| 結露とは何か?辞書では次のように書かれています。
窓ガラス・壁など冷えた物体の表面に、空気中の水蒸気が凝縮し水滴となって付着する現象。 |
この説明を読んでも、「凝縮」ということばが理解を妨げます。そこで凝縮とは何か?と辞書を引くことになります。
凝縮とは、気体をある温度以下に冷却、または放熱させながら圧縮すると液体となる。気体が液体に変るこれらの現象。凝結ともいう。 |
以上を分かり易くまとめると、「気体をある温度以下に冷却」すると水滴になる。つまり結露が発生するということになります。
もう少し具体的に説明しますと、私たちの廻りにある室内外の空気には、いつもある一定量の水蒸気を含んでいます。しかし、この空気はまだ、空気中に水蒸気を含んでおくことが出来ないという状態である「飽和状態(ほうわじょうたい)」にまでには達していません。それが普段の私たちの部屋の内外の温度差がそれほどない空気の状態です。
空気には次の一般的な特徴があります。
『空気は暖かいほど、体積が増えるのでそれに応じて水蒸気もたくさん含むことができる。反対に冷たい空気は体積が減るので、それに応じて少ししか水蒸気の量を含むことができない。』
という事実です。このことを、頭に入れておいて次の例えていえばを読んでください。
例えていえば、 寒い冬の日に、暖房のない部屋に入った時には窓ガラスはなんの変化もない普段のままです。寒いので部屋に暖房を入れます。すると部屋の温度はどんどん上がりだします。そうすると部屋の温度が上がるに従って部屋の中の水蒸気量も増えてきます。その内にふと気づくと、窓ガラスに左の写真のような水滴がびっしりとついていることに気がつきます。
| これは、温められた部屋の空気が冷たい外の空気に冷やされた窓ガラスに接して、急速に冷やされます。そして、それまでたくさんたくさん含んでいた暖かい空気であったものが、冷たい空気になります。
冷たい空気になると、水蒸気を多く含んでいることができなくなるため、窓ガラスにその水蒸気が吐き出されるのです。
| これが「結露(けつろ)」と呼ばれるものです。
具体的な数値を示して「温度別の水蒸気の最大含有量」をみてみましょう。少し先に書いたことの繰り返しになりますが、空気は高い温度の時ほど多く水蒸気を含むことができます。もちろん、温度によってその限界はあります。次にあげる温度において、それぞれ最大限含むことができる水蒸気の量の一例を挙げました。これを「飽和水蒸気量」といいます。
主な気温における飽和水蒸気量 (最大含むことができる水蒸気の量) | 温度 | 飽和水蒸気量(g/m3) | −10度C | 2.14 | −5度C | 3.24 | 0度C | 4.85 | 10度C | 9.39 | 20度C | 17.2 | 30度C | 30.3 |
| 「飽和水蒸気量」は具体的には1立方メーの空気中に存在できる水蒸気の最大の量を表したものです(単位はg/m3)。温度が上がると、この値が大きくなります。
左の表の中で、0度Cで1m角の立方体の空気の中に最大で4.85g/m3の水蒸気を含むことができるということになります。
0度Cでは水蒸気は水蒸気ではなく氷となると考えがちですが、実際にはこれだけの氷とならない量を含むことができます。−10度C以下になった場合は0度Cの半分以下になることになります。それでも9.39g/m3は含むことができます。
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これらのことから、空気の温度が高いほど、飽和水蒸気量が上がることが一目瞭然と言えます。
部屋以外、例えば外の大気についていえば、太陽の熱で温められた空気は軽くなり、どんどんと地上のあちこちから空高く上昇していきます。上昇し行くと、今度は上部の温度は低いために冷やされてしまいます。そして、重くなり落下していきます。
これを一般的に 『雨(あめ)』 と呼んでいます。つまり空から降る雨です。窓ガラスの水滴も空から降る雨も同じ原理で出来たものです。
更に、例にとれば、
暖かい空気が含むことのできる水蒸気の量をコップ一杯分、冷たい空気が含むことができる水蒸気の量をおちょこ1杯分としましょう。
暖かい空気が冷たい空気になるということは、含むことのできる水蒸気の量が少なくなるので、あまった水蒸気は空気中に入りきれなくなります。入りきれなくなった水蒸気は押し出されて水滴となります。コップ1杯の水をおちょこに移すと水はあふれるのと同じですね。この水滴が「結露」と呼ばれているものの正体なのです。
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