| 鉄筋コンクリート造の重量床衝撃音の低減のためには、床の構造躯体の厚さを増加させる、床を重くする、振動を抑えるように床の端部の取付け方を工夫する、衝撃音を増幅させないように床仕上げ材の種類を選択する、などといった対策が必要となります。
重量床衝撃音の発生を抑える構造体(一般的な考え方) | 床の剛性や重量を上げて床そのものの振動の発生を抑える方法です。 | @ | コンクリートの床の厚さを厚くする。 | A | コンクリートの床の上にモルタルを重ねて打つ。 | B | 剛性の高いコンクリートの床にする。 |
構造である床スラブが、支持条件が同じならスラブ厚さでどの程度の低減になるのか表で表しました。(「スラブ厚さとスラブ面積における遮音等級の目安」参照)
軽量床衝撃音の遮断性能を向上させるためには、重量床衝撃音の場合と同じように、床の構造や構成方法の違いに応じて、床の構造躯体の厚さを増加させる、衝撃音を増幅させないように床仕上げ材に軟らかい材料を選択する、といった対策が必要となります。ここでは、このような対策のうち、その効果がある程度定量的に判断できるものについて、評価することとしています。 なお、重量床衝撃音の遮断のため有効な対策がそのまま、軽量床衝撃音の遮断に有効であるかどうかは、個別のケースにより異なります。
重・軽量衝撃音の低減方法として次の三つをあげました。重量床衝撃音が発生してしまっている構造体となっている場合の、遮断性能を向上させるために対応方法を下記に挙げました。
マンションなどの集合住宅のコンクリートスラブ床の上にレベルの調整可能な支持脚で床パネルを支持し、床板を浮かせる床下地ユニットです。
この方法は元来、コンピューター室などの床下の配線に便利なためよく使われて来ました。店舗や展示場で同様の目的で二重床は多用されています。その応用として、殆どのマンションなどの集合住宅の階下等二も騒音防止が主目的として使われるようになりました。
1. 乾式二重床工法の構成の一例 |  | 軽量床衝撃音の緩和の方策の床仕上げの例基本からいえば、最終仕上材であるカーペットやじゅうたん仕上げが有効です。フローリング調の塩ビシートの使用で緩和が可能です。 |
2. 乾式二重床工法の下地材と用途先 |  | 重量床衝撃音では、主にその床支持材の対応が焦点となります。床仕上げでの上で生じた重量床衝撃音が、床支持材で吸収・緩和されるような二重床構造とします。 |
では、床から発生する重・軽量衝撃音対策の具体例を考えてみましょう。この対応策は、重量床衝撃音の構造体での対応以外の方法も軽量床衝撃音に対する対応方も含めた総合的な対応策の例です。
二重床工法には大別して、「乾式二重床工法」と「湿式二重床工法」の二つの工法があります。二重床工法にはいろいろな考え方があり、構成の仕方も様々ですが、基本とするところは同じです。
『乾式』は床組で水を使用することはありません。『湿式』は一部に水って床組を構成する部分があるといことで、ここでは「浮き床コンクリート」に水を使用しますので、こう呼ばれる所以です。
乾式二重床(床先行) |  | コンクリートスラブなどの躯体にの上に、床レベルの調整が可能な支持脚(しじあし)で床パネルを支持して床を浮かせる床下地ユニットのことです。一般的には、「二重床(にじゅうゆか)」とか「置床(おきゆか)」と呼ばれています。用途は広く、最も普及している工法です。この床施工には先に壁を作りそのあとに、床を組む「壁先行」と床を組んでから壁を作る「床先行」があります。鉄筋コンクリート構造類では壁先行工法、木造建築などでは床先行工法が多いようです。二つの工法では床先行工の方が、衝撃音の下階への影響は少ないくなります。
上の図のように、コンクリートの躯体の床と壁が二重床やコンクリート内側の仕上げの壁とが縁が切れているか、両者の間に最小限度の緩衝材を挟むことが必要です。壁仕上げについては、「11.直貼り工法の界壁騒音問題」をご覧ください。
・集合住宅(マンション) ・店舗や展示場 ・体育館 ・病院や老人健康保健施設 などが上げられます。
|
湿式二重床工法 |  | 湿式浮床工法は防振工法の1種。防振材にグラスウールやロックウールを用いています。その上にコンクリートの浮き床層を設ける。この方法は確立されたもので、重量衝撃音に対し有効です。 浮床工法とは、RC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の集合住宅や大型の一般住宅などで、床の遮音効果を高めるために用いられている工法の1つ。コンクリートスラブなどの床構造体と床材とを離し、その間に防振材を挟み込むことで、床の音が直接構造体に伝わることを防ぐ。
一般に、コンクリートスラブの上にグラスウールやロックウールなどの防振材を敷き、その上にコンクリートを流し込む方式を「湿式浮床工法」、木材や合板、ボード、成形材などでつくった床構造体を床材の間に支持脚を挟み込む方式を「乾式浮床工法」といい区別しています。。 他の根太床工法、置床工法と合わせて、「二重床工法」と総称することもあります。
|
これまでは、床の衝撃音に対する対応の仕方の例を見てきましたが、それに加えて、階下の天井にも対応を行う方法を紹介します。音出す階のすぐ下の階にあっては、構造体としての床スラブの振動が重量床衝撃音の元といえます。そこでこのスラブに取りついている、音を出す下の階の天井の下地材にも振動を吸収する材を利用しようとするものです。
防振天井 |  |  | 上の図1と2、左の図3は大手ゼネコン の竹中工務店の天井の防振と耐震の3 仕様です。同社にかぎらず大手のゼネコ ンでは、独自の防振や耐震仕様の天井 システムを開発しています。
その仕様に、細部においては多少の違 いはありますが、考え方た手法に大差は ありません。図3が防振にも耐震にも優 れた方法です。
その他にも天井吊金物がダブルにする ことによって、振動を更に低減することも 可能です。(下の図の右側)
下の2つの画像出典:昭和電線ケーブルシステム
| 
吊金物シングル | 
吊金物ダブル |
遮音の性能をあげるのには、一般的に遮音材の重量が重いほど、効果が期待できるます。従って一般的な天井材であるプラスターボード9mmではなく、15mmを二枚重ねにはり、しかも、天井のふところを300mm以上にする必要があります。ただ、窓や壁などからの回り込みによる騒音もあり、低減があまり期待できません。
|
|