| クラックの発生の原因は、これまで取り上げたとおりであり、さ設計・施工上の不都合、経年、外力などの影響により、単独あるいは複合して発生します。それらをすべて、事前に対応することも、事後に対応することも完全には不可能です。
そこで、クラック自体の発生を極力押さえることが、あるいは、クラックを一箇所に集中させないよう分散させ、一箇所のクラックが有害にならない程度に押さえることが最も重要であるという観点から、最も一般的なクラック防止方を取り上げました。
クラックの発生に対処する方法は次の2つが上げられます。
@ クラックを発生させないように事前に対応する。
A クラックが発生しても障害に至らないようにする。
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@Aを次の表にまとめました。
なお、当ページでは、 「A クラックが発生しても、障害に至らないようにする」→「事前の対応」→「A クラックを集中発生させる」
及び
「A クラックが発生しても、障害に至らないようにする」→「事後の対応」→「C 補修」
に的を絞って解説していきます(表中の薄いブルー塗りの部分)。
同「C 補修」についてはその方法の一部について解説します。その他は、今回は取り上げません。
クラックの発生に対処する方法 その1 | @ クラックを発生させないように事前に対応する | a | 適切な設計と適切で入念な施工の実施 | b | 特殊な材料の使用 | 1)膨張材 2)ガラス・銅繊維 3)レジン | c | 特殊工法 | 1)プレキャスト 2)プレストレス |
クラックの発生に対処する方法 その2 | A クラックが発生しても、障害に至らないようにする | 事前の対応 | A | クラックを集中発生させる | 1)伸縮目地 2)収縮目地 | B | クラックを分散させる | 1)異形鉄筋 2)溶接鉄筋 |
事後の対応 | C | 補修 | 1)充填・注入 2)コンクリート表面の被覆処理 | D | 補強 | 1)鋼製アンカーなど |
建築物が高層になるに連れ、鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造では、クラックの発生がおきてもおいそれとは補修はできません。そこで、プレキャストコンクリートカーテンウォールの工法などが主流とならざるを得ません。プレキャストコンクリートカーテンウォールを使う理由は、クラック対策だではありませんが、結果として現にそうなっています。
| | プレキャストコンクリート(PC)は あらかじめ工場などで製作した鉄筋コンクリート部材を総称して「プレキャストコンクリート(PC)」と言います。製品単体で用いるもの、幾つかのユニットを接合して構造物とするもの、場所打ちコンクリートと接合して構造物とするものなどがあります。
特に建築用製品では、梁、柱、床、壁などの部材をはじめとして、建築物の合理化施工のモジュールとして、階段、ベランダ、カーテンウォール外壁など、意匠性を兼ね備えた製品が広く活用されています。
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上の図は高橋カーテンウォールの柱梁複合形式のカーテンウォールの例図です。 |
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