| 私が子供の頃、夏場の学校が休みの日には、植林した山の下草刈りに毎年駆り出されたものでした。植林した数年は雑草や雑木の方が成長は圧倒的に早くて力強いので、植林した檜や杉はこれらに負けてしまいます。つまり、雑草や雑木に覆われて成長できるだけの太陽の光が当たらないため、成長できません。そこで、夏の雑草や雑木が植林した木を超えるような高さになったら、それらを刈らねばならないのです。一度植林したら、後は成長を待つだけという訳には行かないのです。
両親は「お前たちが大きくなったら、これを売ってお金になるから、貯金するのだと思って手伝え」といっておりました。私は、自分の胸くらいまである下草刈りを、汗だくで、泣きを入れながら手伝ったことを覚えています。
植林した木が成長して、雑草や雑木をしのぐようになると、その後の成長は速度がまし、植林した林の下に太陽の日が差し込む余地がなくなりだします。こうなると「枝打ち」をしたり、木を間引く必要が出てきます。これを間伐といいます。
実は、植林した木が成長して、林の中に雑草や雑木が生えなくなることは、良くないことなのです。なぜなら、その土地に、上の図の左のように雑草や雑木が全く生えなくなると、その土地は荒れてしまいます。
その結果として、大雨で土壌が流れて出てしまったり、山が崩れたり、洪水をおこしたりすることにつながるのです。雑草や雑木が植林した木の足元で低く生い茂っているとその土地は雨に洗われず、雨水を保水することができます。植林した木と山が健全に保たれることになります。
植林した木が大きく成長し、その土地に雑草や雑木が生えることを守るためにも、また木の有害な節をなくするために、「間伐」や「枝打ち」をしなければなりません。間伐とは植林した木を間引くことです。そうすることで、太陽の光は地面近くに差し込み、雑草や雑木が適度に茂ようになります。上の図右のようにきれいな健全な山となるのです。
私が、子供の頃にやった雑草や雑木刈りが、今度はそれらを生かすための努力をしなければならないとは、かなり皮肉なことではあります。
山を守ることは、はた目より手間のいることなんですね。
| | 木材の輸入量は、国内で盛んに植林が叫ばれて実際に植林が行われた昭和30年頃から急増しています。戦後の復興期で国内の木材需要は高まり、価格も高騰したことから、安価な輸入材が出回るようになったのです。
それと比例して、国内産の木材が価格で輸入材に押されるようになり、次第に価格競争力を失うようになりました。
国内の木材の需要は落ち込み、森林の伐採や植林が進みにくくなり始めたのです。そして、私の下草刈りをした山も荒れ放題のままとなりました。
| 上の表では平成22年度において、輸入材の日本におけるシェアは90%近くに達しています。
しかし、ここ十年来、日本のように自国に森林が豊富にありながら、外材の輸入に頼ることが、その国の自然の破壊に手をかしているとした批判が起きるようになりました。今後、輸入量の拡大は難しくなり、価格も上昇傾向となるはずです。そして、ここ平成14年頃より、再び国内の木材に目が向けられつつあり、自給率も上昇しつつあります。
画像出典:上の図 福井県総合グリーンセンター 画像出典:下の表 林野庁
|
|