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板の平均膨張率は、合板の厚さ、構成比(表板と平行の単板厚さの和/表板と直行する単板厚さの和)にもよりますが、厚さ6mm、構成比0.57のラワン合板の場合、含水率1%当たりの膨張率は、0°方向で0.023%、90°方向で0.021%程度です。また、素材との比較では、吸・放湿に伴う合板の寸法変化率は、素材の繊維方向の2〜3倍、繊維直行方向の1/20〜1/10程度です。
合板の耐久性は、使用接着剤により変わってきます。フェノール樹脂を用いた合板は、野外環境に長期間暴露されても高い耐久性を有しています(3プライ合板を15年屋外暴露した場合で残存率は50%程度)。表面処理を施さない合板は、単板の劣化が激しく、接着層よりも単板の寿命に左右されます。木造住宅の外壁下地に使用した例では、実際の使用環境下で約20年経過後の強度性能は、規格基準値を満たしています(木造住宅の構造材に使用される場合、使用環境は暴露環境よりゆるやかなため)。
ユリア樹脂を用いた合板は、屋内では長期の使用が可能ですが、屋外では接着剤の劣化により3年程度ではく離しています。 合板の耐久年数は、長期間経過後のデータも少なく、難しいことですが、屋外環境にさらされる恐れのある場合は、JAS特類合板に表面処理を行って使用することが必要です (メラミン・ユリア樹脂接着剤使用の合板では、屋外暴露1年が20℃90%RH環境下のほぼ10年にあたるという換算理論が提案されているようです)。 ※木材工業ハンドブックから引用。監修者:独立行政法人 森林総合研究所。
接着層及び熱圧縮による密度増加等の影響が無視できる場合は、素材と同一です。合板の密度が0.55(g/cm3)の場合で0.11λ(kcal/m・hr・℃)であり、密度0.46〜0.60のラワン材と同じです(いずれも気乾状態、20℃における値)。
合板の単板構成が厚さ、寸法変化率、弾性率などの点で中立軸に対して対象でない場合、裏割れが多い場合、繊維傾斜が著しい場合、又は単板の乾燥度が不均一な場合等に反りが生じます。反りの原因は、水分変化によるものが多く、製造時の単板含水率を気乾状態に近づけることで少なくすることができ、熱圧後に平面の状態にして冷却することも効果があるようです。
むしれは、材質、単板品質、木裏、木表の別等で左右されるようであり、健全な材から裏割れ、面粗さの少ない良質単板を使用し、木裏面を外側にしないようにすればかなり防止されると考えられます。JAS規格では、表面加工を施したものも対象となっていますので、この方が、むしれに限らずコンクリート表面の硬化不良の恐れもなくなります。
11−6 コンクリート型枠用合板の硬化不良について |
硬化不良は、樹種により差がありますがアルカリにより抽出される糖類が原因といわれます。特に、長時間の光照射(長時間の暴露)を受けたものに顕著に現れます。
防止対策としては、前項と同様表面加工を施したコンクリート型枠用合板の使用をお勧めします。
11−7 コンクリート型枠用合板のコンクリート面への着色汚染について |
セメントはかなり強アルカリ性であり、遊離したアルカリが木材のタンニンやリグニンと反応して変色を引き起こすといわれ、合板表面の劣化に注意して使用することが大切です。また、樹種によってその度合いも異なります。 着色した色を除去するには、軽度の汚染にはシュウ酸水溶液、重度のものは過酸化水素水(2%程度)が有効のようです。 最近は、合板表面に塗装を施した表面加工コンクリート型枠用合板もありますので、使用時に検討してみて下さい。
11−8 コンクリート型枠用合板の硬化不良について |
硬化不良は、樹種により差がありますがアルカリにより抽出される糖類が原因といわれます。特に、長時間の光照射(長時間の暴露)を受けたものに顕著に現れます。 防止対策としては、前項と同様表面加工を施したコンクリート型枠用合板の使用をお勧めします。
水溶性のものであれば、洗剤を含ませた布で拭き取ることができますが、油性のものであれば、エチルアルコール類で拭き取ることができます。シンナー等を含ませた布で合板表面をこすると、表面の塗料まではがれる恐れがあります。
海外の合板製造工場がJASの認定を取得するには、登録認定機関に申請し認定された後に、認定工場が自己格付します。海外の場合は、登録認定機関が本会のみでなく、
外国にも存在します。普通合板は、JASマークを表示するにはホルムアルデヒド放散量の表示が義務付けられていますが、コンクリート型枠用合板及び構造用合板は、この表示は任意となっています。
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