窓サッシの可動部分である戸は、スムーズに開け閉めするために適度の隙間が設けてあります。引違の戸の部分は、例えば列車が行き違うのと同じようにある程度の間隔が空いていないといけないのと同様に、隙間を設ける必要が有ります。また、戸自体を外す必要が生じることもあり、上下にも余裕が持たせてあります。
あるいは、ちょっとした建付けの悪さや変形によると、使えなくなりますから、遊びはある程度は必要なのです。
それらはの隙間はわずかですが、どうしてもなければスムーズに開閉は出来ません。この部分が、騒音が侵入する絶好の通り道となっています。窓の防音対策では窓ガラスについて検討する前に、サッシの隙間対策を検討することが先決です。
騒音の侵入が起こりやすいサッシは、同時に音が漏れやすともいえます。従って、ピアノの音や、ステレオなどで聞く音楽などの音が漏れて、隣接住宅などに騒音として迷惑をかけることも起こることにもなります。
すでに述べたようにサッシからの騒音の侵入には、ガラス部分以外に次のようなサッシの隙間からがあります。これらの隙間をどの程度以下に抑えるべきかについては、日本工業規格(JIS規格)によって定められていますので、サッシ自体にも、メーカー自体にもばらつきが生じることはほとんどあり得ません。
ガラス以外のサッシからの音の侵入経路は下図のようなものです。
@サッシの戸と上下のレールの取り合い部分。 Aサッシの戸とサッシ枠からの音の侵入。 Bサッシとサッシの召し合わせ部分(サッシ同士が重なる部分)。

サッシの隙間を放置したままで、ガラスを防音タイプに替えても、防音ガラスは性能を十分に発揮できません。ただ、サッシを防音タイプに取り替えるためには壁や床も壊す必要があるため、価格が大きくなり、工事も大掛かりになります。
では、サッシにはどのような遮音性能を有しているのでしょうか。サッシの遮音等級についてはJIS A 4706に規定されています。JIS規格で規定されたサッシの遮音性能(防音性能)を示す数値で、T1.T2.T3.T4の等級があります。
開閉が出来る戸を持つサッシは、戸とサッシの隙間や戸同士の隙間を少なくした、防音サッシに大別できます。
サッシの防音性能は、下図の「サッシ、ドアの遮音等級線」のようにT-1からT−4まであり、T−4を上回るようなサッシが最も遮音性能に優れています。
代表的窓枠(サッシ)の分類 | サッシ | 戸と窓枠 | 性能 | 遮音性能 | 一般サッシ | 一般的なサッシ | 低音域ではT−2付近をカバーで きるが、中音域はT−1を大きく下 回る。4000Hz付近では、T−1ま で回復する。 | T−1以下 | 防音サッシ | サッシの隙間を少なくしたもの | ほぼT−2の線に沿った性能をもっている。中音域の遮音に優れている。 | T−2程度は可能 | 防音サッシ+合せガラス | サッシの隙間を少なくしたものに合わせガラスを使用。 | ほぼT−3の線に沿った性能をもっている。中音域の遮音に優れている。 | T−3程度は可能 | 2重サッシ | 一つの開口にサッシが2重に付いているもの | 2000Hz付近で一時低下があるが殆どの域でT−2をわずかに上回 っている。
遮音性能を充分に発揮させる為には、サッシ間の間隔を15cm以上確保する事が必要。 | T−4程度が可能 |
JIS規格とは:日本工業規格(Japanese Industrial Standards)の略。工業標準化法に基づき、日本工業標準調査会の答申を受けて、主務大臣が制定する工業標準であり、日本の国家標準の一つ.
上の表でもわかるように、二重サッシがもっとも遮音性に優れています。もし、現在のサッシが二重になっていない場合、これを二重サッシとにすることは可能ですが、もう一つ現在のサッシの内側に設けることになりますので、そのぶん部屋内側に窓枠が出っ張ることになります。
新たに取り付けた窓の廻りだけを部屋内側に出っ張る構造にするのか、壁全体をその分厚くするのか、思案のしどころです。壁全体を厚くすることが、納まりリとしては綺麗ですが、部屋がその分狭くなりますし、畳などではやり変える必要も出てきます。
それを嫌って、新たに取り付けたサッシ周りだけ部屋内に出っ張る構造にすると、まるで出窓が部屋の内側にとりついた感じです。掃き出し窓のような床付きのサッシでは、床板を少なくとも切り欠く必要が出てきます。
二重サッシとする部分が吐き出し窓以外で、天井にも接することがないようなものであれば、床に生じる問題は出てきません。出っ張る部分の横や下に、に棚などを設けて、違和感のないようにすることも手でしょう
サッシの遮音等級は、下表で表すことができます。T-1〜T-4まであり、T-4がもっ ともすぐれていることは既に先に述べました。これ以上を望むなら、サッシはメーカ ーの努力以外に、私たちにはどうしようもありませんね。とはいってもどこまで防音 性能を上げたいのかということにもなります。無音の世界など、却って気持ちが落 ち着きませんし、おそらく誰も望んではいないのではないでしょうか。
下図ではT-4等級線に近い線を描く製品がT-4等級とされます。この線をトレース したような製品はなく、ある周波数でT-4を超える性能を示しても違う周波数では落 ちるという風にバラツキがあります。 |  |
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