| ■木造住宅の階段幅 住宅の階段は、前ページのとおり建築基準法では「有効幅」が75cm以上、踏面(ふみづら)寸法は15cm以上、蹴上げ(けあげ)寸法は23cm以下と決められています。 このとおりに、作ると、大体、角度にして、57度程度になります。踏面20cm、蹴上20cmで45度ですから、基準法の示す最低限の階段は相当険しいという事がいえます。幅は最低限75cm以上と定めています。廊下の幅は柱の幅によって制約が出ます。
しかし、この規定は最低限の数字であり、90cmもあれば尚良いわけです。しかし、実際にはこれはとても難しい話なのです。
日本の木造住宅の柱と柱の間隔は、殆どの場合、90cmとか91cmが標準となっています。これは
1間=1.818・・・ →約1.82メートルと、日本の古くからの単位のメートル換算から来ています。柱間隔はこの半分、つまり1.82÷2=0.91=91cm、あるいは、さらに数字を丸めて,きりのいい90cmとしています。従って、柱の芯から次の柱の芯まで91cm又は90cmだという事になります。
次に、柱の内側には階段を受けるササラ桁と壁の仕上のボード9.5cmなどを引くとササラ板のチリを5ミリ程度みて、75cmよりわずかに広い程度または同じにしか取れないのが現実です。
■柱の太さ(小径)について 建築基準法施行令第43条では柱の太さのことを柱の小径と記述しています。 柱は一般的に四角いものですが、絶対に四角くしなければならないものではありません。円形でもいいわけですから、柱の中心からの直径を小径といっているわけです。四角い柱なら四角の内接円がその数値となります。一般的な木ぞ住宅であれば2階建てで105cm角、3階建てであれば135cmとなります。
建築基準法施行令第43条 (柱の小径 構造耐力上主要な部分である柱の張り間方向及びけた行方向の小径は、それぞれの方向でその柱に接着する土台、足固め、胴差、はり、けたその他の構造耐力上主要な部分である横架材の相互間の垂直距離に対して、次の表に掲げる割合以上のものでなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
この条文表がこれです
横架材相互間の垂直距離に対する柱の小径の割合 | | 張り間方向又はけた行方向に相互の間隔が十メートル以上の柱又は学校、保育所、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、物品販売業を営む店舗(床面積の合計が十平方メートル以内のものを除く。)若しくは公衆浴場の用途に供する建築物の柱 | 左欄以外の柱 | 最上階又は階数が一の建築物の柱 | その他の階の柱 | 最上階又は階数が一の建築物の柱 | その他の階の柱 | (一) | 土蔵造の建築物その他これに類する壁の重量が特に大きい建築物 | 1/22 | 1/20 | 1/25 | 1/22 | (二) | (一)に掲げる建築物以外の建築物で屋根を金属板、石板、木板その他これらに類する軽い材料でふいたもの | 1/30 | 1/25 | 1/33 | 1/30 | (三) | (一)及び(二)に掲げる建築物以外の建築物 | 1/25 | 1/22 | 1/30 | 1/28 |
この表の色主部分が一般木造住宅が該当する部分です。(三)は例えば日本瓦葺きのケースに当たります。
この表では木造の3階建の記述はありませんが。
建築基準法施行令第43条第2項 地階を除く階数が二を超える建築物の一階の構造耐力上主要な部分である柱の張り間方向及びけた行方向の小径は、十三・五センチメートルを下回つてはならない。ただし、当該柱と土台又は基礎及び当該柱とはり、けたその他の横架材とをそれぞれボルト締その他これに類する構造方法により緊結し、かつ、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
とあります。つまり3階建ての柱は上の表の色塗り部分の「その他の柱」以上でなおかつ13.5cm以上でもある必要があります。
ただし、当該柱と土台又は基礎及び当該柱とはり、けたその他の横架材とをそれぞれボルト締その他これに類する構造方法により緊結し、かつ、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
とただし書きがあります。一般的に柱は120角が使われているケースがほとんどのようです。構造計算で出せば、120角でも可能で、13.5cmは簡易構造計算で出した値で、安全率がプラスされたものであるといえます。実際に建築確認申請では、木造3階建ては構造計算書を添付しなければなりません。
横架材間の垂直距離とは何か、と言えば下図のAに当たる部分です。 1階で言えば、土台の上から2階の胴差(大梁)の下までの距離です。 2階で言えば2階の床梁の上から軒梁(大梁)の下までということになります。梁の成(せい)、つまり梁自身の高さは使用箇所によっても違ってきますが、その最梁の成のもっとも小となるものをもって決定します。つまり柱が一番長くなるケースです。
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