| ツーバイフォー工法の最大の難点は、間取りの自由度が在来工法に比べて少ないという事です。これは、全ての建物に掛かる力を壁で支える構造ですので、当然バランス良く位置されなければならないのですから当然といえます。
それは、日本の木造の軸組在来工法においても同様です。軸組在来工法では、ツーバイフォー工法に必要な壁の量と適切な配置が求められるのと同様、筋交いの量と適切な配置が求められています。
筋交いは軸組在来工法の耐震台風に抵抗する元となるのですから当然です。しかし、筋交いが間取りなどの関係から、筋交いの計算上どうしても足りないことがあります。こういう時は、出入り口の上の壁に、構造用合板を張りつけるという補助的なことも可能です。一部分がツーバイフォーのようにしていることになりますね。
日本のツーバイフォー工法は1974年木造枠組壁工法として、法的に認定されました。ツーバイフォー工法の法規制は下表のようなものです。壁の量と長さは絶対確保しなければならないのと同様に法的に義務付けられています。
法規制の内容 | 略図 | 一区画の面積が40u以下となるようにする事。(ただし、上階の床を補強した場合は、60uまで可能)。
| | 壁の長さは12m以下とする。
| 一辺の壁に設ける開口幅は一箇所につき4m以下とする。 かつ、(L1+L2)/L=3/4の壁長さを満足する事。 | 壁を有効な耐力壁とするにはAとかBの長さを900以上取る事が必要。 |
ツーバイフォーにおいて木材の接合には、釘が使われることは大きな特徴であり、軸組工法と大きく相違する点の一つです。殆ど釘だけで接合しているといって過言でありません。
構造用に使用する釘に関しては、細かい規定が定められています。その中で最も多く使われるのがCN釘と呼ばれる普通の釘より「太い鉄丸釘(てつまるくぎ)」と呼ばれるものです。
この釘はプラスチックコーティングにより長さごとに色分けされているので、施工時に一目瞭然で見分けることが出来ます。スタッドと構造用合板とは釘の施工が命運を握っており、構造体の接合部には部位ごとに使用する釘の種類と本数が定められています
CN釘(太めの鉄丸釘のことです) |
| 名称 | 長さ(o) | 胴部径(o) | 色 | 用途 | CN50 | 50.8 | 2.87 | 緑 | 厚さ9〜12o構造用合板打ち付け | CN65 | 63.5 | 3.33 | 黄 | 厚さ15〜18o構造用合板打ち付け | CN75 | 76.2 | 3.76 | 青 | 厚さ24〜28o構造用合板打ち付け | CN90 | 88.9 | 4.11 | 赤 | 厚さ38o枠材平打ち |
ツーバイフォーで使用する木材と接合部の工法 | 釘打ち方法 |
| 日本でツーバイフォー工法で用いられる材はほとんどが、カナダなどの北米産の輸入材です。2×4でツーバイフォーの由来で、本来は50o×100o程度であるはずですが、実寸は38o×89oしかありません。呼び名は204です。204材が最もよく使われrますが、この材だけで、成り立っているわけではありません。その他に2×3(203)、2×6(206)、2×8(208)、2×12(212)、1×4(104)、1×6(106)なども場所に応じて併用されています。
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アメリカ(カナダを含む)と日本とのツーバイフォーの壁の工法には差があります。下図のようにスタッド(間柱)のピッチとそれに打ち付けられる構造用合板のサイズが日本のツーバイフォーと比べて大きな差があることが判ります。
これは、日本の構造用合板のサイズが圧倒的な占有率の日本の軸組在来工法を基準にして造られているため、これに対応した結果です。日本のスタッドの割(ピッチ)も日本の軸組在来工法の柱割をそのまま踏襲しています。スタッドの割が狭い程、また、構造用合板の一枚当たりの面積が大きい程、つなぎ目が少なくなり、体力的には有利となります。
だからといって日本のツーバイフォーは耐力がないとは言えませんし、構造的にもちゃんと実証されており、何ら問題はありません。
ツーバイフォーのスタッド(間柱)割と構造用合板のサイズ(単位:o) | 北米(カナダ・アメリカ) | 日本 |
| | 構造用合板サイズ:1230×2430
スタッド(間柱):@406 | 構造用合板サイズ:910×2400
スタッド(間柱):@455 |
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