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  林国

2. 木材の種類・特長・用
  

3 木の種類 代表例

4. 木の強度は?

5. 木の反り(そり)と割れ
  (われ)について

6. 木の腹と背及び芯持
  材と芯去り材

7. 「春材・秋材」と「木取
  り」について

8. 柾目・板目・杢目につ
  いて

9. 節について

10. 木の元口と末口・辺
   材と芯材について

11. 製材のJAS制度と
   等級

12. 檜(ヒノキ)と杉(スギ)
   、そして松

13. 木材の使用箇所
    (構造材)

14. 木材の使用箇所
    (内装材)

15. 集成材と積層材

16. 集成材の種類

17. 森林の手入れの必
   要性について

      
 11. 製材のJAS制度と等級

 このページは『登録認定機関 一般社団法人 全国木材検査・研究会』の記事に準拠しています。ここでは、その概要程度の紹介にとどめます。必要に応じて、下記の記事の中からWebで検索の上、詳細をご覧ください。

 なお等級についての記事は、下記「(5)■強度性能の表示について」に記載しています。



(1)■材種の区分

 日本では木造建築物等に使用される構造用、造作用、下地用等の製材の規格が制定され、施工の合理化並びに木造住宅及び木造建築物の振興への寄与を目的として、次のように定められています。


@
「製材の日本農林規格」(平成25年6月12日農林水産省告示第1920号)
一般材(構造用製材、造作用製材、下地用製材及び広葉樹製材)押角、耳付材
及びまくら木(「製材」と総称する。)に係る規格を規定しています。
A
「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格」(昭和49年7月8日農林省告示第600号)
枠組壁工法住宅に用いる製材の規格を規定しています。




 上記を表にまとめると次のようになります。

日本農林規格の区分
区分
説明


構造用製材建築物の構造耐力上主要な部分に使用する針葉樹の製材。
土台、火打土台、大引、根太、床束、通し柱、管柱、胴差、梁、桁、筋かい、小屋束、母屋、棟木、垂木等。




目視等級区分構
造用製材
構造用製材のうち、節、丸身等の欠点を目視により測定し、等級するもの。










甲種構造材主として高い髷性能を必要とする部分に使用するもの。土台、大引、根太、梁、桁、筋かい等。




甲種 T木口の短辺(厚さ)が36o未満。及び木口の短辺が36o以上かつ、木口の長辺が90o未満。
甲種 U木口の短辺が36o以上で、かつ木口の長辺が90o以上のもの。
乙種構造材主として圧縮性能を必要とする部分に使用するもの。
通し柱、管柱、床束、小屋束等。
機械等級区分構
造用製材
機械によりヤング係数を測定し、等級区分するもの。材面の品質は、目視等級区分の乙種構造用3級の基準を満たすもの。
造作用製材敷居、鴨居、壁その他の建築物の造作に使用する針葉樹製材のもの。
下地用製材建築物の屋根、床、壁等の下地に使用する針葉樹のもの。
広葉樹製材製材のうち、広葉樹を材料とするもの。
枠組壁工法構造用製材枠組壁工法建築物の構造耐力上、構造部材として使用する針葉樹のもの。

注:押角は下地用製材に、耳付材は造作用製材、下地用製材及び広葉樹製材に、まくら木は下地用製材及び広葉樹製材に含みます。押角とは木材で、4寸(約12センチ)角より小さい角材のことを指します。




(2)■材種の区分

 日本農林規格では、製材の材種は次のとおり区分します。なお、木口とは木の長さ方向に対して直角に切った断面のことで、通常は木の根本に近い方の断面()をさします。

製材の材種別定義
 (1)板類木口の短辺が75mm未満で、かつ、木口の長辺が木口の短辺の4倍以上のもの
 (2)角類木口の短辺が75mm以上のもの、及び木口の短辺が75mm未満で、かつ、木口の長辺が木口の短辺の4倍未満のもの
 (3)円柱類木口の形状が円形であって、直径が長さ方向に一定であるもの




(3)■日本農林規格の基準

 製材の日本農林規格は、「日本農林規格区分」(上記の表)の区分別に、品質と表示の基準を規定しています。


 品質基準は、材面の品質(節、丸み、貫通割れ、目まわり、繊維走行、腐朽、曲がり等)、インサイジング、保存処理、含水率及び寸法を規定しています。表示基準は、表示事項、表示の方法及び表示禁止事項を規定しています。





