| 建物を建てる時には、どんな人でも、末永く持つ堅牢で安全な家が建つことを願うものです。また、そこにこれから住む家族の、健康や幸せをもたらせてくれる家である事にも、祈らずにはいられません。 その素直な気持ちから、古くから建築工事中の各時期に、式典を設け工事の安全と建物の末永い神の加護を祈ります。
特に地鎮祭の歴史は古く、持統天皇期の日本書記にはその記述があり、既に行われていたようです。地鎮祭は単に神事だけでなく、仏教の寺院でもそれに該当する儀式が行われていたと推測されています。というのも東大寺金堂や興福寺金堂などから、地鎮祭の際に土地の神様に捧げて埋める「鎮物」(しずめもの)が出土しているからです。
地鎮祭が実際に建築儀礼として認められ広く普及していったのは、江戸時代後半になってからだと考えられています。
また、上棟式は、平安時代初期から行なわれ、中世に盛んとなり、居礎(いしずえ)、事始め、手斧始め(ちょうなはじめ)、立柱、上棟、軒づけ、棟つつみ等、完成まで の建築儀式が数多くありましたが、江戸時代になって、これらの建築儀式を代表する形で、上棟式だけが行なわれるようになりました。
| 地鎮祭祭壇の例。(祭壇のアップの写真) |
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