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トイレの内部空間の確保には基準があります。ここに揚げたのは、その基準寸法です。決して充分ではありませんが、トイレに必要な(最低限の)寸法です。余り広いと日本人は却って落ち着きませんが。
トイレの広さは、幅より奥行きの方がやや広く、その比率は1:1.1以上が望ましいといわれています。幅は、人の肩幅より左右に少なくとも10cm以上は余裕が必要で、800以上が望ましく、現在の日本の木造建築の柱割のモジュールが、90cm〜95cm、壁仕上げを差引くと大体、内法寸法は80〜85cmになり、体格に個人差はあっても、ほぼ満していることになります。これは和風、洋風トイレ共通した寸法です。
下図の洋便器の先端からその前の壁までの距離(A寸法)は40cm以上は必要です。これ以下になると、座位での用便時に頭が前の壁に付いてしまいます。また男子が小便時に背中が壁に当ってしまいます。その上、体の向きを変えることも困難です。
A寸法を40cm以上とし可能な限り50cmとしたいものです。B寸法は洋風便器の洗浄方式にもよりますが、65cm〜75cmは必要です。日本の木造建築の柱割モジュールからしますと、90cmとその半分の45cmを足した、135cmですと便所の奥行き寸法が120cm程度がとれます(A+B寸法)。したがって、標準洋風便器のセミサイフォン式を使用しますと、A寸法は45cmと少しは確保できます。
和風トイレの寸法はしゃがんだ時に頭が前に突き出る為、C寸法は最低でも20cmは必要です。(標準25cm)。便器の長さB寸法はJISで57.5cmと規定されています。A寸法もやはり、しゃがんだ時に尻が後ろに突き出ますし、用便の後始末や着衣の整えに20-25cmは必要になります。これらを考慮して、合計をすると最低でも97.5cmで出来れば110cmから洋風便器と同様の120cmを確保したいものです。
まとめると下表のようになります。
洋風トイレ | | 和風トイレ | | | | トイレの幅80cm以上は必要
A=座った時の前方の空き40cm以上必要だが、50cmは欲しい
B=洋風便器の使用する便器のサイズにもよるが最低でも寸法65cm〜75cmは必要。使用する便器のサイズを確認が必要。
A+B=40+65=105cmは最低限必要
| | トイレの幅は80cm以上は必要
A=お尻方向の空き20〜25cm必要
B=和風便器の寸法75.5cm(JIS規格)〜
C=20cm以上必要
A+B+C=20+75.5=最低97.5cmは必要
| 上記トイレの共通事項として。 ■トイレの幅80cmは木造の柱のピッチが最低でも90cmであり、確保ができます。
■奥行に関しては自由に決めることもできますが、木造の柱のピッチ90cm+その半分45cmが使い易い最低限の125cmです。
■上記の数字は総て有効幅です。有効幅とは実際に使える幅(広さ)のことです。
■トイレの入口ドアの最小は55cmでも可能ですが、少なくとも60cmとする方が無難です。
■トイレの入口のドアは外開き(トイレ内に開かない)とします。不特定多数の人が利用するトイレ、例えばスーパー、ショッピングモール、学校などでは内開き(トイレ内に開く)ことになりますが、住宅のような限られた人が使用する場合は、外開きでも支障がありません。
■入口ドアの吊り元(取手とは反対側)をどちらにしたほうが、より広く開くことができるかは他の間取りや位置関係で決定します。また、取手のある近くにトイレ内の照明スイッチがあることの方がより使いやすくなります。
■外開きの場合左側に吊り元が来る方が一般的に「得て勝手」がよい。
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