| 近年、公共の建物をはじめ、不特定多数の人が利用する建物を中心に、バリアフリー化が進んでいます。事務所ビル、物販店舗、商業施設、共同住宅などは、その最たるものです。この傾向は、不特定多数ではない戸建て住宅においても、同様になりつつあります 。
また、建物そのものだけでなく、不特定多数の利用者が利用する場合の建物では、敷地に道路や駐車場との間に高低差がある場合などには、建物へのアプローチが体が不自由な人でも容易にアクセスできるように、緩やかな勾配のスロープを作り、これを解消するようにしています。
これらは、主に福祉の観点から、基準が作られ義務化されています。 例えば、京都府では、「京都府建築物等のバリアフリーの促進に関する条例」などを設け、建物の全体にわたり、バリアフリーを推進しています。
バリアフリーに関しては、今後の特集を組む可能性をのこして、今回はバリアフリーの内の一つん項目として、スロープを取り上げ、その勾配に関して解説しておきたいと思います。
下記は屋外にスロープを設ける場合の一例です。少し見にくいのですが、京都府がすすめる「福祉のまちづくり」での外部にスロープを設ける場合の基準を示したものの抜粋です。下の図のような建物で入口までに高低差がある場合には、図のようなスロープを設けるとしています。
その具体的数値は、
幅 : 120p (130p)以上、 勾配: 1/12 (1/15以下)以下
としています。
これらの数値が、市と府で、あるいは、他府県で相違があるわけではありませ。同じ日本人ですから、利用がっては同じはずですし、相互の行き来もあるわけですから。
図中における赤色文字(カッコ内の数字)は、図の中にも記入があるように「バリアフリー法に基づく制限付加部分の規定の適用を受ける建築物に係る基準」に該当する場合の必要寸法です。
建物の内部にも通路や廊下に段差が生じる場合があります。旧館に接続して新館出来たり、相互の離れた建物をつないだりするケースです。
このようなケースでは、旧館と同じ床レベルになるように建築するのが、順当ではあります。しかし、旧館にない設備機能などを持たせることが多い新館では、階高が同一ではむつかしいケースもありますので、どうしても段差が生じる結果となりがちです。
そのようなケースでは、段差が階段で数段分であることが多く、この差分をスロープを設けるように配慮します。設ける位置は、出入り口の際(きわ)やローカや通路のコーナー部は避けるべきです。
下の図は上の図と同じ京都府がすすめる「福祉のまちづくり」での屋内にスロープを設ける場合の基準を示したものの抜粋です。このスロープには、スロープ勾配が明記されていませんが、外部に設ける場合(上の図)か、それ以下であることが望ましいのは当然です。
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