(4)■乾燥処理について

 乾燥処理は、木材に含まれる水分量を減少させる処理で、処理方法には、人工乾燥処理と天然乾燥処理があります。


 製材の日本農林規格において、人工乾燥処理とは「人工乾燥処理装置によって人為的及び強制的に温湿度等の管理を行うこと」、天然乾燥処理とは「人為的及び強制的に温湿度を調整することなく適切な管理のもと、一定期間桟積み等を行うこと」と定義されています。


 ◎含水率の基準

人工乾燥処理製材の含水率の基準は、品目毎に表3のとおり温湿度環境に対応した平衡含水率(およそ10〜20%)を目安に定められています。


人工乾燥処理材の含水率基準と表示記号 
品目
含水率基準
(表示値以下、%)
表示記号
 造作用製材 仕上材
15、18
SD15、SD18
 未仕上材
15、18
D15、D18
 目視等級区分
 構造用製材

 機械等級区分
 構造用製材
 仕上材
15、20
SD15、SD20
 未仕上材
15、20、25
D15、D20、D25
 下地用製材 仕上材
15、20
SD15、SD20
 未仕上材
15、20
D15、D20
 広葉樹製材
10、13
D10、D13
 枠組壁工法構造用製材
19
D


 また、天然乾燥処理製材の含水率の基準は、下表のように、乾燥していない生材が収縮しはじめる30%以下と定められています。


天然乾燥処理製材の含水率基準と表示記号
品目
含水率基準(表示値以下、%)
表示記号
 天然観測処理製材
(下階等級区分製材を除く)
30%以下
乾燥処理(天然)



  ◎乾燥処理材の表示 

 構造用製材等の乾燥処理材は、未仕上げ材と仕上げ材に区分されます。
 未仕上げ材は、そのまま使用するのではなく、工場出荷後の再加工を想定した寸法仕上げをしてない製材で、「D20」等と表示記号が表示されています。

 仕上げ材は、乾燥後修正挽き又は材面調整を行い、寸法仕上げした製材で、「SD15」等と表示記号が表示されています。天然乾燥処理材は、「乾燥処理(天然)」と表示します。






(5)■強度性能の表示について

製材JASでは「構造用製材」の強度等級区分法として、「目視による等級区分法」と「規格による等級区分法」の二つの方法が採用されています。


  ◎目視による等級区分法

 目視による等級区分法は、材面の品質に応じて等級区分を行う方法で、木材の強度に及ぼす節、繊維傾斜、割れ等、目視によって評価できる因子によって等級区分されます。目視等級区分構造用製材は、この方法で等級区分します。


 強度に及ぼす節等の品質の影響は、使用時の荷重のかかり方によって異なるため、構造用製材のうち、主として曲げ・引張り荷重を受ける「甲種構造材」と、主として圧縮荷重を受ける「乙種構造材」とに分けて許容できる欠点の基準値が定められています。


目視等級区分構造用製材の等級表示の例
等級
表示
1級
★★★
2級
★★
3級



  ◎機械による等級区分法

 機械による等級区分法は、曲げ試験機等を用いて行う非破壊測定により得られた曲げヤング係数に基づいて強度の等級区分を行う方法です。ヤング係数と木材の強さには、統計的に高い相関関係があるため、目視等級区分法に比べ、高い精度で木材を強さ別に区分できます。

 機械等級区分構造用製材は、この方法で等級区分します。機械等級区分構造用製材のJAS認定を取得するときは、全国木材検査・研究協会が認定した機械等級区分装置の使用が必要です。

機械等級区分構造用製材の等級
E50
 3.9以上 5.9未満
E70
 5.9以上 7.8未満
E90
 7.8以上 9.8未満
E110
 9.8以上 11.8未満
E130
 11.8以上 13.7未満
E150
 13.7以上



