| イグサは「藺草」と書き、別名を灯心草(トウシンソウ)といいます。イグサ科の多く は多年草で、温帯から寒帯に8属約400種、日本には2属30種が自生しています。特 徴は、細長い茎だけで葉が無く約1.6メートル程迄成長します。
尚、多年草というのは、草本植物で、茎の一部、地下茎、根などが枯れずに残り、 毎年茎や葉を伸ばすもので、ススキなどが知られるところです。
栽培時期は8月に、苗床から良い物を株分けして12月の寒い時に植え付け、翌 年7月初め早朝に刈り取りを行います。天然染土に漬け込む泥染めを行い、乾燥 させます。これによって色・つやが増し色調を保ち変色や褐色を防止する事もでき、 清々(すがすが)しい香りを引き出す事ができるのです。
畳表に使うところは、丸い茎で先端と、根元を切り落とした真ん中の部分です。一 枚の畳表を織るのに、約4000本から多い物で約7000本のい草が使われます が、収穫後すぐに畳表に織り上げるのではなく、質、長さ、色調などい草を選別して から織機で織り上げられます。
イグサの善し悪しは、変色が無く、根元から先端迄が充実して、太くて長い物が良 いとされています。さらには、イグサの品質のばらつきが無いことが必要です。
このようない草を使用し、編むには経糸(たていと)に綿糸(めんし)、麻糸(ジュー ト麻)、マニラ麻が使います。この経糸の種類によっても畳の等級区分が有ります。
もちろん、基本的には、い草の種類によるものですが、、マニラ麻の経糸を使用し 織り目が揃っていて谷が狭く肉の厚いものが品質の良い畳表とされています。
| | 自生の藺草(いぐさ)
自生の藺草は山間(やまあい)の湿地のような休耕田にはよく見られます | 栽培されている藺草(いぐさ)
畑で少し育てられ、水田に移されて、初夏にかりとられます。米より手間がかかるようです。 |
藺草は日本を始め韓国、中国、台湾等で栽培されています。
わが国おいては、以前は瀬戸内地方が主産地でした。現在では主な産地は熊本 県八代(やつしろ)地方の球磨川や「不知火」で有名な八代海など水の豊富な地域 となっています。この地域だけで、国産畳表の93%のシェアーをもっています。その 他としては石川県・岡山県・広島県・高知県・福岡県・佐賀県・大分県でも数パーセ ントの生産を見ることができます。
一方で近年、中国などの外国産の安価なイグサが、輸入され(セーフガードまで 発動されましたが)、全流通量に対し、国産畳表は3〜4割ほどのシェアがあります。
住宅の洋室化とも相まってイグサ生産農家の減少が危ぶまれていましたが、近年 になり自然素材、健康志向の高まりによりその価値に注目が集まっています。
藺草も、稲と同様の方法で水田に苗を植えて育てます。 刈り入れも稲と同様の方法で行います。
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| 化学表について。
天然の蘭草を使用せず、化学繊維製品でできており、耐久性があり、変色もなく、ダニ、カビも抑えます。価格が高いのと、やはり天然のい草に比べて風合いや色合いが劣るようです。 |
画像出典: 〇自生の藺草 西宮の湿生・水生植物 (ブログ) 〇栽培されている藺草 新関商店(埼玉県川口市) を参照させていただきました。
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