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 W-Wallet クラック(ひび割れ)

 
1. クラックとは何か

2. クラックはどうして出
  る?

3. 有害なクラックとは

4. クラックの原因と形
  状@

5. クラックの原因と形
  状A

6. 危険なクラックの
  例1

7. 危険なクラックの
  例2

8. クラックの発生状況
  を目視で調べる

9. クラックの発生状況
  を調べる(目視以外)
  @

10. クラックの発生状
  況を調べる(目視以外)
  A

11. クラック発生に対処
   するニ方法

12. クラック発生に対処
   する方法 その1

13. クラック発生に対処
   する方法 その2-1

14. クラック発生に対処
   する方法 その2-2

15. クラック発生に対処
   する方法 その2-3

16. コンクリートのクラ
   ックの補修

17. モルタル外壁のク
   ラック補修

18. コンクリートのクラ
   ックに関する本の
   紹介

      
 8. クラックの発生状況を目視で調べる

 何十年も経った建物では、その間に建物の価値を落とさないために、長期修繕計画などで、少なくとも、1回や2回は外壁の塗装をやり直したりしているものです。この場合、以前に塗装を壊すほどのクラックがすでに発生していた場合でも、十分な補修を行わず、その上に再度、厚めの塗装が行われたりします。本来なら、補修の予算をつけて補修後に外装吹き付けなどを行うことが適切なのですが、そこは予算の問題でもあり、無視されることも少なくありません。


 長期修繕計画は、クラック自身の補修もかねて行われるのが本筋で、クラックが出来たのを隠蔽するために行われるわけでありません。補修をせずに吹き付けを行ってしまえば、実際に出来ていたクラックを発見することは外観上できなくなります。


 この長期修繕計画での外装吹き付けも既存の外壁にかぶせるように吹き付けするわけですから、下地処理も適切にしなければなりませんが、此処でも費用の問題が発生して、既存の壁の汚れなどが付着したまま吹き付けを行うこともあり、その結果長くは持たず、あちこちに塗装の剥落や浮き、孕みが数年で発生したりします。その場合、補修を行わなかったクラックがその部分にあった場合は、雨水が侵入し、鉄筋を腐食して建物の耐力を大きく削いでいくことに繋がります。


 もっとも、クラックは、クラックが補修されたからといって、建物の強度が元に戻ったり、増したりして、建物の耐力を回復するという訳ではありません。一度受けた建物へのダメージは決して元に戻ることはありません。が、悪化を食い止めるというだけのことです。




 ■クラックの発生を目視で調べる(建物外部)

 クラックの発生を確認するのは、まず目視ということになります。しかし、鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造では、コンクリートの表面がむき出しのままになっていて仕上げ(例えば、ペンキ塗りや、タイル張り、吹きつけ塗装など)がないということは、打ち放し仕上げ以外には余りありません。因みにこの打ち放し仕上げはクラックに対応してコンクリートの鉄筋に対する被り厚さを設計の段階から、外壁仕上げのある鉄筋コンクリート建物よりかなり大きくしています。


 比較的新しい建物では、コンクリート表面に初期の小さいクラックの発生を見つけることは難しいでしょう。これは、外壁の仕上げが、そうした初期のクラックの発生を考慮して、コンクリートの面に仕上げをするともいえる訳です。単に、外観や機能のためばかりで仕上げがあるわけではありません。


 そこで、建築物のクラックへ対応の専門の技術者が壁面の状態を目視で確認します。近づけない範囲に関しては双眼鏡等を用い、壁面の

 @ クラック、
 A 爆裂、
 B エフロレッセンス

等の異常・劣化を確認、記録します。


 @ クラック


左の図は典型的な開口部廻りのクラックの例です。クラックは水平面に対して大体60度の角度で発生します。左の図では開口部の向かって右側に柱があるため、柱に沿った縦のクラックが発生しています。

クラックが発生する場所に合わせて誘発目地を入れるのが一般的なクラック発生の予防処置の方法です。これによって、クラックの発生の低減は出来ますが、完全になくすることは出来ません。
クラックを放置するとAやBに及ぶことが懸念されますので、放置したままとしないように、対策を講じることが大切です。




