| 木質系ボードは、単板の利用をしないボードのことです。おさらいをすれば、単板とは、大根のカツラ剥きのように、ロータリーレースなどで切削した木材の薄板のことでしたね。
木質系ボードは、合板の構成材従って言えば、合板とは一線を画すものではあります。しかし、合板とは縁深い材料を利用します。いわば兄弟ともいえるものですので、ここに取り上げました。
原料となるものの、大元(おおもと)は合板と同じものです。「林地残廃材」 「小径木(しょうけいぼく)」 「製材や合板工場の残廃材」 「製紙未利用底質チップ」 「建築解体材」など元来廃棄されていた天然資源の有効活用から、生まれた素材です。
下の図はその木質系ボード類の製造工程を表したものです。
下図からもわかる通り、ハードボード(セミハードボードも含む)、MDF、インシュレーションボードの3つの材料は同じで、形成が違うだけで、通常はファイバーボードと呼んでいます。
画像出典:日本繊維板工業会
@ ハードボードとセミハードボード | | @-1 ハードボード(硬質繊維板)
木材チップを細かく砕いて、繊維状にとき ほぐした後、水で混ぜて成形熱圧したボー ド。接着剤はほとんど使っていません。MD Fと性質は似ていますが、色が濃く、焦げ茶 色をしています。
表面が平滑で裏面は網目状になっていま す。網目状の面が滑り止めの役割も果たし ます。アメリカではメゾナイト(Masonite)と 呼ばれ、ドア材や絵画のキャンバスに使わ れています。日本ではコタツの裏板や車の ドアの内板として使われることが多い。
| @-2 セミハードボード(半硬質繊維板)
セミハードボードはその名の通り、ハードボードが「硬い」であるのに対して「やや硬い」ということになります。天井板や壁板に使用されます。比重はセミハードボード が0.4〜0.8,ハードボードが 0.8以上です。
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なお、ハードボードもセミハードボードもファイバーボードの一種です。
A MDF(中密度繊維板) | | 紙と同質でありながら、紙よりはるかに厚 くて強く、幅や長さの狂いも少ない使いやす いボードです。表面は硬く平滑で、中は緻 密。バリが出ないので加工面がきれいに仕 上がります。ファイバーボードの一種。
比重は0.65程度。板面へのクギ打ちや木 ネジは効きますが、 木口面にクギ打ちする 場合は割れが生じやすい。クギの保持力 や湿気に対してあまり強くありませんが、安 価で扱いやすい素材です。 | なお、バリとは木材を穴あけなどの加工後に残ってしまったささくれのような繊維状の木片のことを指します。
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B インシュレーションボード (軟質繊維板) | | 軟質繊維板ともいいます。木材などを繊 維(ファイバー)状にしたものを主原料として 板状に成形されたもので、密度が0.35g/ cm3未満のものとシージングボードを含んで います。ファイバーボードの一種。
多孔質で軽くて断熱性・吸音性に優れて おり、畳床の心材や、断熱・防音板、外壁 下地材などに使用されます。
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C パーティクルボード | | 細かな木片や削りかすを合成樹脂で固め て熱圧成型した板。
表面は平滑で、意匠的にそのまま見せて もいいのですが、木口の切削面は粗雑で す。 遮音性・断熱性が高い。また比重は0.7程度 あり、硬い。木工用、建築下地用の2種類が あり、建築下地用は耐水性と高強度です。
クギの保持力は優れていますが、木ねじ の保持力はその半分程。長期荷重に対す るたわみはあります。 | 欧米では合板や繊維板よりも使用量が多い。また廃材を利用しているため、一枚一枚の表情が少し違うこともあります。
以前は、「チップボード」と呼んでいましたが現在ではこのパーティクルボードで統一されました。テーブル板・音響用キャビネットなどにも使用されます。
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