| 街中を歩いていると、敷地を囲ったブロック塀をよくみかけます。数段積んで、上は金網のフェンスやアルミの格子というものなど様々です。 高さはブロック塀だけの囲いの場合、人の胸くらいの高さで終わっている場合はそうでもありませんが、人よりもずっと高い塀を巡らしているところでは、もし、今地震が来てこの塀が倒れたら、助からないのではないだろうか、と言う恐怖心が起きます。
実際にブロック塀自体が傾いていて、そう遠くない内に倒壊しそうなものも見かけます。地震時には確かにそれらのいくつかが実際に倒壊し、死亡や怪我人が出たというニュースも目にします。2016年4月14日に起きた熊本地震でも、テレビでブロック塀が倒れている例を見ることがありました。
倒壊したブロック塀の例
これらは建物とは直接関係ありませんが、建物の付属物であり、建築基準法でも当然にそれぞれ規制されています。一般的に言うブロック塀には下記の二種類の塀があります。組積造と補強コンクリートブロック造の違いは何か? といえば組積造はコンクリートブロックだけを対象としてはいません。石造、レンガ造も含んでいます。適用対象が組積造は広いのです。(建築基準法施行令第51条 適用範囲をご覧ください) 一般的には組積造もコンクリートブロック造を用いることが多いため、補強コンクリートブロック造との差異に混乱しているようです。
1. 組積造(そせきぞう)としてのブロック塀 2. 補強コンクリートブロック造としてのブロック塀
となります。そこで、適用の範囲を示しておきます。条文の内、ブロック塀に関連すると思われる条文は赤色の文字としました。
組積造(建築基準法施行令第51条〜同62条まで) | @ | 建築基準法施行令第51条 | (適用の範囲) | A | 建築基準法施行令第52条 | (組積造の施工) | B | 建築基準法施行令第53条 | 削除 *法文が削除されています。 | D | 建築基準法施行令第54条 | (壁の長さ) | F | 建築基準法施行令第55条 | (壁の厚さ) | G | 建築基準法施行令第56条 | (臥梁) | H | 建築基準法施行令第57条 | (開口部) | I | 建築基準法施行令第58条 | (壁のみぞ) | J | 建築基準法施行令第59条 | (鉄骨組積造である壁) | K | 建築基準法施行令第59条 | (補強を要する組積造) | L | 建築基準法施行令第60条 | (手すり又は手すり壁) | L | 建築基準法施行令第61条 | (組積造のへい) | L | 建築基準法施行令第62条 | (構造耐力上主要な部分等のささえ) | 補強コンクリートブロック造(建築基準法施行令第62条の2〜同62条の8まで) | @ | 建築基準法施行令第62条の2 | (適用の範囲) | A | 建築基準法施行令第62条の3 | 削除 *法文が削除されています。 | B | 建築基準法施行令第62条の4 | (耐力壁) | C | 建築基準法施行令第62条の5 | (臥梁) | D | 建築基準法施行令第62条の6 | (目地及び空胴部) | E | 建築基準法施行令第62条の7 | (帳壁) | F | 建築基準法施行令第62条の8 | (塀) | 補強コンクリートブロック造の塀の構造耐力上の安全性を確かめるための 構造計算の基準を定める件(建設省告示第1355号) | 建築基準法施行令(以下「令」という。)第六十二条の八ただし書に規定する補強コンクリートブロック造の塀の安全性を確かめるための構造計算の基準は、次のとおりとする。とあり具体的な技術基準が記載されています。 |
コンクリートブロック塀はその高さによって組積造とするべきか、補強コンクリートブロック造とするべきかが変わってきます。
組積造は高さが1.2まで。(補強する鉄筋に言及がありません) 補強コンクリートブロック造は2.2mまでです。(補強する鉄筋に言及があります)となります。どちらにするかは、自由です。補強コンクリートブロック造でも1.2mまでの塀を作ることももちろん可能です。
また、(社)日本建築学会からも「ブロック塀施工マニュアル」という指針が出ています。これは、組積造と補強コンクリートブロック塀について、(社)日本建築学会がより安全性を高めた基準を定めているものです。 従って組積造、補強コンクリートブロック造それぞれに安全性を高めた基準を定めています。これは、建築基準法通りの施工ができていても、倒壊する例が多いことによるものです。しかし、強制ではなくあくまで推奨です。
そこで、当ページでは、建築基準法施行令と「ブロック塀施工マニュアル」を併記して解説していきます。このページ以降(社)日本建築学会「ブロック塀施工マニュアル」のことを総称して「建築学会基準」と記して行きます。 なお、画像出典:吉見吉昭氏のホームページに拠りました。
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