| 鉄筋コンクリート造の構造物に発生するクラック(ひび割れ)は、鉄筋や鋼材の腐食による耐久性の低下や水密性・気密性などの機能の低下をおこします。
また過大な変形や美観の低下などの原因ともなります。そこで、各種の工事仕様書や設計・施工指針などにおいて、許容ひび割れ幅を定めて、ひび割れ幅を制限するなどの対策が従来からとられています。
クラックが入っているからといって、すぐにでも有害であるというわけではありません。コンクリートのその特性上、クラックをまったく発生させないということは不可のです。従って、クラックが見つかったからと言って、大騒ぎをするということにはならないでしょう。
では、クラックが有害であるというのはどういう状態のことでしょうか。
1. | 部材の極度のたわみをもたらす原因となること。 | 2. | コンクリートの内部の鉄筋が錆を発生させ、 鉄筋コンクリートの耐力を低下させること。 | 3. | クラックからの水漏れが生じること。 | 4. | 外観を著しく損ねること。 | 5. | 機密性の低下を招くこと。 |
私たちが、建物に見かけるクラックは、通常仕上である、塗料の吹付けや塗ったものの上からです。その場合のクラックの幅が有害なのかどうかの判定になります。
仕上の上から見たクラック幅が、0.06ミリを超えると耐水性に問題が生じて来ます。0.2ミリを超えると、建物の耐力上の問題が生じて来ます。一応この基準を下回って幅が、安定しておれば、まず一安心というところです。従って全てのクラックが有害というわけではありません。
仕上別による有害クラックの度合い | 0.2mm幅を超える下記の仕上の上に出来たクラック | @ | 弾性吹付けタイル仕上(塗料吹付け仕上) | A | 2.モルタル塗り仕上 | B | 3.タイル張り仕上 | 0.06mm幅を超える下記の仕上の上に出来たクラック | @ | 打ち放し仕上 | A | 非弾性吹付けタイル仕上(塗料吹付け仕上) | B | リシン吹付け仕上 |
| | 左の図は、マンションに出来たクラックです。タイル部分が縦にひびが入りところどころタイルが剥がれ落ちています。
仕上げのタイルが割れたり剥がれ落ちたりしている以上、タイルが貼りついているコンクリートも同程度かそれ以上のクラックが生じている可能性があります。
右上の隅あたりに、太い縦目地が見えています。 |
恐らくそれが伸縮目地であろうと思いますが、うまく作用しなかったのかも知れません。
あるいは、タイル目地が伸縮目地となっていなかったのかも知れません。いずれにしても、現状で放っておくわけにはいきませんので、割れたり剥落したりしたものは、その部分のみを張り替えするしかありませんが、張り替えたのち同様のことが発生する可能性は高いといわねばなりません。
画像出典:マンション外壁相談.COM
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