 A 爆裂(ばくれつ)


 爆裂とは、コンクリート中の鉄筋が錆びて膨張することにより、コンクリートとの付着を破壊して剥落し、表面まで露出する現象の事をいいます。この現象が起きているコンクリートの部分は、雨水等が漏水していることが多く、コンクリートの強度低下などの原因になります。

 左の図を見れば、全体的に鉄筋の被りが少なく、特に右から四本目の鉄筋の、横筋の下あたりは、被りがほとんどありません。
鉄筋が組立て時に部分的に膨れていて、被りが少なくなったのではないか見受け
られます。この部分に小さなクラックが発生して、水の侵入がおき鉄筋が錆びたの
ではないか思われます。

 鉄筋に沿って壁や柱などにひび割れが発生した場合は要注意です。爆裂がもた
らすリスクは、ただ外壁を破損させるだけにとどまりません。例えばマンションの高
層の壁が爆裂を起こした場合、剥がれた数kgのコンクリート塊がそのまま落下する
可能性もあります。実際に爆裂による外壁崩落事故やコンクリート塊落下事故も発
生しており、非常に危険なことが分かります。




 B エフロレッセンス


左の図は外壁に現れたエフロレッセンスと呼ばれるもので、施工後のコンクリート、レンガ、モルタル、タイルなどの面に現れます。白華現象(はっかげんしょう)とも呼ばれ白い粉状の噴出物なので、目視しても非常にわかりやすい。

 これと同じものは、鍾乳洞の石灰石で、成分は炭酸カルシウムです。エフロレッセンスが噴き出ることが、決して良いことだとは、素人目にも思えないの当然です。

 これは、「セメント中の可溶成分を溶解した溶液が、セメント降下中に内部の空隙
を通ってコンクリートなどの表面に現れ、空気中の炭酸ガスと反応して付着した白
色の物質」ということになります。

 エフロレッセンスが現れるということは、コンクリート外壁では、クラックがあること
を意味します。タイルやレンガでは、内部に空隙があり、そこへ雨水が入り込んで
いることを意味しています。


画像出典:B「コンペハウス」さんのホームページにより出典させて頂きました。




 C 剥離(はくり)


 外壁の剥離はタイルや塗装が何らかの理由で剥離してしまうものです。原因は、コンクリートの躯体のクラックや爆裂によるものから、単に施工不良にとどまるものまで多様です。また、タイルが浮き出す予兆もあれば、突然に剥離が起きるものまで、把握は困難です。

 いずれにしてもそこから次々と剥離が起こる可能性は高く、直ちに補修が必要です。 

 コンクリートの躯体のクラックや爆裂が原因の場合は、その補修も必要になって
きます。こうした事態になると建物の強度を落とす原因にもつながるだけでなく、外
観上も著しく低下し、建物の価値を損ねる原因ともなります。

画像出典:村上塗装工業株式会社



 ■クラックの発生を目視で調べる(建物内部)

 建物の内部でのクラックの発見ということになりますと、中古のマンションあるいは、事務所ビル、貸し店舗などでは、購入する前に部屋のリフォームを行ったり、修理をしたりするものです。もちろん、それが、壁のクラックの発生があるのを隠すためという訳ではありません。入居する人を納得させるためではありますが、こうなると、目視だけではとても発見することが困難になります。


 ただ、マンションなど、建物の中に駐車場を設けている場合、建築費を抑えるために、吹きつけ塗装などの仕上げがなく、コンクリートの自身の素地のままになっている場合があります。こういう場所ではクラックの発見は比較的容易です。ただ、薄暗いことが多く、駐車場だけに、人目もつきにくく、また、あまり入居者自身が気に留めません。


 もしその気があるなら、その建物のクラックがどの程度の物かの推測を可能にするモデルの場所ですから、調べてみても良いのではないでしょうか。しかも、駐車場は、壁などが少なく、広い空間ですので、もし地震や地盤の沈下などのダメージを受けているなら、発見しやすい場所です。入念に調べてみましょう。

 同種の場所では、機械室、受水槽室、ごみ置き場室などがあります。







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