| 畳は日本の気候風土に合った、日本独自の優れた床材です。畳の表面の「畳表(たたみおもて)」は自然に自生していた藺草(いぐさ)という植物を人工的に栽培し、刈り取り、泥止め、乾燥、収納・貯蔵、選別と機械織りといった工程で製品化されます。畳も外国から伝わったと思われがちですが、実は日本の独自の産物です。その歴史については次ページに記載しました。
| 新築の和室に入ると青畳(あおだたみ)の表面の材である藺草(いぐさ)のなんともいえない良い香りがします。
この香りに日本人は癒され、心が和むひと時です。畳のある部屋のことを和室とよぶのには、実によく似合った言葉です。 | この和(なご)みには根拠があるようで、藺草の効能には次のような報告があります。
藺草(いぐさ)には木炭に匹敵する吸湿能力があり、湿度が高い時は無数の気孔から湿気を吸い取って中にたくわえ、また部屋が乾燥してくると、スポンジのような内部にたくわえた水分を放出し、空気の湿度を調節します。例えば6畳の部屋に「い草」を敷き詰めた場合、約1.8リットルの水分を蓄えることができます。高温多湿の日本の暑い夏にべとつかずにさらっとしているのはこの機能によるものです。
ある研究では、畳や「イグサ」カーペットを敷いた部屋は環境基準(0.04〜0.06ppm 1日平均)の2倍の二酸化窒素を2〜3時間で「イグサ」が自然浄化し、また、VOCの代表的な化合物で知られ、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒトをも吸着するとの結果も出ています。
また、吸着されたホルムアルデヒドは50℃に再加熱してもほとんど再放出されず、室内の空気の清浄に大きく貢献します。イグサが新しくても古くてもその威力にほとんど変化ないといわれています。
藺草(いぐさ)の香りは「フィトンチッド」という成分によるもので、精神沈静作用があり、森の木々が発散している成分と同じものです。
蛇足ながら、私の子供などは、藺草の香りが良い匂いとは思えないらしく、「この匂いは嫌いだ」などと言い出す始末です。若い人から畳が遠のいていることに、危惧すら覚えます。
ことわざに「起きて半畳(はんじょう)、寝て一畳(いちじょう)」というのがあります。起きて半畳、寝て一畳とは、人は必要以上の富貴を望むべきではなく、満足することが大切であるという教えです。畳一枚がひとの寝起きで事足りる広さでもあります。
さて、尺貫法では、敷地の広さや建物の広さを表す単位を『一坪(ひとつぼ)』といいます。その基準となっているのが畳です。目安になるのは、畳二枚が一坪です。
畳と尺貫法が深い関わりをもっています。一坪は約3.3uで、これが基本となるのは次の計算からです。
畳の大きさを関東間で計算すると、 縦1760×横880×2二枚分=3.09uと3.3uには少し足りません。
しかし、関東間と京間の中間の中京間(愛知県あたりの畳)では 縦910×横1820×2二枚=3.31uとなり丁度、一坪となります。これが一坪の基準となったものです。
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| 一坪とは畳二枚分 |
画像出典:建築家 鎌田賢太郎氏の設計による和室
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