| クラックとは何でしょうか?辞書によりますと次のように記されています。
建築業界では、割れ目や裂け目ももちろんクラックといいますが、それよりも「ひび割れ」程度のことも「クラック」というのが一般的です。住宅街などを歩いていますと、木造住宅の外壁やマンションの外壁などで、この「クラック」を見かける事が良くあります。
窓下や、窓上、窓が何もない、広い外壁部分に縦や斜めに入っています。こうしたものを見かけると、私だけでなく、誰しもが、 「あんなに、ひび割れが入っていて、だいじょうぶかな?」 と思うはずです。
その思いは正しい反応です。クラックは建物にとって見た目にも、構造的にも決して良いことではありません。しかし、コンクリート造の建物や外壁をモルタル塗りで出来ている建物では、クラックが生じる事を避ける事は出来ません。
建築技術者にとってクラックの発生は、コンクリート造というものができてから悩みの種でした。見栄えだけでなく、クラック幅がコンクリート構造物に対して大きな影響を与えることが広く認識されるようになりながら、その対策に決め手が見つからないからです。その状況は現在にあっても変りません。
その上クラック幅や長さなどにおいて、どの程度が問題となるのか明確な基準はありません。クラックの幅といっても、一様の幅であるわけではありません。その長さには、一本の川のように枝分かれし、細くなったり広くなったりしています。それらをどのように評価して対策を立てるのか。これは事後処理になりますが、そういう基準もかなり現状でも曖昧です。
だからといって、生じたクラックの総てが今すぐ有害であるともいえません。それは、程度によります。では、どんなものが有害なのでしょうか。そして、クラックを極力少なくしたり目立たないものとするには、どんな方法があるのか。次のページ以降で検証していきたいと思います。
| 左の画像は街中(まちなか)で見かけたクラックだらけの建物の外壁です。色の濃くなったところは、クラックの補修をかけたところです。私は、これほどクラックだらけの建物を他に見たことがありません。
左の画像の建物では、補修の後、この面の外壁全面をグレーの塗装をしました。それが終了当初は完全にクラックの後は消され綺麗な外壁でしたが、4-5年も経ないうちにこのようになりました。 |
色の濃いグレーの部分にクラックが発生していることは、建築の専門家でなくても分かると思います。このように、補修の痕(あと)は必ず年数がたつにつれ現れ、目立つようになります。
このクラックの原因は細いクラックに水が入り、凍結と融解を繰り返したことによるものと推察します。こうなっては最早手の打ちようがありません。補修を行ったあと、吹き付けを再度行わず、金属波板などで葺くべきだったと思います。
厚みは50-60ミリ程度で仕上げられたと思います。そうすれば、見栄えが良くなったばかりでなく、後から発生するであろうクラックも気にすることはなかったはずです。
まず最初に、クラックはどうして出来るのでしょうか。次のページから見ていきましょう。
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