| 節(ふし)は木の枝部分の付け根のことで、樹心より年輪にほぼ直角方向に伸びています。節の先端は枝打ちや枝が枯れた時期により、樹心からの距離は異なってきます。
また、下の表で説明する「生き節」や「死に節」は材木の幹が成長していく過程で、枝の元の部分が次第に幹の中に包みこまれていってできたものです。
前ページで解説してきた板目の木取りをする時に現れやすく、円形、もしくはだ円形の節の形で、製材した木材の表面に現れやすくなります。色は一般に暗褐色をしており、加工がしづらいものです。
節の部分は樹脂分が多く、脂(やに)を含んでいるなど歓迎出来るものではありません。このため、檜や杉は枝打ちをする理由は、死に節を出さないようにするためのものです。
節には二つの種類がある | @ 生き節(いきぶし) | 枝の元がまだ生きているうちに、木の幹の内部に取り込まれてできた節です。枝が生きているうちに人工的に「枝打ち(えだうち)によってできた節です。幹と繋がっているため、幹とともに成長していきます。
このため、製材をしてもその部分が、死に節のように、抜け落ちる事はありませんし、色合いも死に節に比べて薄く比較的目立ちません。この生き節を、一つの希少模様と捉えることもでき、仕上げ材としても活用できます。 | 見づらりのですが、左の生き節の図の右上部分の節が割れているのが見えます。これを「割れ節(われぶし)」といいます。
しかし、これは製材後に乾燥による割れで、樹脂パテなどで補修が可能です
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| A 死に節(しにぶし) | 枝が風雪などで折れて、自然に枯れて死んでしまっている状態で、木の幹の内部に取り込まれて、しこりのようになって内部に残ったものです。成長せず、色も濃く硬くなっています。
このため、製材した時にこの節が、抜けて穴が開いたようになってしまうことがあります。これは「抜け節(ぬけふし)」と呼ばれます。こうした板は、構造耐力や価値が落ちてしまい敬遠されます。 |
抜け節の後に、「埋め木(うめき)」を行う処理を行います。埋め木とは他の木を抜け節の後に埋め込むことです。埋め込んだ部分は、ある程度は不自然さがないように仕上げることができます。
埋め込む木は天然の木の枝を樹種にあったものを加工したもので、「コマ」とよ呼ばれます。節と同じように渦巻き形をしています。ただし、いた厚さすべてに渡って埋める訳ではありません。板厚さが厚い場合には、厚さすべてに渡って埋木せず、ある程度としますので、多くの場合は、埋木の裏側は抜け節となったままです。人目につく部分のみの加工とする訳です。
生き節や死に節はどのような理由で出来るのでしょうか。その出来方を下の図で説明します。なお、緑の線はその部分の断面で、右端の図を示しています。
生き節の成り立ち | | 生き節は、人工的に枝打ちを行ったことで出来た節のことで、木の枝がまだ生きているうちに枝打ちがなされるため、枝打ちで残った部分が生きたまま木の中に取り込まれます。取り込まれた節は幹の一部として成長していきますので、木材として挽(ひ)かれても有害な節とはなりません。 |
死に節の成り立ち | | 死に節は、風雪などの影響で枝が枯れてしまったものが、木の幹に取り込まれて出来たものです。幹は成長せずしこりのように残ります。有害なもので、材木として挽かれた後に、収縮乾燥で抜け落ちたりすることがあります。色も生き節に比べて暗色です。 |
節とは、上記で述べた通りの板が挽かれた時の断面は、円形や楕円形の形状であることが一般的です。これは節に対して直角の方向での製材がなされた場合です。それが節の部分を斜めに横切るように製材がなされた場合には細長くなり、下の図のように「流れ節(ながれぶし)」と呼ばれるものとなります。
「流れ節」の呼称は、ネギを白い部分を長手方向に直角に切ると、一般的な節の断面と同じ形状になります。
そのネギの同じ部分を斜(はす)に切った時にでる斜めの模様がこのように見えることから由来しています。
多くは、柾目面に表れます。 だからといって、その断面がネギのように白いという訳ではありません。
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画像出典:タモの図 「阿部蔵之」のホームページを参照させていただきました。 画像出典:生き節・死に節の図 アロマスリット工房によりました。 画像出典:流れ節の画像 京町屋改修用語集によりました。
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