| 建物が完成するまでには、何もない状態から、土を掘り、基礎を作り掘った土を 埋めて地上の階を作り上げて行く仕事が出てきます。建物は、私達の伝統の住家は 木造ですが、マンションや事務所、工場、店舗などは殆どが木造以外の工法によっ て居ます。木造は、住宅以外に建てられる事はまずありません。木造以外といえば、 鉄筋鉄骨コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造の三つに大別出来ます。日本 の建築は木造以外は全てこのどれかで出来ていると考えて差し支えありません。そ のうち、今回は鉄筋コンクリートのコンクリート打ち(コンクリート打設)と呼ばれる作 業の一日の概略を書いてみました。
コンクリート打ちは、型枠と呼ばれる木製で出来た建物の形をした鋳型の作り、この 中に鉄筋が配置されており、その隙間にコンクリートを流し込むのです。この流し込 む作業をコンクリート打ち(コンクリート打設)とよんでいます。一度にコンクリートを 打って建物を一挙に作り上げてしまうのではなく、階ごとに打ち上げて行きますの で、10階建ての建物ならば、10回はコンクリート打ちをする事になります。大体、1-2 週間位の間隔で階ごとに打つますので、近隣の人は、何回もうるさいなーとなりま す。屋上の一部の階段室などもあり、それらを含め、基礎も含めると、12回は少なく ともコンクリート打ちを行います。通常、小さい建物なら、ほんの数時間で終わります が、大きな建物では、朝早くから、夕方までかかります。それでも終わりそうもない 場合は、打設の機械を増やして対応します。 それでも間に合わないときは、日を分けてうちます。 では、記録開始です。
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ガードマン3人がゲート(車が出入りする仮設の門)の脇にある潜戸から現場に到 着。現場が少し狭いので、みな電車通勤でやってくる。すぐに着替えて、ゲートの鍵 を開けて、工事関係者の車両の誘導の準備をする。今日はコンクリート打ちの日 だ。もうすぐ、ポンプ車がやってくる。この機械で今日は5階の躯体を打設する。 実際の、打設開始は8:30分と近隣の住民との協定で定められている。しかし、その 時刻からすぐさま打設し始めないと今日中に予定通りに終わらないかも知れない。 朝から、だから、それまでに用意万端を整えて待たなければならない。ガードマン は、車両の安全な出入りや、近隣の住人の通行に安全を確保することが最大の役 割だ。
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建築工事主任のT氏がやってきた。今日のコンクリート打設の指揮をとる重責だ。 この現場の工事の采配は、殆ど彼が指揮によって動ている。浮かない顔をしている のは、天気が少し怪しくなってきているからである。雨になれば程度によっては、 始まる前であれば、中止しなければならないからである。そうなると、コンクリートミキ サーの運転手や、現場で誘導するコンクリートの打設指示者、コンクリートを均したた り、押さえたりする、左官、コンクリートが満遍なく行き渡るように、バイブレーターを かける土工、型枠大工、など総勢14人が今日の仕事を失う事になる。
早いうちに決断しなければならない。インターネットで天気予報を検索しても気が 晴れないが、何とか持ちそうだ。「コンクリート打設決定」を決断する。また、電気や 衛生給排水といった、設備のの工事業者も立ち会うために、やって来た。
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