| 式典とページのタイトルをしたのは、地鎮祭や上棟式、定礎式、竣工式(落成式、 除幕式、火入れ式)、式の銘で工事の節目では祭儀が行われるところから、それら をすべて含めての表現するためです。
建物を建てる時には、どんな人でも、末永く持つ堅牢で安全な家が建つことを願う ものです。また、そこにこれから住む家族の、健康や幸せをもたらせてくれる家であ る事にも、祈らずにはいられません。その素直な気持ちから、古くから建築工事中 の各時期に、式典を設け工事の安全と建物の末永い神の加護を祈ります。
特に地鎮祭の歴史は古く、持統天皇期の日本書記にはその記述があり、既に行 われていたようです。地鎮祭は単に神事だけでなく、仏教の寺院でもそれに該当す る儀式が行われていたと推測されています。というのも東大寺金堂や興福寺金堂な どから、地鎮祭の際に土地の神様に捧げて埋める「鎮物」(しずめもの)が出土して いるからです。
地鎮祭が実際に建築儀礼として認められ広く普及していったのは、江戸時代後半 になってからだと考えられています。
また、上棟式は、平安時代初期から行なわれ、中世に盛んとなり、居礎(いしず え)、事始め、手斧始め(ちょうなはじめ)、立柱、上棟、軒づけ、棟つつみ等、完成 まで の建築儀式が数多くありましたが、江戸時代になって、これらの建築儀式を代 表する形で、上棟式だけが行なわれるようになりました。
地鎮祭、上棟式、竣工式などの式は『神をお迎えし』『神に依る加護を賜り、加護 を祈る』『神をお送りする』という三つが流れになっています。そのうち、『神をお迎 え』の儀式と『神をお送りする』儀式はどのケース(地鎮祭、上棟式、竣工式)でも共 通のものです。
全体としてみると、なんだか大変なように思えますが、最初と終わりは共通ですか ら、一度地鎮祭で経験すれば、上棟式や竣工式でも不安はありません。違うのは、 神を迎えて地鎮の儀か上棟の儀かあるいは竣工の儀の違いです。それぞれの違 いを把握しておけば、恐れる必要はありません。
| | もう少し言えば、『神をお迎え』の儀式と『神をお送りする』儀式はどのケース(地鎮祭、上棟式、竣工式)でも共通のものです。
つまり最初と終わりは共通のものです。宮司さんは、そこのところを心得ていて儀式をとり行っていくだけのことです。 |
これまで、紹介してきたものは、神道式のものですが、地鎮祭や上棟式には仏式 もあります。私も一度ですが、仏式の地鎮祭が行われるのに参加したことがありま す。(下の図)
正式には、仏式の場合は、地鎮祭とは呼ばず「起工式」と呼んでします。しかし、その意義は神仏両者とも何ら変わりはありません。
即ち、工事の安全と末永く住むことが出来る住まいへの願い、そして建てることが出来ることへの神仏への感謝です。 | |
神道式では祭壇となるところが、本尊をまつります。玉串の奉天ではなく、焼香台 が設けられます。その他の形式では、地域や宗派により様々です。
画像出典:仏式地鎮祭は藤井工務店 サギョウニッシによりました。
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