| 片持ちのスラブもクラックの発生し易い部材です。例えばマンションの片廊下式のスラブやバルコニーやベランダなどがそれに当たります。そこで発生する場所や間隔を上げ、対応する目地の入れ方をあげました。
| 1は最近のマンションでよく見かける柱を外部に出すプランの柱の際に発生しやすいクラックの例です。
2はバルコニーの平面形に出入りがある形状の場合、入組んだ部分にクラックが発生しやすくなる例です。
3の床の□に×の部分は、避難ハシゴなどの設置による床開口の例です。一般的に壁面に起きるクラックと同様に床開口にもクラックが発生する例です。
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| 片持ちスラブで発生するクラックに関しては、スラブの上下でクラックが発生することが多いので、左の図のバルコニーのように片持ちスラブに直交方向に全周に渡って途切れなく入れます。当然手すりや排水溝も例外ではありません。
左官工事で「しび目地」を入れるということもよく行われています。コテの下にV型の金物がコテの長さだけついており、半乾きで左官が入れる目地です。 | ひび割れを誘発する目的で入れるものですが、目地深さが少なく、鉄筋コンクリート造の建物では、効果は限定的です。
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| 屋上の手すりや防水の仕舞としての立上りであるパラペットなどのコンクリートの立上り部分も特にクラックの入りやすい部分です。
したがって、誘発目地は密に入れるようにします。密に入れる部分は打継ぎ目地から上の部分です。パラペットも同じ位置に入れます。左の図では見切り目地を入れていますが、これはパラペットが高い時だけす。 | 通常は打継ぎ目地からパラペットまで入れます。見切り目地を入れるときには、誘発目地と同じ深さ寸法で入れます。
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よく駐車場の床に大きなクラックが無数に発生しているのを見かけます。これを見ると、室内の他の床でもクラックは発生しているものと考えられます。しかし、駐車場のような、コンクリートがそのまま仕上げとなっている以外は、殆どの場合が床に何らかの仕上げがあり、多少の床クラックが発生していてもそこから雨水の侵入やクラックを拡大させるような要因がなければ放置しても問題はないと思われます。
しかし、駐車場や大きな倉庫などの床は、床板自体が厚目に設計されており、クラックの発生があっても、大きな問題に発展しにくいと思われますが、どしても外観上の不具合は否めません。
そこで、床にも壁程の大掛かりなものではない目地入れを行うこともあります。しかし、目地は深さが浅いもしか入れられず、効果が殆どありません。従って、基本的に床には目地を入れません。
床のクラックで問題となるのは、厨房や水を利用するか水濡れする屋内のコンクリト仕上げの床である場合です。このような部分には、コンクリートの打設後まだ硬化する前に、コンクリートの隙間に入りこんでクラックを極力防ぐ添加剤(浸透性表面硬化剤)の利用する方法もあります。しかし、それも硬化までの管理が難しく、あまり成功しません。
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