| 木造の壁内は、到る所に隙間があって空気の換気が自然と行われるので、鉄筋コンクリートに比べて角部に結露を生じさせる事が比較的少ない。押入れでも、結露を生じる事は少ない。また、人一つの部屋から、他の部屋への多湿空気の移動による結露も、殆ど生じませんが、換気が1時間に1回以下になるような住宅では、壁内には結露が生じ易くなります。
木造の壁内に入れる断熱材の位置によっては、断熱効果が低下する事があるので注意が必要です。
1. 外壁仕上げ+空気層+断熱層+胴縁+内壁仕上
「外断熱」工法で空気層を2重にして、空気層部分の空気の循環をねらった工法です。理論的には理想の工法です。
| この空気層の中の空気は下端から入り上端から排出する事になります。このとき、断熱層のと室内仕上げの中の湿度が、断熱材を透過して、循環空気と一緒に外部に排出し、結露は生じないと言う考え方です。この空気層の厚みは30ミリ以上が木造では望ましい。
また、この場合、空気の循環部分の雨仕舞いが確実に行われないと、雨水の壁侵入が問題になります。外壁仕上げの内側に外壁を支える木材が壁換気に支障をきたさないようなピッチで入っています。 |
2. 外壁仕上げ+胴縁、空気層、残熱材+内壁仕上
従来の壁の中に断熱材を入れる工法です。現在の建売などで行われている壁断熱の殆どがこの方法です。従来の壁の中に断熱材を入れるだけなので、その分の材料と手間が増えるだけだからです。
| コストの面からも当然であるかも知れません。この方法では、施工が悪いと壁の中で結露が発生し、木材に腐食菌が発生します。壁の仕上げの方法で一番多い工法です。エネルギーのロスも多い。 |
3. 外壁仕上げ+空気層なし+断熱層+胴縁+内壁仕上
上の1.と2.で上げた断熱方法は内断熱と呼ばれるものです。壁の中側及び壁の内側に断熱材を入れるからです。それに対して、「外断熱」とは、建物をそっくり断熱材で包み込んでしまう断熱工法です。壁自体を断熱材で覆いますので、壁の温度変化の少ない、断熱効果の高い工法です
この場合、空気層なしとなっている部分、つまり、外壁仕上げと断熱層の間のわずかな隙間に、結露を生じる事になりますが、外部がモルタルである場合、モルタルの吸湿性から解消でき、モルタルの乾燥期にも吸湿が期待できて問題となりにくくなります。
下の図は内断熱と外断熱の考え方を鉄筋コンクリート造を例にしたものです。外断熱の建物は内断熱の建物に比べて2倍から3倍の建物寿命があるとされています。最大の難点はコストがかかるいう点です。
画像出典:轄g梅組
壁の中に断熱材を入れるだけでは結露防止は十分ではありません。壁内部や天井裏、床下の結露を生じさせないようにするためには、壁内部において換気が行われることが特に必要であり効果的です。
下の図がその具体的な方法です。図の右側の下屋部分の棟に換気口を設けたもので、最も好ましい換気方法です。これは天井内の換気も行うことにもなり一石二鳥ともいえる換気方法です。図の左側は一般的によく行われている方法で、天井内の換気は妻側に設けて天井換気口を伝って換気できます。
| 〇にA部分
水切りの上より外壁仕上げの内側に沿って空気が入り上に昇ります。 | | 〇にB部分
軒裏の部分からも換気。吸気と排気が行われるような構造とします。吸気はさらに上に上ります。
| | 〇にC部分
下屋部分と上階部分 との取り合い部分に も水切を設け、ここ からも吸気を行うよう にします。ここから侵 入した空気は壁を伝 い上に登っていきま す。 | | 〇にD部分
棟部分からの換気は下の階からの壁を伝ったり小屋裏の換気を行います。 |
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