| 静電気をよく通すものの代表は金属類です。通過速度が速いといってもいいでしょう。それに対してコンクリートや木材などは通さないと考えがちですが、これらも通します。ただ通過速度が金属類に比べて遅いのです。ここからいえることは、静電気をうまく処理する方法は、静電気を通しにくい物に触れて、体に溜まった静電気を嫌なバッチを感じることなく、逃がせるということです。
下表に静電気による「バチっと来る」程度について、具体的なものを上げました。この表でも分かるように、真ん中の「電気を通しにくい物(ゆっくりと流れるのでバッチと来ない」に触ることによって、体に溜まった静電気を逃がせばよいことになります。
静電気をよく通す物(バッチと激しく来る) | @ | 金属類 | A | 鉛筆の芯 | 静電気を通しにくい物(ゆっくり流れるのでバッチと来ない) | @ | 木 | A | 紙、本皮製品(本皮製品は乾燥が進むと通しにくくなる) | B | コンクリート、レンガ、石(乾燥が進むと通しにくくなる) | C | 乗り物のタイヤ | 静電気を通さない物(バッチと来ないが他へ流せない) | @ | プラスチック | A | ゴム | B | ガラス |
■静電気がたまりやすいもの
2つの物質が接触や摩擦、剥離などによって帯電するときに、物質はその性質によってプラスに帯電するのか、マイナスに帯電するのかが決まります。2つの物質を摩擦して、どちらかの物質がどちらかの極性に帯電するかをまとめたものが、下表で「帯電列表」といいます。
言い換えれば、電子が飛び出しやすい物体は、プラス帯電しやすい物質で、また電子を取り込みやすい物体は、マイナス帯電しやすい物質です。
その程度を順に並べた序列が帯電列ですが、その主な物質について表に示します。表は接触や摩擦が行なわれたとき正(+)に帯電しやすいものを左に、負(−)に帯電しやすいものを右に並べてあります。ただし、物質の成分配合や造り方などの条件によって、この通りにならない場合もあります。また、プラスマイナス共、数値を示していませんがかなりの差があります。
静電気の帯電列表 | | ≪正プラス側に溜まり易い物 | マイナス側にたまり易い物 負 ≫ | (溜めた物を放ち易い) | (放たれた物から受け取り易い) | なお、同じ物質同士を擦り合わせても、必ずどちらか一方が+極、もう一方がマイナス極となります。ただし、この時の帯電量は他の物質との間で生じる時より少なくなります。 |
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2物質を擦り合わせたとき、この表で正(+側)に近い方が+、負(−側)に近い方が−の静電気が帯電します。すなわち、左側にある物質が+極になり、2物質の位置関係が離れているほど電位差(帯電量)が大きく、強い静電気が起きます。ただし、この+−は、擦り合わせる2物質の関係などに左右されますので、絶対的な定義はなく、ある物質がいつでも+極とか、−極に帯電するとはかぎりません。
例えば、 ポリエステルと木綿をくっつけると、 ポリエステルは表の右側にあるので−極帯電。 木綿は左側なので、+極に帯電。
では、ポリエステルとテフロンをくっつけると、今度はポリエステルが左側になるので+極に、テフロンが−極に帯電します。このように、静電気の極性は、擦るものの組合わせによって決まります。つまり、マイナス寄り側同士でも、静電気はその間が離れていれば強くなる事になります。
なお、通電性の良い金属や、(生木とか水分を含む)木材なども静電気を発生しますが、帯電量は小さくプラスでもマイナスにもなります。
| ひところ話題になって、最近は少し聞かなくなったものにマイナスイオンがあります。マイナスイオンがある以上プラスイオンもあります。プラスイオンは静電気だとされていて、マイナスイオンの発生はこれを中和することで、静電気による害をなくそうとするものです。
人がプラスに帯電しやすいために、マイナスイオンによって電気的に中性化される効果を狙えるとしたもです。
ただし、マイナスイオンあるいは、プラスイオンというのは日本における造語で学術用語ではなく、マイナスイオンの効果にも世界的な定評を得ているという訳ではありません。
| 森と川、滝はマイナスイオンの発生装 置 |
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