| 不動産抵当権抹消登記とは、銀行など金融機関から融資を受ける際に不動産を担保に設定された抵当権を不動産登記簿の乙区欄から抹消し、その不動産に対する銀行などの金融機関の権利を消滅させることです。
もう少し分かり易くいうと、
「不動産抵当権抹消登記は、自分の土地や建物に付いている抵当権をなくする手続き」
ということになります。
抵当権 を抹消することにより、不動産登記簿の乙区欄に記載された抵当権には登記官により斜線が引かれます。また、登記事項証明書の場合は下線が引かれます。抵当権者に債務をすべて返済するか、別の不動産を担保提供することにより、抵当権が抹消可能となります。乙区とは権利関係の登記の記載がある登記簿の記載欄です。
尚、不動産抵当権抹消登記の表現を少し長いので簡略的に「自宅の抵当権抹消登記に挑戦」では抵当権抹消登記と略して説明していきます。
マイホームを購入する場合、通常は銀行から借り入れをして住宅ローンを組みます。銀行はこの貸付金の担保のために購入した不動産に対して抵当権を設定しますが、住宅ローンの完済をしたような場合は抵当権もそれに伴い消滅します。 これで事実上抵当権の消滅していますが、まだ登記簿には銀行の抵当権の記述は残ったままです。
したがって、登記簿から抵当権を抹消するためには、抵当権抹消登記をする必要があるわけです。
抵当権設定登記を銀行がしたのだから、抹消登記もしてくれても良さそうですが、通常銀行の方では手続きはしてくれずません。自分で登記の手続きを行う必要があります。これは、どこの銀行でも同様です。
もっとも、銀行には抵当権設定登記などを行う司法書士などが、タイアップでいますので、抵当権抹消登記も銀行と馴染みの司法書士を紹介してくれます。その場合、銀行がそのお金を負担してはくれず、自前の負担となります。
インターネットなどを調べていると、2000円台から3万円までが相場のようです。インターネットで私が調べた範囲では、1万円までのところが多かったと記憶しています。
その金額を銀行に告げて、もう少し安くならないかと交渉しても、 「ウチは、この値段でおねがいします。すみません」 と言葉は丁重ながら、不服ならそちらで司法書士さんを探して頼めばいいだろう、といったニュアンスの返答となります。これでは、どちらがお客かわかりません。
ローンの完済が終わると銀行は、 「当行のローンが完済されました。抵当権の抹消登記をするため、司法書士がお宅に伺って書類にハンコを頂きたいのですが、いつがご都合よろしいでしょうか」 といった内容の電話を当然のようにかけて来ます。自分たちの銀行に出入りしている司法書士を利用して抵当権抹消登記をするものだと頭から決めかかっているのです。
そこで、自分で行う場合や、知り合いの司法書士でたのむばあいは、 「こちらで手続きはするから、書類を至急に送ってくれ」 と言います。相手は少し驚きますが、手続きなどサービスの一貫くらいの気持ちなのか、無理強いはせず、 「では、お送りします」 といってきます。
なにも、本当は司法書士に頼まなくても、手続きはそれほど難しくないので自分で行うことも出来ます。本来は不動産の持ち主が行うべきことなのであって、司法書士に頼むのは代理として頼んでいるだけのことなのです。そういう方面に我々は一生に一度あるかないかの手続きなので不案内ですし、昼間は仕事も持っています。仕事を休んでまで自分でやるのと、司法書士に1万円出してやってもらうのとを比べれば、司法書士に頼む方を大抵の人は選ぶでしょう。慣れないことをやるのと、仕事を休んだりすることより、1万円支払うほうが結局得だと思うからです。
抵当権抹消登記が出来る人は、ローンが完済出来るまでの歳を重ねた人がほとんどでしょうし、仕事の一線を引退した人なら、合間をみて自分でやれないこともないでしょう。暇を持て余している人なら持って来いです。また、主人が働いていて時間が無い場合でも、奥さんがやってもよいことです。
手続きは最寄の法務局へ必要な書類を提出するだけで済みます。最寄りとは抹消登記をしようとしている土地を管轄する法務局です。従って現住所と不動産抹消登記をする土地が異なっていた場合は、抹消登記をしたい土地の管轄する法務局に提出することになります。ただし、抹消登記の手続きの相談は、現住所の管轄する法務局でもかまいません。法務局の所在地は、インターネットで検索するとすぐにわかります。(法務局のホームページの「管轄のご案内」というところを、リンクしております。)
抵当権抹消登記は難しくはないのですが、ちょっとややこしいだけです。普段私達が見慣れない書式に書き込まなくてはならないのと、何千万円もする財産に関することですから、失敗できないと緊張してしまいます。
そういう時のために、法務局では相談に乗ってくれます。最近の役所は法務局に限らず非常の親切に話に乗ってくれます。一昔の行政サービスとは雲泥の差があります。ただし、予約は必要です。
手ぶらで相談に行っても懇切丁寧に教えてくれます。しかしできれば、権利関係のわかる書類(家を購入した時に、司法書士から貰った権利関係の書類)を持参しましょう。そのほうがお互いに話を進めやすいですから。何事も経験です。
では、次のページから実際に私が、体験した抵当権抹消登記の話を順に書いていきます。
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