| EXP.J(エキスパンションジョイント)をどのようにして二つの建築物の隙間(クリアランス)部分を繋ぐのか、といういわば大雑把な納まりを検討します。なお、隙間(クリアランス)がいくら必要になるかは、構造設計者が意匠設計者の意見を汲みながら、最良の位置や広さを決定します。
EXP.Jを設ける部分はクリアランス(隙間)となっています。 逆も真ですが。
この隙間の広さを決定するのは、構造設計者となり、意匠設計者の意見を聞いて、設ける位置と共に決定しますが、施主への説明も必要で承諾を得て置く必要もあります。
クリアランス(隙間)は基礎部分を除いて設けます。基礎以外では、完全に縁切りとなっています。これは、一つの建築物にEXP.Jを設けた場合でも、基礎には設けないということです。
勿論、既存建物にEXP.Jを設けて一体化して利用するのを目的に新築建築物を建設する場合には基礎は一体化しないのが通例です。一体化すると、既存の建築物の構造に影響を与えることが予想されるからです。
この場合の既存・新築の建築物の縁切りとしていますが、基礎部分においては、単に別の建物であるから縁切りをしているというだけで、EXP.Jとして隙間を設けているわけではありません。このような位置にはEXP.Jとしてではなく、縁切り間を塞ぐ目的で見切り金物を入れる事もあります。
躯体間のクリアランスをつなぐといっても、どのようにつなぐのでしょうか? まず、基本として理解しておきたいのは、クリアランスの「屋外側」と「屋内側」の双方にEXP.Jを取り付けるという点です。
@ 屋外側に設けるEXP.J |
| 屋外側のに設けるEXP.Jは、躯体の隙間(クリアランス)を、建物の外側からぐるりと、切り目なくぐるりと巡らすものです。 (左の図 「外壁 笠木」とある部分)
従って、建築物の1階スラブ始まりから外壁を登り→パラペット→隙間(クリアランス)を挟んだ防水立ち上がりの笠木として反対側のパラペット→外壁下り→基礎上という風に建築物をぐるりと回して設けます。
このEXP.Jは、外壁や屋根、屋上などと同じように、雨風や火災などから建築物を守る機能も求められます。
ここの使用については建築物の耐火、防火の法的要求性能を満たすものに対応する必要があります。
|
ひと口に屋外側と言っても、細部にまで目を配ると、部位は様々で、凹凸もあります。外壁や屋根、屋上といった面のほか、バルコニーや屋上パラペットのような出っ張る部分などもあります。また、それぞれの取り合いは、出隅や入隅になったりします。
屋外側のEXP.Jは、そうした凹凸や出っ張りなども含め、クリアランスに沿って途切れることなく巡らします。
A 屋内に設けるEXP.J |
| 屋内側のEXP.Jは、屋内の躯体同士の隙間(クリアランス)を、建築物の内側からぐるりと、切り目なく巡らすものです。 (左の図 「床,壁,天井」とある部分)
従って、建築物の床上から仕上げの内壁と天井に設けたEXP.Jで完全に塞ぐ形で設けます。
床は、各階の防火区画のためにも、完全に塞ぐ必要があります。そのため建築物の内側に設けるEXP.Jは外壁側に設けたEXP.Jまで必ず伸ばす必要があります。
|
建築物内は空間ごとに仕切られているので、屋内側のEXP.Jは屋外側よりも複雑になります。例えばその仕切られた空間が複数の内部間仕切りであっても、床、壁、天井にそれぞれにEXP.Jを設ける必要があります。
【△ ページトップへ】
|
|