| 建物の内部は、殆どの場合において、形状に多少の変化はあるものの、床、壁、天井の三か所の面が水平と垂直で構成されているのが、ごく一般的です。不定形よりも建築費も安く安定感があります。これを「平天井(ひらてんじょう)と呼びます。平天井は一般的な天井ですので、特に平天井とは呼ぶことは稀です。
しかし、インテリアを重視するなら、天井にも、照明器具以外に変化ががあって良いでしょう。そこで、考えられる一つの方法には、勾配や切込みを入れる方法があります。 それには、
@ 折り上げ天井 A 堀り天井 B 勾配天井
などが挙げられます。他にも折れ天井や@〜Bを組みあわせたものもありますが、勾配天井の変形として考えることが出来るため、省略しました。
折り上げ天井は四周から湾曲(わんきょく)した支輪(しりん)を立ち上げて、廻り縁や格縁(ごうぶち)で造られたものを指します。折り上げ支輪は亀の尾(かめのお)などとも呼ばれます。
ネットなどには、堀り天井(ほりてんじょう)を折り上げ天井と称しているサイトが非常に多くありますが、厳密にいえばすべて間違いです。
| 左の図では、「折上げ支輪」の部分に亀の尾とカッコ書きになっています。これは、亀の尾に似た形状からこう呼ばれているものです。
また、格子状の格天井は左の図のように天井が格縁(ごうぶち)が出て構成されている「折り上げ格天井」が代表的です。
この2つが同時に成立したものを、総称して「折り上げ天井」と呼んでいます。 |
このような条件を満たした、新しい建築物が、一般の民間建築においては、殆ど例が現在では見ることはありません。
掘り込み天井を設けますと、画一的な平面状の天井による圧迫感を緩和したり、変化を持たすことが出来ます。更に掘り込み部分が深ければ、その側面にも堀込みを入れて、照明をここに設けて、間接照明とすると、部屋全体が柔らかな光の下で、豪華な雰囲気を醸しだすことが出来ます。
もちろん、掘り込み部分にも、部屋に合った照明器具を設けますと、更に高級感を持たせることも可能になります。
掘り込みの形状は角形でなければならないことはなく、円形や楕円形などでも何ら支障ありません。
本ページのテーマである、勾配天井の例を見てみましょう。勾配天井とは、天井自身に勾配がつけられた天井です。勾配天井には次のようなものがあります。
A-1 船底天井(ふなぞこてんじょう) |
| | 天井の中央部を両端より高くし、船の底を逆さまにしたような形状の天井を船底天井といいます。伝統的な形状では左の図のようなものがあります。
天井の圧迫感を薄め、部屋を広く見せる効果があり、主に和室などで用いられています。
その勾配が急になったものを「屋形天井」または「おがみ天井」となどとも呼んでいます。
また、天井が平面である一般的な天井を「平天井」と言い、船底天井と区別することもあります。 |
A-1 片勾配天井(かたこうばいてんじょう) |
| | 天井の一部に勾配を付けた天井で、大よそ左の図のようなものを指します。
特別な決まりがあるわけではありませんが、天井の懐や、屋根勾配の兼ね合いを考えて決定する必要があります。
二階建ての一階部分に設ける場合は、二階部分の床をその部分は取れないことになりがちですので、平面プランに余程の余裕がないと、取りにくい天井形状です。また、メンテナンスが行いにくくなることも考慮されるべきです。 |
画像出典:掘り込天井の例 space-up.co.jp 画像出典:舟形天井の例 note.com 画像出典:勾配天井の例 Pinterest
【△ ページトップへ】
|
|