| コンクリートは、圧縮強度に比べて引張強度は極めて小さく、その比率は圧縮強度に対して1/10から1/13です。しかも引張り強度は、圧縮強度に比べて使用する材料の性質や施工の影響を受けやすくなります。
コンクリートのクラックは原因は一つではなく、複数の原因が重なって出来ている場合が殆どです。その原因の中で、最も多いのは乾燥による収縮です。コンクリートは乾燥すると収縮します。コンクリートを何の拘束もなく放置しておくと、10メートルに6-8ミリの収縮がおきます。
一方、コンクリートを引っ張るとそれクラックを起こさない状態での追随できる伸びの長さは10メートルに4ミリ程度です。したがって、コンクリート自身の追随できる伸び以上の乾燥収縮量が多くなればクラックが発生することになります。
逆にいえば、ひび割れが発生しないようにするためには、
コンクリートの拘束なしに放置した時の収縮率 < コンクリートが引張りに追随できる伸びということになります。が、殆どの場合それは不可能としか言えません。
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なお、この収縮の原因については、推測がなされていますが決め手となる解明は今なお、なされていません。
コンクリートのクラック発生原因(施工上の要因) | 1. | 材料の異常やセメントの異常反応、凝固中の熱、 混和材の不均一な混ざりなど | 2. | コンクリートの長すぎる練り混ぜ | 3. | コンクリートの打設時の速度が速すぎる | 4. | 不十分な締め固め | 5. | 配筋の乱れによるコンクリートのかぶり不足 | 6. | 型枠の変形はらみ | 7. | 型枠支保工の沈み | 8. | 不適当な打継ぎ | 9. | 必要な鉄筋量の不足 |
コンクリートのクラック発生原因(外部からの要因) | 1. | コンクリートの乾燥と収縮 | 2. | 地震による建物の揺れ、震動 | 3. | 気象の寒暖の変化 | 4. | 凍結と融解の繰り返し | 5. | 過積載 | 6. | 建物の不同沈下 |
なお、ここで対策として述べることは、建築の材料や施工上の原因あるいは使用環境についてである乾燥、収縮についてであり、構造耐力や地震・風圧などの外力によるものの対策には、筆者の手に余るもので、言及しません。
クラックを発生は、既に書きましたが、いろいろな要素が交じり合って発生するものです。しかし、正しく工事を行っても、クラックは、年月が経つと生じて来きます。その場合、どの場所に生じやすいのか挙げてみました。
クラックの発生し易い場所(経年による) | 1. | 窓の四隅部、出入り口の上の隅部 | 2. | 広い面積の壁部分 | 3. | コンクリートの柱と壁の際部分 | 4. | 最上階、最下階の壁 | 5. | 鉄筋量の不足の柱壁梁床。 |
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