| マンションの横隣の住戸や上下の住戸、あるいは同じ家の中での音の問題にトイレからの騒音があります。これは、話し声とか、子供の飛び跳ねなどとは基本的に発生の仕方が違うのですが、それでもそこに人が介在していることには違いがありません。
そこで、トイレの使用から発生する騒音の原因と対策を探ります。
トイレから発生する騒音の原因を特定するには、実際のところ専門家に見てもらうしかありません。トイレの流す音は騒音ではありませんので、騒音というとそれ以外の発生源があることになります。トイレの流す音は、騒音ではないと書きましたが、騒音である場合もあります。例えばトイレの真下に寝室や子供部屋などがある場合など、静けさが要求されるところでは、特に気になり、騒音となります。
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 | トイレの位置が適切な例
トイレが洗面や浴室に囲まれており、しかも隅にPS(パイプシャフト)が設けられていて騒音となりそうにない。ただしトイレが洗面所より入って利用する導線は、最近では殆ど計画されないので一考が必要ではあるが、騒音を防ぐには適切。
| トイレの位置が不適切な例
和室4.5畳と洋室に面して壁一枚で隔てられているトイレ。問題となりそうなPS(パイプシャフト)も洋室に壁一枚で隣り合わせている。今あるPSをすぐ下との部分と入れ替えてもよかった。トイレを他の水回りに集めてもよい。
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トイレは洗面、風呂や台所などの水回りの近くに設置することが通常で、ここから大きく離れた場所に設置するようなことは、通常の設計では殆どありません。それは、それらに対する給水や排水をまとめやすく排水処理しやすい、まとめやすいとコストが掛からないなどのことがその理由です。
ところが、間取りの関係から避けられない場合に静けさを要求される位置にトイレを配置せざるを得ないことがあった場合に、トイレの流す音が騒音となってしまうことがあります。この騒音は、他の住戸に及ぼすというのではなく、この住戸内にとどまるものです。したがって、家族間で我慢ができないということはありえませんが、住宅を購入する場合は、気を付けたい点です。

通気管の取り付けの例(スイスイは商品名です) | 建物内部では、排水管一杯に流れる排水によって排水の上部が空気不足によって負圧になるため、点線の赤丸部分(右側の三カ所)から空気を取り入れ、これを緩和します。反対に排水の下部は排水による空気が圧縮され、逃げ場がなくなるため、建物の外部に設けられた点線の赤丸部分の通気管から空気を逃します。
この空気は排水の匂いがありますので、屋上や建物の高い位置に設けるのが通常です。 尚、内部の通気管は空気の吸い込みだけ機能する構造となっており、空気が逆流して室内に匂いが出る心配はありません。
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建物内の排水系統またはタンク類において、排水管内の流れを円滑にし、 管内気圧の変化に応じて空気を補給したり排除したりする通気のために設置される管のことです。
排水管に満水で排水が流れると、管内の上流側の空気は水に引っ張られ、マイナス圧となります。そうすると、その排水管につながっている、便器や洗面器などのトラップの水が吸い込まれ、臭気防止のための溜まり水(封水)が無くなり、下水本管からの臭気が上がり、不衛生でもあります。
また、このとき、管内の下流側の空気は圧縮されてプラス圧となり、その先に接続されている便器や洗面器のトラップから、溜まり水が噴き上げることがあります。
このような現象を防止し、スムースに排水するために、ビルなどでは排水管の上部と下部など、また平面的には各階の排水配管の端末などに通気管を接続しています。 通気管は汚水や雑排水などの臭気が排出されるため、建物の外壁や、マンションの屋上などで開放されているのが普通です。
トイレを流すと 「ボコ ボコ」 と音がします。これは水がパイプの中を埋め尽くして空気の流れる場所をなくしながら進むので、パイプ上流の空気が薄く なって、洗面台や浴槽や台所の排水口から空気を吸い込んでしまうってことなんです。これは、通気管の不備によってもたらされたものです。
通気管の不備による障害は、洗面所や台所は、排水管の嫌な臭いを発生させないようにトラップという器具が取り付けられています。トラップには、常時水が溜まっており、排水管からの臭いが立ち上がって来て、便所内に立ち込めるのを防いでいます。これは、トイレを流しても、最後の水が残り常にトラップ内に一定の水が残っています。しかし、通気管がないと、この水が負圧のために引っ張られて無くなることになるわけです。これが「トラップの封水が破れる」という現象です。
音より臭いの方が我慢できません。
対策としては、
一般戸建て住宅の場合は、排水管の径を大きくするか、通気管を設けるで解決します。しかし、マンションやホテルの場合は、通気管を設置することになりますが、たいていの場合計画段階で通気管を設けている筈で、まず問題が発生することはありません。
画像出典:未来工業株式会社 元図を縮小しています。
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↑:防振ゴム付き吊バンド
↑:防振ゴム付き縦バンド
給排水管からの騒音は主に振動によるもので、それを防ぐために防振ゴムを使用します。メーカーによって形状が多少違いますが、目的、効果はほとんど差がありません。なお、給排水管が床スラブ上に配管される場合にも基本的に防振ゴム付き縦バンドを床に応用したような保持の仕方になります。図は、スラブ下の配管の場合です。
画像出典:モノタロウ
区画貫通部では下の図のような配管で騒音を減らすことが出来ます。耐火二層管は、防火区画などの区画貫通部には必ず使用される管です。それに騒音を減衰させるグラスウールと遮音シートを巻いてさらに減少させます。

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 |  | 蛇口が開いている時
蛇口が開かれていると水圧により水がほとばしり出ます。
| 蛇口が閉じられた時
蛇口を絞ると、それまでの水の動きが急にさえぎられて、勢いの付いた水流が水栓の近くに将棋倒しのように押し寄せて音を発します。 | ウォーターハンマーとは「水撃作用(すいげきさよう)」のことです。ウォーターハンマーは文字通り、“ウォーター”つまり水の塊が配管等に衝突したり、塊同士が衝突して、あたかも“ハンマー”のように大きな水による衝撃を与える現象です。
原因
@配管中を流れている水などの流体が弁などによって急に閉止された時に衝撃的な高圧が生じる現象です。一列に多くの人が並んで走っている時、先頭の人が立ち止まってしまうと、後続の人の流れが次々と止まった人に当たり、ドミノ倒しになるイメージですね。その衝撃が、狭い水道の配管内に起きると大きな音を立てることになります。
ウォーターハンマーの音に関しては、「コーン」とか「カーン」とか書かれた記事を見ますが、私の知っている音は「鳴りの悪い太鼓」を叩いたような、あまり響かない音と言うのが一番正確かと思います。
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対策としては、
@水道の蛇口をゆっくりと閉じること。 A蛇口を閉じた時に生じる圧力を緩和する器具(ウォーターハンマー防止器)を取り付けること。(右の図)
で気解消できます。カラン部分を図のものと取り換えるだけで、この部分がカランになります。値段は5000円程度。自分で取り換えが簡単にできます。ネットで買えます。 | 
画像出典:SANEI
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