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 W-Wallet 設計者と施工者

1.設計者と施工者
      
 1. 設計者と施工者

 私の仕事は施工図屋です。聞きなれない方もいらっしゃるかも知れないが、
現場で仕事をされている方なら、「ああ、図面屋のことか。」といってくれる、、、と思
います。あんまり表に出ない地味な仕事だから知らない人も多い。

 施工図屋とか図面屋と呼ばれる私たちは、設計図を実際に工事が出来るよう
に細部に渡って検討して、それを可能な限り設計者の意図を反映しながら、図面に
する仕事なのです。
「え、じゃあ設計図は一体なんなの?」と思われるでしょう。

 設計の図面を書く人は、正直に言って現場を知らない。
 現場の人間は正直に言って、設計図画出来、確認申請が出来るまでの、施主や
関連法規などのクリアー、行政との打合せなどの煩雑な手続きの大変さを知らな
い。

 お互いが、自分たちの仕事のマウンドで、設計者と施工者が心の中でちょっとし
た、蔑みと優越感をもって建物は出来上がっていくといっていいでしょう。

 設計者は現場のことをあまり知ろうとはしない。そんな金銭的にも、時間的にも余
裕がないからです。それは、施工者においても同様です。

 そういうことで、設計図面が、現場の納まりやコストに対して少しも成長してゆかな
いのも道理である。施工者サイドにおいても同様です。

 現場が始まり、監理をしていても、配筋検査や仕上材のの選定や色の決定、法規
をちゃんと守っているかなどがどうしても、主体となる。現場をよく知らないからどうし
ても、自分の得意の土俵で持って、チェックをすることになる。
そういう点を施工者は少し馬鹿にした感もあるし、設計者を多少なりとも認める
意識もある。
 一方、施工者も、法規がどのような絡みをもって、窓や仕上に及んでいるかを知ろ
うともしない。分らないところは、質疑を出す以外、知ろうとしない。設計者程度には
知らなくてはならないが、設計者とは違って工程や安全の管理、仕事の手配や工事
業者の施工図の監理などもしなければならず、その多忙さにおいて、設計者よりは
るかに量的に仕事がおおいし、設計者の仕事は設計者がちゃんとすれば良い、
と考えます。


 また、設計者は施工者という安全弁を持っていることも問題です。。
設計者は、たとえ設計が基本的には問題がなくても細部で間違っているケースがあ
ったとしても(実に多い事!)施工者が気づいてくれる、あるいは施工者の責任にす
してしまおうという訳です。あるいは、施工者で何とかしてもらう。という、意識がどこ
かにあります。

 つまり、設計者は、
「この図面の通りにやってくれ責任はちゃんと私が取る」
とはとても言いたくとも言えないのです。なぜなら現場の収まりや、自分たちが気付
いていない不都合が、設計図に絶対にないとは言えないからです。。

 もし完全に近い設計図であるなら、私のような施工図屋は、設計図を見やすくする
位の仕事しかないはずである。

ところが、そうではない。

 設計図相互でも辻褄の合わないところは、山ほどあり、それを確認しながら、
一枚づつ書き上げる膨大な時間は、確かに、設計者サイドでは資金、能力、人員と
も対応できないであろう。しかし、ゼネコンなどの建設工事費用などの取り巻く
環境も厳しくなり、私たち施工図を書く人間も工事着工から竣工まで、以前のように
長らくは置けなくなってきています。人件費がかさむからです。

 最後まで、そこにいられるという安心感は、いい建物を造ろうという忠誠心を持た
せるものですが、短期にだけ雇われると、そういう気持ちも薄れてくる事も事実です。

 設計者も、少ない施主からのパイの確保に、もうまったく余念がない。何よりも
お金が儲からなければ、会社としての存続すら、危ういのです。
 設計者も、施工者も、また施主にとっても建物を建てるに、良い時代ではありませ
ん。








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