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 4. モルタル外壁の長所

 モルタルは、ごく身近に見かけると、冒頭にも書きました。それは私たちの住まいの外壁においてです。1980年代までの日本の一般住宅の外壁に多く使われ、築25年以上の一般建築物によく見られます。

 ■モルタル外壁の長所
どんなものにも短所と長所はあります。そこでこのページでは、モルタル塗りの長所を次のページでは短所を取り上げます。

 モルタル外壁の長所
@
下地サイディングのように継ぎ目が浮き出ない。このため塗壁の正規の工法として確立している。
A
ガルバリウム鋼板のように熱くならない
B
コーキングによるジョイントがない
                出典:ウィキペディア

 ■継ぎ目がない
 @のサイディングでは、サイディングの長さが、運搬加工の制約からどうしてもつなぎ目を設ける必要があります。つまり縦目地ができます。
 一方モルタルは、そういう制約はありません。最新のモルタル塗り外壁でも目地を設けているものはほとんど見かけません。下塗りで十分ひび割れを発生させているからでしょう。しかしひび割れしやすい材料ですので、要所にひび割れ防止誘発目地を設けることが適切です。設けた場合は、これがつなぎ目といえます。

 ひび割れ防止誘発目地は、モルタルが自然と出来るひび割れという宿命を利用して、事前に計画的に目地を設けて、そこにひび割れを起こさせようとする行為です。それによって、思ってもいない場所や起こさせたくない場所に起こらないようにします。このことがモルタル塗り外壁で一番大事なことです。


 ■鋼板のように熱くならない
 Aのガルバニウム鋼板は早く言えば、耐候性のある鋼板で工場などの外壁、あるいは工場の波型をした屋根によく見かけます。鋼板は炎天下では、触るとやけどするほど熱せられます。特にガルバニウムに限らず鉄板張りの外壁であれば同じように熱くなります。モルタルも熱くはなりますが、鉄板ほどではありません。しかし、それは直射日光の当たる部分での話で、建物内部にあっては、サイディングの方が優れています。これはサイディングの厚みの部分には残熱効果のある材料が挟まれていることによるものです。

外壁材
形状イメージ
熱伝度率
比較値
金属系サイディング 厚さ18ミリ
0.022
窯業系サイディング 厚さ16ミリ
0.13
5.0
モルタル塗り     厚さ20ミリ
1.1
50

画像出典:上二つは旭トステム外装(株)   一番下日本左官業協同組合連合会

 ■ジョイントがない
 Bのコーキングによるジョイントがない、というのはその通りですが、@で説明した通り、目地を設けないからであり、ひび割れを嫌うなら、本来設けるべきものです。



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 さて、最近徐々に人気が出てきた外壁モルタル塗り仕上げですが、その上の塗装に関していろいろな種類と塗装の仕方があります。吹き付けのような塗装は、塗装工の仕事ですが、同じ塗装といっても薄く塗る仕上げは、左官の仕事です。見積もりも全然変わってきます。下図は左官による仕上げとなります。今人気の塗り仕上げを紹介します。

 ■最近の人気の理由は仕上げのバリエーション
 最近は、サイディングと呼ばれる工場で生産された板状の外壁材が人気で、外壁材を選ぶ人の4割弱を占めています。モルタルは3割弱で二番手になりましたが、人気がまた出てきました。その理由は、モルタル塗りの後に仕上げとしての、塗装の多様バリエーションがあげられます。

 左官(モルタルを外壁に塗るなどの仕事をする人)がこの塗装を手仕事でおこないます。その技術によって風合いを出すことが出来ることが人気の理由のようです。

 例えば下の写真はジョリパットと呼ばれる、外壁仕上げの塗装材です。この例だけでも、変化に富んだ仕上げを作ることが出来ることが、外壁モルタルの仕上げが人気が出てきた要因だとわかってもらえる思います。しかも、メーカも複数あり、それぞれがジョリパット同等品で違ったパターンを作り出しており、このほかにも何十種類もあり、選択に困るほどです。


れん波
さざ波
水仙
りんどう
レイヤーストン
縄文
ファアタジブロック
校倉(あぜくら)
クラディウス
ラディーチェ

 出典:アイカ工業 ジョリパット(名称とも)


 ■従来の仕上げ
 上で取り上げたモルタル塗り外壁の仕上げとしての塗装は左官仕事でした。しかし、これまで1980年代の一世を風靡していたのは、塗装工によるモルタル面の塗料の吹き付け仕上げでした。その主なものは下の図のようなリシン吹き付けや吹き付けタイルと呼ばれるものでした。色モルタル掻き落としもよく用いられたました。
 色のついたモルタルを塗り、少し乾いてから角棒などで掻き落とす方法で、塗装とは一味違った感じがします。


@
A
B
リシン吹き付け
吹き付けタイル
色モルタル書き落し

出典:@Aはエスケー化研、Bは左官業協同組合連合会

 ■モルタル塗りとサイディング
どちらが良いのか。
その判断は、建売住宅では自由に選択できません。したがって悩むことはないのですが、注文建築であれば、どちらにするか迷うところです。
モルタル塗りは仕上げに自由が利くということが最大の利点でしょう。上でも述べたように自由な塗りの仕上げのバリエーションが選べますし、一部にタイルを貼ることも可能です。

それに比べれば、サイディングは、工場の生産品であり、多くの中から選択することが出来ますが、その一部を自由に変更することはできません。
            




 





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