| 地震時にEXP.J(エキスパンションジョイント)はどのように動いているのでしょうか。それは、3次元的に動くと想定されます。
3次元とは鳥観図的に見て言えば、X軸方向とY軸方向そして、高さ方向であるZ軸方向の3方向です。(下方の図参照)
この3次元に動く想定ですが、実際に建築物に地震の揺れがX軸方向やY軸方向にしか作用することは殆どあり得ません。地震の揺れは建築物のX方向やY方向ではなく、例えば斜め15.3度というような半端な角度(方向)から地震の動きがあるかもしれません。
しかし、それらは建築物に係る時の計算では、力の合成からXとYに分解する事が出来ます。それを元に、XYZ軸に働くものとして計算しますので、このような建築物への地震時の動きとする訳です。
EXP.Jが必要な建築物を設計や施工するには、地震発生時の建物の動きをしっかりと理解することが不可欠です。
EXP.Jは、構造上、必要となる建築物同士の隙間「クリアランス」を覆う形で取り付けます。地震が発生すると、地盤は3次元的に動くので、建築物も3次元的に揺れます。このとき、クリアランスを挟んだ建築物同士は、それぞれ異なる3次元的な揺れ方をする事が想定されます。
そのため、クリアランスに設置したEXP.J.にはX・Y・Zの3軸方向に変位が生じます。 X・Yの2軸方向の変位は、クリアランスに対して平行方向や垂直方向に生じるものです。X軸方向は、クリアランスに対して平行方向(クリアランスにはそのままで建築物が左右)に広がったり、縮んだりする動きです。一方のY軸方向は、クリアランスに対して垂直方向(クリアランスが広がったり縮んだりする)にスライドする動きです。
下の図は、あくまで模式図で、建築物の揺れを誇大に表現しています。揺れ幅は、建築物の剛性にも関係しますので、建築構造設計により隙間(クリアランス)は決定します。
また、地震時の動きは殆どXYZ軸殆ど間隔を置かずに振動しますし、建築物自体もA棟とB棟で一様ではありません。
@ 水平方向の変位(X軸方向) |
| X軸方向は、クリアランスに対して平行方向(クリアランスにはそのままで建物が左右に動く方向)に広がったり、縮んだり(元に戻ったり)する動き。
あくまで隙間(クリアランス)に対して、平行に働く力をX方向と定義して考えている。
実際には、A棟とB棟が同時に同じ幅で左右に揺れることは多くはない。
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A 水平方向の変位(Y軸方向) |
| Y軸方向は、クリアランスに対して垂直方向(クリアランスが広がったり縮んだりする方向)にスライドする動き。
あくまで隙間(クリアランス)に対して垂直方向をY軸方向と定義している。
実際にはA棟とB棟が同時に同じ方向同じだけの幅でに揺れる事は殆ない。 |
B 鉛直方向の変位(Z軸方向) |
| 地盤に対して鉛直方向の動きをZ軸方向と定義している。
Z軸方向は地盤が上下に振動することで、A棟とB棟が同じように上下に振動する事もあれば、同じ出ない事も想定してEXP.Jを構造に考慮を加えるもである。
3方向の変位を比べると、相対的にX・Y軸方向よりもZ軸方向は殆ど数ミリ程度の極めて小さな動きである。が、考慮されるべき。 |
構造上、必要なクリアランスは、建築物のどこに設定すればよいのでしょうか? その位置は、施主の意見も取り入れられたプランニングや構造計画と密接に関係します。通常は、基本設計の段階で、おおよそクリアランスを取る位置が決定されます。
クリアランスの位置を決める際には、できるだけEXP.Jの納まりがシンプルになる箇所を選ぶことが基本です。ですが、現実的には、捻じれて取り付けられる渡りローカのような場合は渡りローカその物に直角に取り付ける様な構造上工夫が必要です。
床・壁・天井の各方向のEXP.Jの取り合いが多くなる場合も、納まりは複雑になます。
そこで、EXP.Jの業者がそれを避けるための提案を幾つかしています。
下の図はその一例です。
が、このような例が例えばマンションのベランダ許されるかと言えばそうではありません。隙間から人が落ちる可能性があるからです。また、外観上建築主の許容が得られるかも不明です。まあ、EXP.J業者の都合に良い納まりで、あとの始末は何ら言及がないのは身勝手な提案としか言えません。
それが受け入れられたとしてもクリアランス150oは広すぎ、何かの手立てを別に考える必要が出てきます。
よって、他に提案されている簡略化が受け入れられるかは微妙です。
EXP.Jの簡略化の提案図
画像出典:(株)エービーシー商会
漏水に対する配慮が必要なケースは常にあります。むしろ、漏水を許容される箇所はありえません。
例えば、上特に漏水対策では上階が開放廊下などの外部空間、下階がエントランスや廊下などの内部空間になる場合です。このような個所では漏水対策が特に必要です。また防火対策が必要になります。例え、この箇所が渡り廊下であっても、防火対策は怠れませんので。
納まり参考図例
| 左の図はEXP.J施工業者の納まり図です。
簡易的に建築工事として受け樋を儲けていますが、このような形で、納まりが終了するEXP.Jを設ける部分は殆どありません。
耐火帯と受け樋を一体化したものを取り付けるのが一般的です。
左画像出典:(株)エービーシー商会 |
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