| 冬になると私は心が滅入ります。
寒いからではありません、静電気が発生が怖いからです。暖かそうな衣類やドアノブなどの金属に触れた途端、いきなり「バッシ」と音とともに特有の痛みを感じます。
青白い火花を見る瞬間もあります。思わず手を引いてしまいますが、時既に遅しです。冬という季節自体はそう厭ではありませんが、あの静電気がある限り、どんなに暑い夏より好きにはなれません。
| また、バッチと来た瞬間に思わず手を引いた拍子に、後ろに立っている人に肘鉄(ひじてつ)を食らわす結果になったり、人ではなく物に肘や手を打ちつけて二次災害になってしまうこともあります。こうなると、もう静電気に対する一種の恨みや憎しみしか起りません。
また、静電気度々に合うと一種の、神経症のようになって、冬の間中、何を触るにも怖さが先に立ってしまいます。特に、一番怖いのはドアの取手(とって)を握った時に来るものです。次が、自動車のドアの開閉の時ではないでしょうか。
私もそうなのですが、ドアの取手をつかむ時は、羽織っている上着を介して触るようにしたり、閉めるときはノブ以外の部分を触って閉めたり、履物で押したりします。
それでもそんなことばかりできる場所柄ばかりではありませんし、知らない人が見たらきっと怪訝に思うでしょう。それを思い浮かべるだけで、自分の滑稽さも想い出されて苦笑してしまいます。
| 家のドアノブで ビリビリ静電気 |
■静電気とは何か 一般的に電気を通しにくものは右の図のようにプラスとマイナスの電子が同量持っています。この時は丁度バランスの取れた状態にあります。しかし、例えばマイナスの電子が何かのきっかけで剥がれて、バランスが崩れると、その物体はプラスの方が多くなり全体としてプラスとなります。逆にプラスが剥がれてバランスが崩れるとその物体はマイナスが多くなり全体としてマイナスになります。 | | この状態を帯電していいます。剥がれる例をあげましたが、逆に、どちらが増えても同じことが生じます。
これは、基本的な状態ですが、同じ材の面でもプラスの集まりやマイナスの集まりがまだら模様に存在しているのが普通であり複雑な状態です。
静電気は、このプラスかマイナスかどちらかに帯びてはいるが、動かない電気のことです。動きたいが接触がないので動けないといったほうが良いかもしれません。静電気はその字のとおり物体に接触がない限り、電気が動かないでとどまっています。これは、乾電池が何も触れないと電気が流れないのと同じです。
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■静電気が動く時
プラスかマイナスの電気が物体にたまり続けて一定量に達するとたまり切れなくなります。そうなると他の物体に移動しようとします。そして静電気を蓄えている物体が、人間である場合、何かに触れたとたんに電気の移動が起きるというわけです。この電気の一瞬の移動は「放電(ほうでん)」と呼ばれるものです。触れた拍子にバチッとくるのはこの時です。金属などの電気を通しやすいものに触れるとこのバチッと来る度合いは大きくなります。例えば右の図のような金属性のドアノブなどです。 | | 私たちの生活では、外出時には靴を履きますが、底がゴムの場合が多くゴムは電気を通さないため放電が起きません。その上、化繊などの衣類は体を動かすことで擦れ合い静電気を貯めていきます。それが、建物や車のドアノブに触れた瞬間に一気に貯めていた電気が流れるという訳です。
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