住宅用の便器の選定にはロータンク方式を選定します。これは給水が水道本管からの直結方式になっているため、水圧の不足から当然なのです。ロータンク方式は一度流すとロータンクに水が溜まるまで、待ち時間を要しますが、住宅の使用頻度では全く問題ありません。
レバーを押せばいつでも、洗浄が行えるフラッシュバルブ式は多数の人が利用する事務所ビルや店舗建築など不特定の多数が利用する建物で使用されます。もっとも最近では、密閉式のロータンクを便器の背後の備えたものも見かけますが。
フラッシュバルブ式は、ロータンクを使用しないため、瞬間的に大量の水を必要とする為、送水管の径(最低でも25mm)も太く、また、水圧(0.75kg/cm2程度)も必要とし、他の水栓具に悪い影響を与える為、住宅には不向きなのです。しかし、住宅の直圧式でも使える製品が発売されています。下記の表の一番下に載せました。(タンクレス式を参照)
洋風便器の種類・長所と短所 | 型 式 | 形 状 | 洗い落とし式 |
| 長 所 | 水の落差による、流水作用で汚物を押し流す方式。構造がシンプルで安価。
| 短 所 | 溜水面が小さく汚物の乾燥面への付着し易い。洗浄時に水の飛散がある。
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型 式 | 形 状 | セミサイホン式 |
| 長 所 | サイフホン作用で、汚物を排出する。使用水量を節約する為、溜水面をサイフォン式と洗い落し式の中間に位置している。
| 短 所 | サイホン式に比べボールの乾燥面が大きく、汚物の付着は当然多くなりやすい。また、洗浄時に水の飛散がある。
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型 式 | 形 状 | サイホン式 |
| 長 所 | サイホン作用で、汚物を排出する。
| 短 所 | 溜水面がやや小さく、ボールの乾燥面に、汚物の付着の恐れがある。
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型 式 | 形 状 | サイホンZ式 |
| 長 所 | 文字通りゼット穴構造から噴出する強い水でサイホン作用で、汚物を吸い込むように排出する。溜水面も、比較的広く、汚物も沈みやすく臭気の発散も少ない。
| 短 所 | ボール内に汚物の付着が殆どない。
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型 式 | 形 状 | サイホンボルテ ックス式 |
| 長 所 | 現在の便器の中では最高級品。洗浄時に空気を吸い込まないので静か。溜水面が広く汚物の沈みが多く取れる。当然、臭いの発散が少ないく、汚物の便器への付着も少ない。
| 短 所 | ロータンク方式だが、タンクの水圧が一般より多く必要とする為、住宅では2階に設けるには不向き。1階でも水圧の変動が多い住宅では注意が必要。
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型 式 | 形 状 | タンクレス式 |
| 長 所 | 水道直圧式でタンクのないローシルエットのウォシュレット一体形大便器
| 短 所 | 手洗い器が別途必要。
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出典:洋風便器 Interior Zukan
洋風便器の選定条件をあげると以下のようになります。
1.汚物が溜水面に沈んで臭気を出さない
2.乾燥面が少なく、溜水面が広い
3.水の溜りが深い
4.詰まりにくい
5.水洗が静か
6.洗浄水の使用量が少なく、かつ排水能力があるもの
以上のようなものを総合的に判断すると、サイホンゼット型(下図)(セミサイ
フォン式)が住宅用としては、最適かと思われます
独特のゼット穴構造から吹き出す水が強いサイホン作用を起こし汚物を吸い込むように排出する便器水たまり面が広く、汚物が水中に沈みやすく臭気の発散が少ない。
又、汚物の付着がほとんどありません。
| | | サイホンゼット式トイレの一例
出典:TOTOおよびリクシル |
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