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 W-Wallet 日影規制


1. 日影規制とは

2. 日影による規制の
  内容

3. 日影規制の解説1

4. 日影規制の解説2

5 日影規制の特殊な
  ケースの取扱い

6. 日影と日照権や北
  側斜線との関係

7.日影規制と近隣と
  の問題解決

8. 建築主・設計者・施
 施工者に思惑あり

9. 建築工事説明会ま
 でにすべきこと

10. 近隣住民との合意
 まで(体験談)

 10. 近隣との合意まで (体験談)

 さて、ここからは少し実際の工事説明会の様子を手短に書いてみたいと思います。説明会には、日影となる土地の所有者や建物の所有者が出席するほか、建物の賃貸している、マンションなどの住人や製造や販売などの工場や商店なども出席します。


 賃貸している住民は、土地や建物の所有者ではありませんが、やはり日影の影響を受けることに違いはありませんので、全くの補償外とはなりえませんが、所有者ほどの根本的な打撃があるわけでもありませんから、所有者の補償の程度を考慮して金額は決定します。


 また、近隣の商業施設の入居の業者や自営業者には、建物がどのようなものであっても、基本的に人が増えることになるなら、ある程度の受益もあるはずです。それは、交渉では出せない話ですが、悪い話ばかりではありません。


 さて、工事説明会の段取りも付き、いよいよ説明会の開始です。




 ■ 工事説明会 第一回目説明会始まる

 説明会の当日に一体どれだけの人が来るのかは、解りません。雨だったり、寒かったりすると減るのかもしれません。ともかく、始まるまでにこちらは十分に用意をして出来る限りスムーズに話を運びたい、終わらせたいの気持ちは建築主側の誰もの想いです。


 時間は夜の7時半に設定しました。ぞろぞろと人が集まり始めます。
ひとり一人に「お疲れ様です」など声を掛け、会場に案内します。町内会長もこの日は出席です。町内住民の席には、説明会用の資料やお茶などを既に用意しています。会場の正面に建築主、設計事務所、施工者が並んで座ります。



 時間を少し過ぎたあたりで、町内会長がまず挨拶です。
「今回、長いこと空き地だった敷地に、老人ホームが建設されるということで、建築主側より、近隣住民に説明をしたいとの連絡があり、今日、その会合を持ちました。いろいろ聞きたいことがあると思いますので、まず、建築主側から説明してもらい。そのあとで質問ということにしたいと思います。ではよろしく。」

建築主側が後をつないで、

「では、先に今回計画している建物について、こちら側から説明させていただき、そのあとご質問があればお答えしたいと思います」

「まず、こちら側の出席者を紹介します。建築主○○病院○○課長、△△建築設計事務所◇◇所長、そして、◎◎建設○○工事長、工事主任、係員2名、そして私は◎◎建設営業課長××です。では、今回の計画について△△建築設計事務所の所長より説明いたします」

 こうして、建物の概要を説明します。用意したパネルを指しながら説明していきます。

 その間にも、ポツポツと近隣住民が入ってきます。説明中にも、近隣住民同士で挨拶したり、何を説明しているのか横の人に聞いたりで、会場は落ち着きません。それは、設計図などの図面を示されても、一般の人には理解しづらい一面もあるからでしょう。




 ■ 工事説明会 第一回目説明会の質疑応答

 この建物を設計した建築設計事務所の説明が終わると、質疑応答に入ります。質疑は
「老人ホームは老人特有の匂いがするから窓をこちら側に設けるな」
「窓を絶対に開けるな」
「階数を減らせ」
「老人ホームが建つと、我々の建物や土地の価値が下がる」
「景色が悪くなる」
「車の出入りがうるさくなる」
など、あらゆる意見とも、雑言ともつかない発言が出てきます。
まともなものでは、
「電波障害はどうなるのか」
とか
「入居条件は?」
などもありました。が、大半は建設反対に固まっています。陽当りが悪くなることは確かであり、それが何十年にも渡り続くことを考えれば当然でしょう。


 この説明会にでた意見をまとめて、資料として次の会までに近隣住民に配布しなければならないので、ボイスレコーダーで収録もしました。当日でもあり、答えられる質疑には答えますが、要望などに絡んだもののうち金額が張るものには、即答は出来ませんので、次回に返答するということで、第一回の説明会は、予定の3時間を少し回って終了しました。


 会場を片付け現場事務所に戻り、パネルなどを運び込んで一息入れると、既に11時を回っています。自宅に変えるにも無理とわかり、近くのビジネスホテルに泊まりました。




 ■ 工事説明会 第二回目説明会と質疑応答

 一回目の説明会から約一週間目に再び説明会を開きました。その間に、前回の質疑応答の顛末をまとめました。また、質疑があってすぐに答えられない件も、施主に相談したり、設計事務所が設計変更が出来るのか、施工者サイドの出来ることなのか、色々と問答もして、二回目説明会に回答出来る物をなんとか作り上げました。


 また、近隣で、今回の老人ホームに興味を示したり、強硬に反対する人たちのその理由を探ったりして、対応も協議しました。頑強な岩でも脆い部分はあるように崩せるところから、崩して行くしかありません。

この回の説明会で初めて
「日影に対する補償はどうなるのか?」
との質問が会の中頃になって出ました。
「個別に日影補償には応じます」
「個別補償時に日影図を提示してお話させていただきたい。後日連絡させていただきます」
とこちらは営業担当者が答えました。


 それまで、工事になんだかんだとクレームを付けていた人たちが、ようやく静かになった時でもありました。
その後は、質疑の繰り返しのようなやり取りがありました。
最後に当方の工事長が「工事に当たっては十分安全に配慮して行いますのでよろしくお願い致します」でむ結びとしました。




 ■ 工事における近隣との協定書を作成する

 近隣との協定書は施工者側、近隣住民側双方にとって有益です。すべての細部に渡った内容ではないもののお互いに、その内容とその内容の意義を汲んで、工事を進め、見守ることが出来るからです。従って、中高層にかかるような建物だけでなくどんな建物でもあってよいものです。


 今回は、近隣説明会の内容をすべて加味して作成しました。ただ、日影補償については個別対応するという内容だけでした。




 ■ 日影による個別対応始まる

 個別対応は、近隣説明会場の近くのマンションの一室を借り、時間を区切って、金額の提示をして合意を目指しました。建築主側は施主・設計者・施工者の代表らが集まり即決を目指しました。

 これらの根拠となる試算は、当施工会社の全国の補償の例を参考に決定されました。当時の資料が手元にありますが、私が当時、私が近隣の当事者であったら、要求していたであろう金額から思えば想像以上に少額だった印象です。


 建築主側には、「法的に瑕疵(かし)がない建物を建てるのに、なんで日影の補償が必要なんだ」という気持ちがあります。しかし、法的にどうであろうと、一番日照のほしい冬至日に八時間も日影が出来てしまう近隣住民の心情も汲まれるべきで、「絶対にビタ一文払わない」ではすみません。

 建てる権利があるのと同様、日影をつくるなという権利もあるはずで、裁判では結局、金銭による和解を求められるのが一般的です。







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