| これまで、主として建築に関係の深い屋根勾配について述べてきました。ここからは、土木や建築に関係するものの、屋根以外の勾配について記します。土木工事や建築土木(建築に関しての土木工事)についてが主流となります。
「法面(のりめん)とは」切り土または盛り土によってつくられた人工的傾斜面のことです(下の図)が、自然傾斜面も法面ということがああります。土木工事においては、山の斜面を切り開いての宅地造成などに生じる大規模な法面が生じることがあります。
しかし建築工事の場合においては、土木工事程には大規模ではなく、建築物の基礎部分や地階がある場合において、地盤面を掘削する必要から生じる法面があります。その場合、土木と同様に掘削地盤面と地上の地盤面との間に段差が生じます。
すぐ下の図のように、その部分を、敷地に余裕があれば、切土(きりど)として斜めに鋤(すき)取ります。これによって出来た面を「法面(のりめん)」といいます。単に「法(のり)」と呼ぶこともあります。
なお、法面の勾配の出し方や呼称は「1.勾配とは何か」に記載の通りで、違いがあるわけではありません。
上:法面の縦断面図 下:法面の水平断面図
この掘削面勾配の基準については、労働安全衛生法及び労働安全衛生法施行令の規定に基づく労働安全衛生規則(第318号)に定める,掘削面勾配の基準をまとめました。表と図がありますので、理解しやすと思います。
労働安全衛生規則第356号についての記述は下記のとおりです。
労働安全衛生規則第356号
事業者は,手掘りにより地山の掘削の作業を行うときは,掘削面の勾配を,表−1の左欄に掲げる地山の種類及び同表の中欄に掲げる掘削面の高さに応じ,それぞれ同表の右側に掲げる値以下としなければならない。
掘削面に傾斜の異なる部分があるため,その勾配が算定できないときは,当該掘削面について,上記の基準に従い,それよりも崩壊の危険が大きくないように当該各部分の傾斜を保持しなければならない。
|
(用語説明)
手掘り … パワーショベル,トラクター・ショベル等の掘削機械を用いないで行う掘削の方法をいう。
地山 … 崩壊または岩石の落下の原因となる亀裂がない岩盤からなる地山。 砂からなる地山及び発破等により崩壊しやすい状態になっている地山を除く。
掘削面 … 掘削面に奥行きが2m以上の水平な段があるときは,当該段により区切られるそれぞれの掘削面をいう。
労働安全衛生規則第357号
事業者は,手掘りにより砂からなる地山または発破等により崩壊しやすい状態になっている地山の掘削を行うときは,次に定めるところによらなければならない。
(1) 砂からなる地山にあたっては,掘削勾配を35°(=1:1.43)以下とし,または掘削面の高さを5m未満とすること。
(2) 発破等により崩壊しやすい状態になっている地山にあたっては,掘削面の勾配を45°(=1:1)以下とし,または掘削面の高さを2m未満とすること。
|
建築工事での根切では、「・その他の地山」の中の右端の掘削で残る法面(のりめん)の角度が、60度を基本としている場合が多いようです。高さが数メートルの場合であってもです。勿論、砂からなる地山等でこれより角度を緩やかにしなければならない場合は除きます。
画像出典:図-1 兜站ュ土エンジにアリング
【△ ページトップへ】
|
|