| これまで述べてきた床衝撃音による騒音の対応策には、これから建物の建築を行おうとする場合には、有効となる手段です。しかし、すでに建物が完成し、人が入居している専用住宅や集合住宅である場合には、衝撃音の対策の工事をやり直すには無理があります。
そこで、出来るだけ衝撃音を起こさないように気を付ける以外に、多少の出費が必要ですが、衝撃音に気を使うことを和らげたり、衝撃音そのものの発生を抑える方法も幾つかあります。このページでは、そうした工夫を紹介します。床衝撃音は、実は上階に住む人が下階に住む人に騒音被害を与えている、と考えやすいのですが、上階に住む人も下階に住む人の騒音被害を受けていることも少なくありません。
上階からの騒音に対して、上階へ文句を言いにいったら、逆に下階からの騒音を指摘されたということも実際にはあります。むしろ、階下の騒音に反発しての上階の人の意趣返しということもあり得るのです。
ここでは、一般的に市販の商品を追加して床の騒音を低減する簡単な方法や主に音の低減が期待できる市販のものの、あらかたを紹介するのにとどめます。それ以降の対応や効果はパソコンなどを用いて、商品を出しているウェブサイトで確認してください。
床衝撃音を下階および上階に伝えることを軽減することは、互いに必要な行為です。
重量床衝撃音は、出来てしまった建物においては、なかなか改善が難しいのですが、軽量床衝撃音は、改善が可能です
さて、下階にも上階にも騒音を伝えやすいのはフローリング張りの床です。比較的新しいマンションや防音に配慮しているマンション、アパートでは、遮音効果の高いフローリング材やフローリング調の塩ビビニルシートを使っていますが、遮音効果の低い床材や、フローリングがスラブに這わせた木製の根太などに直張りになっている部屋は、階下への影響はストレートに出やすくなります。
フローリングの床の上に、厚手のカーペットを1枚敷くだけでも効果はありますが、ピアノやドラムの演奏やダンスの練習をするなら、防音マットを敷くと効果的です。
 |  | 防音マットはゴム製のものが一般的です。ネットなどで買えます。形状は91p角のもので、厚みは3-20oまで合計で5種類程度あります。厚みがあるほど防音効果は大きくなります。既存の床に置きますが、床がフローリングである場合に適しています。
このままで仕上げという訳には行かず、この上にさらにクッションフロアーやカーペットを張りますので単体での下のグラフの性能を上回ることが期待できそうです。その分、床は嵩上げになりますので、ドアが内開きの場合の障害や出入り口でいきなり段差は生じます。どちらも、その部分はカットするなどしても良いでしょう。
防音マットは薄い3oは91p角当たり1000 円台から購入できますが、防音効果が高いのはより厚地のもの。厚さ10cm程度のものは91p3000円程度にアップします。素材は、自動車のゴムを再利用したもので、耐久性や対候性は高いようです。
メーカーの公表値では10o厚さで下記のような性能を有しているとしています。表では高音になるほど効果が大きいことが解ります。

(商品を勧めているわけではありませんので、詳細については、同社へ確認していただきたい)
画像2点とグラフ画像出典:ソノーライズ
|
 | 左の図のように50o角で厚さが9oを組み合わせて張ることが可能です。毛足が5-6oで、汚れに応じてその部分のパーツだけを取り換えることが可能です。
端部は躓(つまづき)防止のため、ステンレスや木製の勾配の付いた(三角形の断面)の床見切りをつけると良いでしょう。ドアが内開きとなる部分には、カーペットの厚みから、開けなくなる障害が出るので貼れません。
|

上の画像2つは「ピアリビング」という会社が販売施工しているカーペット型の商 品で、LL-40の遮音性のがあると同社はうたっています。LL-○○とは軽量床衝撃 音の等級を表すものです。LL-40はその中で最も衝撃音が少ないランクの一つで す。日本建築学会仕様でいえば特級と最高ランクに当たります。あくまでも軽量床 衝撃音ですが、一考の余地はあると思います。
(商品を勧めているわけではありませんので、詳細については、同社へ確認してい ただきますように)
画像2点とグラフ画像出典:ピアリビング
|
 | カーテンで防音や遮音性を求めるなら、どうしても厚手の商品となります。音を遮ぎるのには重いものが効果的だからです。従って、ウレタン樹脂や金属をコーティングしたり、布に織り込んだりすることで遮音効果を高めています。防音カーテンは高音域での防音に効果的でが、低音域では一般的なカーテンとさして変わりません。
これらのカーテンは、窓に対して隙間のないような取り付け方に配慮が必要です。少しでも隙間があると、音はそこへ回り込んで漏れてしまいます。
上の図はメーカの一例で、他にも多数あるようです。
(商品を勧めているわけではありませんので、詳細については、同社へ確認していただきますように)
画像出典:びっくりカーテン
|
 |  | 防音テープは引き戸や開き戸の戸そのものや戸の枠に取り付けて、音を漏れや 占めた時の音を軽減を図ろうとするものです。
上の図の左側はクッションの付いたテープで両面テープの要領で簡単に貼れま す。引き違い戸では戸と戸との重なり部分(召し合せ部分)に、片引き戸では引き 違い戸の召し合せとなる枠の部分にも取り付けが必要です。
上の図の右側は半円形のクッション材でドア枠に取り付けできます。これも両面 テープ状になっていますので簡単に取り付けられます。図では、縦方向のみのよう な説明図になっていますが、横にも貼りつけが可能です。従って、枠すべてに貼り まわします。床との隙間については、靴摺りがあればそれに、なければ別途、それ に代わるものを考えるしかありません。
 | 引き戸の場合、音漏れ以外にも、戸を閉めた時の「トン」といった音が気になることもあります。そのような場合でも、この方法以外に、下の図のようなクッションゴムがあります。
100円均一ショップで見つけることが出来ます。
|
(商品を勧めているわけではありませんので、詳細については、同社へ確認してい ただきますように)
画像出典上の左:日東電工 画像出典上の右:ホームセンター ヤマユウ 画像出典下:3M(スリーエム)
上記はいずれもネットショップより転載
|
|
|