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材木は大抵の場合、山の斜面に生えています。そうでなければ、農地や宅地に利用されるからです。
山の斜面に生えている木について、次のような呼称があります。 山の斜面の上側(かみがわ)に面している部分を「腹(はら)」、反対側の斜面の下側(しもがわ)に面している部分を「背(せ)」と呼びます。見た目には何ら変わらないようでも、製材で木取りをする時に注意をしないと、製材中や製材後に木が曲がってしまうことがあります。
それは、木が山の斜面に生えていているのに、空に向かって垂直に生えようとするため、大きな負担が木に掛かっている、言い換えれば木に、下側の背に倒れまいとする強い力が働いて、真っ直ぐに空に向かって生えている訳です。それが、伐採されてもその力が木材に残っており、製材時に顕在化することになるのです。どんな木でも、多かれ少なかれ斜面に生えた木はそういう傾向があります。
| | 左の図でいえば、どんな木であれ赤い矢印のように木の腹に向かって、木の内部で力が働いていることになります。
この力は基本的に、土地の形状に大きく左右されます。急勾配な斜面に植えられた木は、それだけ木の中にある倒れまいとする力が強くなります。
よく言われることに、背には日が当たりにくく腹には当たりやすいので年輪が腹の方は大きく背の方は狭いという記述も見ますが、腹の方がどう考えても陽当りが悪いのが当然です。
従って、年輪と陽当りとは直接関係がありません。木の生育状態が陽当りの方が全体に良いとはいえます。それは木の全体の話であって、斜面の木の年輪と直接関係しません。
| 上の図の下側の図ように、より楕円形に近い断面形になって耐えようとします。これは、極端な例ですが、木が大きくなるほど、こうした傾向は強まります。
材木を製材する時には、木の腹から製材を始めると失敗してしまうことになります。木の背を上にし、両サイドから切り落し始める必要があります。しかし、材木が製材業者に入ってきた時には、一体どの部分が木の背か腹なのかはわかりづらいものです。それを、見分けるのは相当な、経験と勘を必要とします。
小屋梁などでは、「背」を上にして使います。又出入り口や窓廻りの構造材では、戸の開け閉めに支障が生じないよう、「背」を上にして使います。
芯とは木の中心のことで、すなわち、樹心のことです。年輪の中心にあたります。芯持材とは、製材品で樹心を含んでいる材のことです。これに対し、樹心を含んでいない材は芯去り材と呼びます。(下の図)
芯持ち材の方が強度がありますが、割れなどが起こりやすい。芯去り材は逆に強度は芯持ち材に比べて落ちるのの割れなどは、殆ど起こりません。芯去り材で断面の大きな物を取ろうとすると、どしても断面の大きな原木が必要となります。
外材は、国産材に比べて材自体が大きいので、心去り材が取りやすいため、輸入される材料は殆が芯去り材です。芯去り材は太い原木から木取りするので、「芯持ち材(しんもちざい)」に比べて高値となるのが普通です。
木造住宅の柱材としては「芯持ち材(しんもちざい)」を多用しますので、主要な柱は、国産材を使用します。「芯持ち材(しんもちざい)」は1本の小丸太から1本の角材を製材したものです。「芯去り材に比べて割れやすい欠点があります。割れは柱にとって有害であるため背割りを入れます。背割りとは、人工的に割れを入れることによって、他に出来る割れを押さえようとするものです。(前ページ参照)
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