| マンションの隣の住戸の音がよく伝わって来る、と言う苦情も多くあります。この苦情の特徴は、話し声、テレビの音、目覚まし音など、日常生活のプライバシーに関する音が伝わると言うものです。
施工の不良箇所はなく、お隣の住戸とのコンクリート製の界い壁(これを界壁(かいへき)と呼んでいます。)に対する仕上げ方法に問題がありました。
問題の仕上げとは?
お隣とのコンクリートの壁に30cm程度のピッチでGLボンドと呼ばれる接着材をコンクリートの壁に取り付けます。これは、粘りのある饅頭くらいの大きさです。これに、更にボードを押し付けると、接着されて、仕上げが出来るというものです。コンクリートにペンキを塗ったり、クロスを貼ったりするためには、とても手間と時間がかかるため、こうした工法ができたのです。
この工法を直張(じかばり)工法と呼んでいます。この工法は、お隣の音が、このGLボンドと呼ばれる接着剤が、仕上げ材と一体となって音の振動に対して、バネのように働き、結果的にはお隣の話し声などが聞こえる結果となったのです。 話し声など、特にプライバシーに関する音域である250Hzと2〜4kHzに遮音性能の落ち込みがあります。
問題の解決方法は簡単に言えば、直張り工法をしない事です。しかし、前にも書きましたが、コンクリートの壁に直接仕上げをするには、手間(お金)と時間がかかるため、今でもこの工法がとられているマンションも少なくありません。
最近では、お隣とのコンクリートの壁面に直接、接しないで内側に下地を作って、壁を作り、ボードを張る仕上げも行われるようになっています。(下図右側)この場合でも直貼り工法よりはるかにコストがアップします。
では、既に出来上がってしまっている場合はどうすればよいのでしょうか。こうした場合は現況の直張工法をやめて直接仕上げとする方法が第一ですが。塗り仕上げが生じ、室内を汚す可能性も多い。あるいは、内側に地を組んで更に壁を設ける方法もありますが、仕上げとも含めて120mm程度は部屋が狭くなる為、新たな問題も生じてきます。
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