| シーリング(sealing)はSEAL(シールつまり封印する)から来た言葉です。他では印鑑とか切手もシールと呼ばれています。
| 私たちが、ふだんから使っている郵便物に貼る切手も、また、子供たちに人気の「シール集め」も本来は同じ意味合いです。切手は、本来は封書の封印の意味合いがあります。
蛇足ですが、日本語では同じシーリングでも給料の賃上げなどに使うシーリング(ceiling)はスペルも違いますし、「上限とか天井」の意味合いであり、読みは同じでも、意味合いは全く関係ありません。
シーリングと同意義語で「コーキング」があります。コーキングは英語のコーク(caulk)から来た言葉です。船体のすき間に「まいはだ」を詰めて水漏れを防ぐという行為を差します。
「まいはだ(槙肌 まき肌がなまったもの)」とはヒノキやコウヤマキの甘皮(一番外の木の皮)を砕いて繊維としたものです。まず天日に干し、はいだ上皮を火を使って乾燥させます。 | |
それをベルトハンマーでたたき、繊維状にし、それを水につけた後、ふたたび天日で乾燥、最後に縄になってできあがります。従てのように出来上がった槙肌は一見すると黄色い荒縄のような形をしています(図1)。それを必要な箇所に合わせて量を調整して木と木の隙間に打ち込んでいきます。打ち込むのは厚目の平たいヘラの頭を玄能((げんのう)で木を傷めないように慎重に叩いて打ち込んでいきます(図2)。
| | 図1 | 図2 |
現在でも木造船では必ず槙肌が使用されています。舟や桶などの水漏れを防ぐために、材の合わせ目や継ぎ目に詰め込んで水漏れを防いでいたわけです。水に濡れると槙肌は膨張し、水の侵入を防ぐ訳ですね。今回のテーマであるシーリングも、コーキングも隙間を封印するという目的では同じです。
| | 建築分野では目地や亀裂、窪みなどを充填剤などで封印して、気密、水密守ることを意味しますから、どちらかというと、シーリングの方が正しいといえば正しいかもしれません。
建築分野ではコーキングも同意義で使いますが、私の働いていた多くの大手のゼネコンでは、コーキングやシーリングとは呼ば「シールする」を標準的に使っています。
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出典:「槙肌」の画像は姫路藩和船建造委員会を参照しました。サイズを加工しています。
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