(6)■保存処理について


  ◎保存処理の性能区分
 
保存処理の性能区分

 製材の日本農林規格で規定している保存処理は、防腐・防蟻処置及び防虫処理を対象としています。


 保存処理の性能は、下表のようにK1からK5までの五つに区分され、性能別に使用薬剤とその処理基準(薬剤の浸潤度、有効成分の吸収量)が規定されています。


機械等級区分構造用製材の等級
性能
区分
木材の使用状態
具体的内容
K1
屋内の乾燥した条件で腐朽・蟻害の恐れのない場所で、乾材害虫に対して防虫性能のみを必要とするもの。ヒラタキクイムシを対象とする。ヒラタキクイムシは、ラワン材、ナラ材などの広葉樹の辺材部分に存在するでん粉を栄養として、食害する。したがって、杉材などの針葉樹は食害を受けないため処理の対象とならない。
K2
低温で腐朽や蟻害の恐れのある条件下で高温の耐久性が期待できるもの。比較的寒冷な地域での建材部材用。
例えば、「住宅の品質確保の促進に関する法律(品確法)」の評価方法基準では、青森県及び北海道地域での使用する土台にはK2相当以上の処理を要求している。
K3
通常の腐朽・蟻害の恐れのある条件下で高度の耐久性の期待できるもの。土台等の建築部材用。
例えば、「住宅の品質確保の促進に関する法律(品確法)」の評価方法基準では、青森県及び北海道地域以外で使用する土台にはK3相当以上の処理を要求している。
K4
通常より激しい腐朽・蟻害の恐れのある条件下で、高度の耐久性が期待できるもの。屋外で風雨に直接晒される部材用。
腐朽やシロアリの被害が激しい地域での建築部材には、性能区分K4の製材を用いることが好ましい。
K5
極度に腐朽・蟻害の恐れのなる環境下で高度の耐久性が期待できるもの。電柱、枕木、海中使用等極めて高い耐久性が要求される部材用




薬剤及び記号並びに性能区分別吸収量基準
種類
薬剤名
記号
K1
K2
K3
k4
K5
第四級アンモニウム化合物系
ジテシルジメチルアンモニウムクロリド剤
AAC-1
-
2.3
4.5
9.0
-
第四級アンモニウム・非エステルピレスロイド化合物系N、N-ジデシル-N-メチルーポリオキシチエルーアンモニウムプロピオネート・シラフルオフェイン剤
SAAC
-
1.3
2.5
5.0
-
ほう素・第四級アンモニウム化合物系銅・N-アルキルベンジンルジメチルアンモニウムクロりド剤
BAAC
-
1.6
3.2
6.4
-
銅・ジデシルジメチルアンモニウムクロリゾ剤
ACQ-1
-
1.3
2.6
5.2
10.5
銅・第四級アンモニウム化合物系銅・シブロコナゾール剤
ACQ-2
-
1.3
2.6
5.2
10.5

銅・アゾール化合物系
シブロコナール・イミダクロブリド剤
CUAZ
-
0.5
1.0
2.0
-

アゾール・ネオコチノイド
シブロコナゾール・イミダクロプリド剤
AZN
-
0.08
0.15
0.30
-
脂肪酸金属塩系ナフテン酸銅乳剤
NCU-Z
-
0.5
1.0
1.5
2.3
ナフテン酸亜鉛乳剤
NZN-E
-
1.0
2.0
4.0
-
第三級カルボーン酸亜鉛・ペルメトリン乳剤
VZN-E
-
1.3
2.5
5.0
-
ナフテン酸金属塩系ナフテン酸銅乳剤
NCU-0
-
0.4
0.8
1.2
1.8
ナフテン酸亜鉛乳剤
NZN-0
-
0.8
1.6
3.2
-
クレオソート油クレオソート油
A
-
-
-
80
170
ほう素化合物系ホウ砂・ほう酸混合物又は八ホウ酸ナトリウム酸剤
B
1.2
-
-
-
-




  ◎保存処理の表示

 保存処理の表示

 性能区分の表示は、「保存処理」又は「保存」の文字と性能区分記号により行われます。例えば「保存処理 K3」、「保存 K3」のように表示されます。


 使用している薬剤名の表示は、薬剤名または薬剤の記号によってなされ、例えば「ナフテン酸銅乳剤」または「NCU-E」のように表示されます。


 目視による木材の等級の区分の方法は次の二つに分けられます。この二つは、目視ですので木の構造耐力を表すものではありません。




  ◎インサイジング機の認定

 保存処理剤のJAS認定を取得する場合には、全国木材検査・研究協会が認定したインサイジング機(薬剤の浸透性を高めるために用いる木材の表面を刺傷する機械)を使用することが必要です。


JASマークの表示例(この他にも多数あります)

構造用製材
人工乾燥構造用製材







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