| 雷から人体及び電気施設などを守るために設けられている避雷針の保護角は、一般建築物では60°以下、火薬および可燃物性ガス・液体などの危険物を扱う製造所、貯蔵所の場合は少し狭くなり45以下と旧JISで規定されてきました。
しかし、1990年に制定された、従来の「IEC規格」によるこの保護角は、古くからのもので、高さについての考慮がなされていないため、現在ではこの保護角は広すぎて、保護角内であっても安全であると言い切れないことが指摘されてきました。
その理由は、この規定が作られた時の基礎データが、人工雷発生装置による実験結果であり、放電の規模が実際の雷に比べて小さすぎたので、この実験データと実際の雷観測の結果とが異なることが判明したからでした。高い建築物や工作物などでは実際に被害が報告されるようになりました。
このため、2003年に新JISが発表されました。(JIS A 4201)その際に避雷針の保護角は高さと保護効率が考慮されたものになる。保護する構造物が高くなるほど保護角は狭くなっていき、どの保護レベルにおいても60m以上の構造物は保護角の制定はなされない事となりました。これは構造物の側面に落雷する側撃雷は、60m以上の建物になると避雷針で受雷できないからです。
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