㎜厚以上	弾性接着剤	弾性接着剤貼り工法
	大形タイル	300㎜角以下	アスロック60㎜厚以上	弾性接着剤
内壁	内装壁タイル	200㎜角 150㎜角 100㎜角	アスロック60㎜厚以上	有機質接着剤	有機質接着剤貼り工法
	モザイクタイル	（外壁・内壁同様）
	外装壁タイル	（外壁・内壁同様）
	大形タイル	450㎜角以下

　　　施工のポイント

　①　貼り付け材料

貼り付けはポリマーセメントモルタルとします。モルタルはイナメントタフⅠ（外　　装タイル用）もしくはイナメントタフⅡ（モザイクタイル用）を用い、タイルポリマーSB-102の3倍希釈液で混練したもの、または同等品を使用します。

　②　吸水調整材

吸水調整材をタイルロックに塗布する場合には、希釈倍率、塗布量などの使用方法はタイルメーカーの仕様に従う。

　③　墨出し

墨出し時に糸を張る場合は、タイルロックにクギなどを打たない。

　④　モルタル塗り

タイルロック目地部分のモルタルを必ずかき落とします。

　⑤　タイル貼り

要

点

１）

タイルの割付は、パネル内におさまるように割付し、パネル間にまたがないように注意します。

２）

タイル目地を適正に取り、突きつけ目地としない。モザイクタイルでは4～5㎜、外装タイルでは、8～10㎜が標準です。

３）

降雨時・降雪時・強風時など、タイル工事に支障の恐れがある時、又はこれらが予想される時は、原則として施工は行わない。

４）

気温が2℃以下になると予想される場合は、原則としてタイル張り工事は行わない。