| 重量床衝撃音は、同じ床の厚さでも、それを支える梁の状態(大梁や小梁)の条件や、梁で囲まれた部分のそのコンクリート床の面積(広さ)によっても大きく変化します。小梁が密に配置されていて、床が厚ければ問題はほとんど起きません。
しかし、それを行うと建物の全体の重量が増え地震に不利に働くため、対策として建築コストの上昇を招きます。また、建設工事の施工性も悪くなります。ひいては販売や他社との競合にも大きな影響を与えます。それゆえ、建物の構造的な問題がクリアする限界よりやや余裕を持たせた程度ということになります。
もちろん、建設各社も音の問題を認識していないわけではありません。対策としては、内部の仕上げの工夫を行うことで、極力騒音を減ら対策を行っています。なお、軽量床衝撃音にあっては、スラブの厚さが問題になることはありません。スラブを振動させてしまう衝撃音ではないからです。
下の表の赤く囲んだ部分が重量床衝撃音の特徴です。
次の表は、重量衝撃音がどのような条件であれば良くなるのか、あるいは悪くなるのかを示したものです。これは、床の剛性に非常に大きくかかわることから、床の躯体の条件を記したものです。もちろん、床の仕上げも無関係ではありませんが、主たる原因は次の表であり、これを改善することがもっとも大切です。
天井があっても、一般的な天井仕上げである場合、コンクリートの床下との空き(ふところといいます。)が少ない(150mmから300mm)と、天井材による、遮音効果が、床振動の共振によって低下します。
床の諸条件と重量衝撃音の遮音性能の関係 | 床の状態 | 重量遮音性能が良くなる | 重量遮音性能が悪くなる | 《 《 《 《 》 》 》 》 | 密度 | 床材の密度が上がるほど | 床材の密度が下がるほど | 厚み | 厚さが厚いほど | 厚さが薄いほど | 床の剛性 | 剛性が上がるほど(大きいほど) | 剛性が下がるほど(小さいいほど) | ヤング率 | 率が大きいほど | 率が小さいほど | 圧縮強度 | 強度が大きいほど | 強度が小さいほど | スパン | 小さいほど | 大きいほど | 小梁の有無 | あり | なし | 天井の有無 | なし(300mm以下のふところの場合) | あり(300mm以下のふところの場合) | 表面材の柔さ | 関係なし | 関係なし |
なお、「天井の有無」の欄の「ふところ」とは天井とその真上の階の床との間の空間をいいます。
下表は鉄筋コンクリート造の床スラブの厚さと、そのスラブが小梁や大梁に囲まれた面積との比較によって騒音値(L値)を出したものです。昭和の終わりころまではスラブの厚さは120〜130o程度でしたが、現状でのマンションなどのスラブの厚さは150oを基準としています。もちろん、それ以上で180oというところもあります。上の表でも欠いている通り、スラブは厚い方が重量床衝撃音には有利だからです。
四方を梁で囲まれたスラブの面積は10-20uと一般的にはする場合が多いようです。Lの数字が小さいほどスラブから出る騒音に対して良好であることを示しています。
下の表では、仮に150oのスラブ厚さ(色塗り部分)であればL−55程度(少し気になる)を確保するためには、スラブの面積が20u程度に抑える必要があります。L値については前ページをご覧ください。
スラブ厚さとスラブ面積における遮音等級の目安 | スラブ の厚さ (o) | スラブの面積(u) | 12 | 15 | 20 | 25 | 30 | 35 | 40 | 45 | 50 | 60 | 120 | L-55 | L-60 | L-60 | L-65 | L-65 | L-65 | - | - | - | - | 130 | L-55 | L-55 | L-60 | L-60 | L-65 | L-65 | L-65 | - | - | - | 140 | L-50 | L-55 | L-55 | L-60 | L-60 | L-65 | L-65 | L-65 | - | - | 150 | L-50 | L-55 | L-55 | L-60 | L-60 | L-60 | L-60 | L-65 | L-65 | L-65 | 160 | L-50 | L-50 | L-55 | L-55 | L-60 | L-60 | L-60 | L-60 | L-65 | L-65 | 180 | L-45 | L-50 | L-50 | L-55 | L-55 | L-60 | L-60 | L-60 | L-60 | L-60 | 200 | L-45 | L-45 | L-50 | L-50 | L-55 | L-55 | L-55 | L-60 | L-60 | L-60 | 230 | - | L-45 | L-45 | L-50 | L-50 | L-55 | L-55 | L-55 | L-60 | L-60 | 250 | - | - | L-45 | L-50 | L-50 | L-50 | L-55 | L-55 | L-55 | L-60 |
上記の表の中のL−55やLー45はどのようにして決定しているのでしょうか?それは、下図のような機械を用いて音を発生させ、その音の強さによって等級をだしています。これは、JIS規格(IS A 1418-1、IS A 1418-2、IS A 1419-2等)による方法に則って行われるもので、各社とも同じ方法でなされます。
画像出典:ユーロフィン環境株式会社
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